目次
売り案件のフィジビリティ(売却可能性)について、「売却理由」、「業績」、「決算書・税務申告」
の3つの要素から考察します。
売却理由
売却理由について、第三者承継(M&A)の場合とその他の場合に分けて整理すると、以下のようになります。
「売却理由」は、M&Aの可能性を判断する場合、最も重要な要素です。
第三者承継(M&A)の場合、その理由としては、後継者不在、業績不振・先行き不安などが挙げられます。社長に子供がいない、或いは子供はいるが跡を継がない場合が後継者不在です。また、会社の業績不振、業界再編が進んでいる業種では自社単独で生き残れない、先行き不安のためM&Aを選択することがあります。
一方、社長が子供など親族に会社を継がせるかどうか迷っている場合は、親族内承継を選択するか、或いは親族に跡を継がせずにM&Aを選択する(シーズ案件)ことになります。また、従業員承継の場合、一定の規模以上の会社であれば、EBO(注)のスキームを選択することが可能です。
(注)EBO(Employee Buyout:エンプロイーバイアウト)とは、従業員が株式を買い取り、事業の買収や経営権の取得をする、従業員による企業買収です。
業績
売り相談企業の定量情報である「業績」について、良い場合と悪い場合ごとに分けて、M&Aの可能性を検討する必要があります。
一般に、資産超過、無借金、黒字の会社は、M&A(会社売却)の可能性があります。
一方、赤字体質、借入過多(借入金>売上)などの会社は、M&Aは難しくなります。
会社売却の相談を受けた場合、決算書を見せて頂き、M&Aの可能性の判断をすることになります。
(参考) 譲渡価額と財務数値との関連性~M&A支援機関登録制度 実績報告について(中小企業庁)より
・株式譲渡の譲渡側案件のうち、譲渡価額および財務数値(純資産)の分析に必要なデータの報告があった443件を対象としています。
・譲渡価額の水準を分析する指標として、PBRを用いています。
PBR(株価純資産倍率:Price Book-Value Ratio)
=株式譲渡価額÷純資産
=株価÷1株当たり純資産
PBRは、株式譲渡価額が純資産の何倍と評価されているかをみる指標です。
・PBRの分布状況は、0.8倍~2.8倍、中央値は1.4倍となっています。
(注)PBR=1倍(解散価値)
決算書・税務申告
通常、中小企業は、日本の会計基準に従って決算手続を行い、適切に税務申告(法人税、消費税など)を行います。財務諸表を会計基準に従って適切に作成するのは、会社経営者の責任です。また、適切に税務申告(法人税、消費税など)は、納税者の義務です。
一方、粉飾決算・不正会計、税金大口・悪質滞納・無申告は、M&A不適格です。したがって、売り案件として取り扱うことは出来ません。
(参考)会計不正について
会計不正には、「粉飾決算」と「資産の流用」と2つの領域があります。
重要な点は、この2つの領域は明確に区別できるものではなく、重複する領域があることです。
出所:監査基準委員会報告書240 「財務諸表監査における不正」(日本公認会計士協会監査基準委員会)
「粉飾決算」は、財務報告等の利用者を欺くために財務報告等に意図的な虚偽表示を行うことです。粉飾決算は、企業の業績や収益力について財務報告等の利用者を欺くために、経営者や管理者が利益の調整を図る目的で行われます。
主に以下の方法があります。
・財務報告の基礎となる会計記録や証憑書類を改竄、偽造又は変造する。
・取引、会計事象又は重要な情報の財務報告における虚偽の記載や意図的な除外をする。
・金額、分類、表示又は開示に関する会計基準を意図的に不適切適用する。
「資産の流用」は、一般的に売上入金の着服、物的資産の窃盗又は知的財産の窃用、企業の
資産を私的に利用すること等が含まれ、主として従業員により行われ、比較的少額である場合が多いです。
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