スモールM&Aとは?

こんにちは。経営承継支援のブログ担当チームです。

スモールM&Aとは譲渡金額1億円以下・従業員30名程度以下の小規模M&Aを指し、近年は専門仲介会社や融資制度の整備が急速に進んでいます。
マイクロM&Aはさらに規模が小さく譲渡金額1,000万円以下で、個人によるM&A起業の手段としてネットマッチングサービスを通じた利用が拡大しています。
スモールM&Aでは種類株式を活用したスキーム設計も有効であり、売手・買手双方の利害調整に役立てることができます。

目次 [ ]

スモールM&Aの定義

スモールM&Aとは、以下の要件に該当するM&Aが該当すると言われています。
〇小規模会社・個人事業を対象としたM&A
〇一般的に譲渡金額が1億円以下の取引
〇売上高が1,000万円から5億円までが目安
〇年商(注)の場合、数千万円から3億円ほど
〇従業員は、数人から30名程度

(注)年商は1年間の収益の総額。売上高は1カ月、四半期、半年など、目的によって対象期間を変更して用いる。 1年間の売上高=年商

スモールM&AとマイクロM&A

マイクロM&Aとは、スモールM&Aよりもさらにサイズの小さいM&A案件になります。
譲渡金額が1,000万円以下で取引が成立し、案件規模が小さいため、M&A起業(M&Aを活用した独立開業)を目指す個人に人気があります。スモールM&A特化型のネットマッチングサイトも数多くあります。

(イメージ図)スモールM&AとマイクロM&A

スモールM&Aのプレーヤー

この5~6年の間に、スモールM&Aを専門とする仲介会社が設立されており、スモールM&A市場が徐々に形成されています。

スモールM&Aの仲介会社(一部)

各社の報酬体系を見ると、売手企業、買手企業ともに最低報酬の金額は、150万円から400万円までとなっている。また、売手企業は完全無料とする仲介会社もある。

スモールM&A仲介会社の報酬体系(売手企業)

スモールM&A仲介会社の報酬体系(買手企業)

■種類株とスモールM&Aの関係

スモールM&Aにおいても、取引スキームを柔軟に設計するために「種類株式」が活用されるケースがあります。種類株式とは、普通株式とは異なる権利内容を付与した株式のことで、会社法第108条に基づき発行が認められています。

主な種類株式には以下のものがあります。

①議決権制限株式:議決権の行使を制限した株式。買手が経営権を確保しつつ、売手に一部株式を保有させたい場合などに活用されます。

②配当優先株式:普通株主より先に配当を受け取る権利を持つ株式。投資家や一部株主への利益還元を優先する際に使われます。

③取得条項付株式:一定の条件が成立した場合に、会社が強制的に取得できる株式。将来的な完全買収を想定したスモールM&Aで段階的な株式取得に用いられることがあります。

④拒否権付株式(黄金株):特定の重要事項について拒否権を持つ株式。スモールM&Aでは、売手オーナーが経営の一部に関与し続けたい場合や、急激な方針転換を防ぎたい場合に活用されます。

スモールM&Aでは、譲渡金額が比較的小さい案件が多い一方で、オーナー経営者の意向や従業員・取引先への影響を考慮した丁寧なスキーム設計が求められます。種類株式を適切に活用することで、売手・買手双方の利害を調整しながら、円滑な事業承継を実現することが可能です。ただし、種類株式の設計・発行には定款変更や株主総会の特別決議が必要となるため、専門家(弁護士・司法書士)への相談が不可欠です。

以下の表では、スモールM&Aの取引設計において活用される主な種類株式の特徴と、具体的な活用場面をまとめています。

種類株式の種類 主な特徴 スモールM&Aでの活用場面
議決権制限株式 議決権の全部または一部を制限 売手が株式の一部を保有しつつ、買手が経営権を掌握したい場合
配当優先株式 普通株主より優先して配当を受領 投資家や特定株主への利益還元を優先する場合
取得条項付株式 一定条件成立で会社が強制取得可能 段階的な株式取得・将来的な完全買収を想定する場合
拒否権付株式(黄金株) 特定事項に対する拒否権を付与 売手オーナーが経営方針の急変を防ぎたい場合
譲渡制限株式 株式譲渡に取締役会等の承認が必要 第三者への株式流出を防ぎ、経営の安定を図る場合

取引の規模や当事者の意向に応じて適切な種類株式を組み合わせることで、売手・買手双方にとって納得感の高いスキームを構築しやすくなります。

スモールM&A向け融資の状況

スモールM&A向け融資の状況を4つの切り口から見ると以下のようになります(出所:日本政策金融公庫HP)。

融資金額別

運転資金と設備資金(注)のいずれも、500万円以下が約6~7割、1,000万円以下が約8割であり、小口資金の利用が多くなっています。また、M&A資金が高額になる場合等は、複数の金融機関が融資を行うケースもあります。
(注)設備資金には、譲渡企業から買い取る譲渡企業の株式、営業権、事業用資産(店舗、機械設備等)等を含みます。

業種別

運輸業の利用が約3割と最も大きく、卸売・小売業、サービス業、飲食店、宿泊業等、さまざまな業種のスモールM&Aにおいて利用されています。

従業者規模別

従業者数5人以下が8割、従業者数20人以下が約9割となっており、融資先の大半が小規模事業者となっています。

組織形態別構成比

個人企業への融資が7割、法人企業への融資が3割となっています。

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