目次
M&Aのプロセスの中で最も需要なものの一つに、最終契約日における売手企業の社員発表がある。ここでは、過去の支援実績を基に、以下に売り手企業の社員発表の様子を疑似体験していただきます。
-運送会社のM&A支援実績-
【売り手企業(株式会社A運送)】
業種:一般貨物・特定貨物運送業(首都圏)
売上高:約5億円
経常利益:黒字
譲渡理由:社長は高齢(70歳代)であり、健康上の不安を抱えている。息子さんは公務員になり 会社を継がないためM&Aを決断した。大手食品会社の物流子会社が荷主であり、業績は安定している。
【買い手企業(X運輸株式会社)】
業種:一般貨物・特定貨物運送業(地方)
特長:社長は二代目。業歴も長く、地元では確固たる基盤を築いている。
M&Aの目的:首都圏への進出と食品部門の物流への新規参入。
M&A取引形態:100%株式譲渡
<株式会社A運送のキーマンに対する事前説明>
社員発表の数日前に、株式会社A運送のA社長から会社のキーマン2名(B専務、C部長)に、今回の資本業務提携について説明していただきます。これが、来る〇月〇日の社員発表成功の大きな一因になります。
以下、社員発表の内容で重要なポイントを順番に紹介します。
<社員発表の開始>
令和4年〇月〇日午前9時に全社員を株式会社A運送の本社に集合させて、社員発表を開始します。社員発表は、B専務の挨拶で始めます。
<B専務>
「本日皆様にお集まりいただいたのは、A社長より大切な発表があるからです。この数年、A社長は健康上の理由のため、以前と比べると会社に出てこられる機会が減っていました。この状況の中で、皆様は『この先、会社はどうなるだろうか。』、『次の社長は誰になるのか。』と不安に感じていたと思います。
このたびは、X運輸株式会社(買い手企業)様と資本業務提携することになりました。このことについて、まずA社長よりお話申し上げます。また、X運輸株式会社のX社長様に挨拶をしていただきます。」
<A社長>
A社長には、事前に打合せしたとおりの話をしていただきます。
その中で特にご自身の年齢及びご自身の健康上の理由についてお話していただくと共に、X社長と直接お会いして、『素晴らしい方である。社員をおまかせしても良い方である。』と確信したので、M&Aを決断した点を強調していただきます。
<X社長>
X社長にお願いしたのは、株式会社A運送の社員が抱く2つの不安について心配する必要がないことをお話いただくことです。
「1つ目の不安は、A社長ファミリーから離れることです。これに関しては、A社長が一番つらい思いをされています。ただし、会社を永続させるためには、経済環境および業界動向に対応するためにそれなりの資本力が必要です。そのために資金調達しようとしても金融機関は、原則、経営者の連帯保証と担保提供がないと融資してくれません。A社長がお元気な間はそれもできますが、年齢及び健康状態はいつまでもそれを許しません。」
「現在、A社長は会社のキーマン2名と一緒に経営をしていますが、会社の将来を見据えて方向を決めて行く次の社長が必要です。そのためには何らかのバックボーンが必要ということで、A社長から相談がありました。A社長は当社(X社)の考え方に賛同され、会社の将来と社員を託されることを決心されました。しかし、A社長は会長として残ります。今後も皆で力を合わせて頑張れる状況に何ら変わりはありません。」
「2つ目の不安は、X運輸グループに入る不安があると思います。しかし、さきほどお話しましたように、仕事も得意先も処遇も大きな変化はありません。もちろん、せっかくX運輸グループの一員になるのですから、精一杯それを活用して業績を上げ、自分や会社の可能性を大きく伸ばしていって欲しい。そのためには改善も必要になりますが、あくまでも様子を見ながら皆がついてくることができるスピードで行うつもりです。」
「私がA社長との話の中で印象に残っている言葉は、「お客様に満足していただけるサービスを提供できる会社にしたい。」とおっしゃったことです。これは大変深い意味を持っています。そうする為には仕事の充実、業績の向上等が必要です。そうなれば、きっと皆様が生活や生きがいの基盤になる会社にしていただけると思います。」
以上の2点をX社長にお話していただいた後に、X運輸株式会社の会社案内を使って会社概要の説明をしていただきました。
中小企業のM&Aは、個々の案件ごとに手作り、言わばオーダーメイドであり、これが公式というものはありません。この記事を読まれた会社経営者の方でM&Aをお考えになる場合は、中小企業のM&A専門会社である弊社に是非ご相談ください。
株式会社経営承継支援は、一社でも多くの企業を廃業危機から救うため、全ての企業様のご相談をお受け致しております。
M&A(株式譲渡、事業譲渡等)に関して着手金無料でご相談可能ですので、お気軽にお問合せくださいませ。