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M&Aとは?意味や種類、手順から注意点まで分かりやすく解説

監修

経営承継支援編集部

この記事は、株式会社経営承継支援の編集部が監修しました。M&Aに関してわかりやすく役に立つ記事を目指しています。

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ニュース報道などで、M&A(企業の買収や合併)について目にする機会が多いという方もいらっしゃるでしょう。しかし、実は「M&Aについてあまり理解できていない」「どのようなメリット・デメリットがあるのかイメージできない」という方もいるのではないでしょうか?M&Aは、企業を発展させたり新たなビジネスモデルを創出させたりするのに効果的です。この記事では、M&Aの意味や種類、手順から注意点まで分かりやすく解説します。ぜひM&Aを進める際の参考にしてみてください。

M&Aとは?意味と定義を分かりやすくご紹介

M&Aとは「Merger and Acquisitions」の略で、意味は「企業の合併・買収」です。一般的には、会社そのものや経営権の取得のことを指します。M&Aを広義で捉えると、買収・合併だけではなく、業務提携・資本提携などで企業の競争力強化や新規ビジネスモデルの創出を図るといった、経営戦略全般を指している場合もあります。M&Aは、従来、大手企業を対象とした「事業の乗っ取り」「身売り」などのネガティブなイメージが浸透していました。しかし、M&Aはさまざまなメリットを事業にもたらすことから、近年では大手企業だけではなく、中小企業でも積極的にM&Aを検討するケースが増加しているのです。例えば、M&Aでは、自社で取り組みたい新規事業とマッチした企業が売り出されたタイミングで買収します。その結果、開業コストを抑えたり、買収した企業の技術やノウハウが手に入ったりするなどの効果が期待できます。

素人でも理解できるほど簡単!M&Aの目的とは

M&Aの目的は、事業を吸収(買収)する側と譲渡(売却)する側で異なります。事業を吸収する側の主な目的は以下の3つです。

● 事業拡大・成長の効率化
● 新規事業の開拓・経営戦略
● シナジー(相乗)効果

自社だけで事業の拡大・成長や新規事業の開拓をするとなると、時間やコストがかかったり、新たなアイデアが生まれなかったりします。しかし、他の企業を吸収することで、その企業が保有している「ノウハウ」「スキル」「人材」などを自社の事業に活用可能です。スピーディーな成長と弱みの補完ができる点で、M&Aは有効な手段といえるでしょう。

譲渡する側の主な目的は以下の4つです。

● 投資利益の早期回収
● 事業再生
● 事業の後継者探し
● 創業者利益の確定

ポジティブな面としては、事業投資した資本のスピーディな回収です。事業の譲渡や売却によって事業を即座に現金化できます。資本を回収する時間や労力の大幅な削減が可能です。その他、事業の後継者探しや創業者利益を確定する目的があります。ネガティブな面としては、経営不振に陥ってしまった企業の救済目的です。経営不振に陥り負債を抱えている事業でも、市場では高い評価を受けている場合があります。そのため、会社や事業を買い取ってもらうことで、救済・再生につながります。

M&Aには4種類あり!分かりやすく解説

M&Aの種類は以下の4つです。

● 合併
● 買収
● 業務提携
● 資本提携

合併とは

合併は、2つ以上の企業が1つの企業として統合されることです。一般的には合併により、資産や負債、人材などが全て引き継がれます。合併は「吸収合併」「新設合併」といった2つのパターンがあります。

・吸収合併とは
吸収合併は、1つの会社が他の会社を吸収する方法です。吸収された会社は消滅しますが、会社の事業や資産、技術、人材を引き継ぎます。

・新設合併とは
新設合併は、新しい会社を設立し合併する会社全てを解散後、1つの会社として事業を行う方法です。合併前の会社が保有する資産や権利、技術、人材を全て引き継ぎます。

買収とは

企業の経営権や事業、株式を買い取る方法が買収です。細かく分けると「株式取得」「事業譲渡」の2種類があります。

・株式取得とは
株式取得とは、株式譲渡・株式交換・株式移転といった方法で、譲渡側から株式を取得する方法です。譲渡側は対価として、現金や買収会社の株式を受け取ります。

・事業譲渡とは
事業譲渡とは、売却された企業の事業の一部もしくは全てを受け取る方法です。株式譲渡と同様に、資産や人材が引き継がれます。対価として現金を支払います。

業務提携とは

業務提携は、2社以上の企業が業務面で協力することを指します。合併・買収と異なる点は、経営権を取得しないことです。提携企業同士で、シナジー効果を生み出すために用いられます。狭義の意味では、M&Aに含めないこともあります。

資本提携とは

資本提携は、2社以上の企業同士で株式を相互に持ち合ったり、一方の企業が他の企業の株式を取得したりすることを指します。業務提携と同じく、他社の経営権は取得しません。

企業を買う立ち位置!「買収(譲受け)」のM&Aの魅力

M&Aにおける「買収(譲受け)」側の主な魅力は以下の4点です。

● M&Aによる相乗効果(シナジー効果)が得られる
● 人材の獲得や技術の向上につながる
● 新規事業を展開できるほか、成長戦略としても使える
● 事業規模の拡大が叶う

M&Aによる相乗効果(シナジー効果)が得られる

M&Aでは、自社の強みを強化したり弱みを補ったりすることが可能です。他社の事業の買収で自社に不足しているリソースや技術、ノウハウなどを確保でき、シナジー効果を生み出せます。

例えば、IT企業がマーケティングコンサルティング企業を買収することで、自社で集客から顧客へのサービス提供まで一元化できます。

人材の獲得や技術の向上につながる

M&Aを実施することで、他社にいる優秀な人材や技術を獲得できます。人口減少に伴い、優秀な人材を確保することは容易ではありません。また、自社で優秀な人材を育成したり、技術・スキルを向上させたりするのは時間やコストがかかります。そこで、他の企業を買収することで、その企業にいる優秀な人材や技術を確保できます。採用コストや育成する時間の削減ができ、人材や技術における課題を早急に解決できるのです。

新規事業を展開できるほか、成長戦略としても使える

新規事業をゼロから展開するには、多くの時間やコストが必要です。現代社会では、さまざまな産業が短命化しています。新規事業の展開に時間をかけていると先行企業におくれをとってしまい、新規参入できたとしても資本を回収できません。また、利益の目処がたったとしても、その頃には世の中のニーズが減退している可能性があります。M&Aは、新規事業を迅速に展開できるのがメリットです。他社の人材やノウハウを新規事業計画に活用して、事業展開の時間やコスト、投資回収までの時間を大幅に削減できます。

事業規模の拡大が叶う

他社の人材や技術、流通網、顧客基盤を確保でき、コスト削減やマーケットシェア拡大など効率的に事業規模が成長していきます。また、買収した企業が他の業界・産業であれば、事業を多角化し新たな収益源を増やせるでしょう。

企業を売る立ち位置!「売却(譲渡)」で得られるM&Aのポイント

M&Aにおける「売却(譲渡)」側の魅力は以下の6点です。

● 出資した額面を早期回収が叶う
● 事業承継につながり、後継者問題に悩まなくて済む
● 創業者の利益を確定するため
● 事業の継続ができる・売却資金で違うビジネスを展開できる
● 企業のブランディングに役立つ
● 技術やノウハウが承継される

出資した額面を早期回収が叶う

本来、事業投資した資本を回収するには、一般的に多くの時間を要します。場合によっては、5年・10年など長期計画が立てられます。しかし、自社の将来的な価値を評価してくれる企業に事業を譲渡することで、出資した額面の早期回収が可能です。

事業承継につながり、後継者問題に悩まなくて済む

中小企業庁の調査によれば、経営者の高齢化が進んでおり、約半数以上が後継者未定です。親族や従業員に継承する意思がない場合や、そもそも継承できるスキルを持っていない場合があり、深刻な問題に直面している企業が増えています。事業を継承できない場合は、廃業せざるをえません。廃業によって、従業員が路頭に迷う可能性もあります。しかし、M&Aは社外の第三者に事業を継承する方法として活用できます。今後の事業を任せられる優良な企業や優秀な経営者に継承することで、資産やノウハウを後世に残し従業員の雇用も安定させられるでしょう。

創業者の利益を確定するため

創業者は事業を展開するために多大な資産と労力を投じます。しかし、中小企業の場合は株式市場に上場していないため、事業を成功させたとしても株式を現金化できません。投資資本を回収するためには、数年から数十年かかるでしょう。M&Aは経営してきた事業の利益を確定できるため、創業者には効果的な選択といえます。事業を売却することで保有株式を現金化でき、新規事業の投資資金にあてられます。また、早期にリタイアしてセカンドキャリアの生活資金にあてる経営者もいるようです。

事業の継続ができる・売却資金で違うビジネスを展開できる

経営不振に陥ると、銀行からの借入や投資家からの出資調達ができず、事業を継続できない可能性があります。しかし、事業の存続が困難な場合でもM&Aで売却することで、事業を継続が可能です。経営難の際には、無理に自社で事業を継続するのではなく、M&Aの実施をすることが解決策になるでしょう。また、売却益を違うビジネスへ投資して新規事業を展開する方法としても活用できます。既存事業を売却することで、主力事業や成長させたい事業に注力できるので、企業規模を拡大するチャンスをつかめるでしょう。

企業のブランディングに役立つ

売却先が上場企業や大手有名企業だった場合には、ブランディングに役立ちます。売却先のグループ会社や子会社として、知名度アップや取引先の新規開拓ができるといったメリットが得られます。

技術やノウハウが承継される

経営難により事業撤退をすると、これまで培ってきた技術やノウハウが継承されることはありません。しかし、M&Aでは経営権を譲渡するだけではなく、技術やノウハウを売却先に継承できるメリットがあります。

売却(譲渡企業)時の流れで意識すべき留意点

M&Aによる事業売却では、注意すべき点がいくつかあります。ここでは3つの留意点を解説します。

既存顧客や取引先との契約や関係値が変わることも視野に

事業を売却すると、既存顧客や取引先から反発があったり契約解除を求められたりする可能性があります。M&Aを実施する前に、説明責任を果たしておかなければ、関係性が悪化し会社の信頼を失いかねません。またCOC条項(チェンジ・オブ・コントロール)を締結している場合は、既存顧客と取引先からの承諾を得る必要があります。M&Aを実施した後も良好な関係を継続できなければ、結果的に会社の利益や信頼性に悪影響を及ぼします。関係性が変わることを視野に入れて計画を進める必要があるでしょう。

従業員の雇用条件や労働条件が変わり、人が離れていくことも

事業を売却すると、雇用条件の見直しや買収(吸収)先企業の雇用条件に変更しなければならないことがあります。仮に、雇用条件が悪化すると既存の従業員が離れていく可能性が否定できません。従業員への報告や相談はもちろん、買収される企業とも話し合って労働条件が悪化しないようにする必要があるでしょう。

グループ会社として許容できない企業文化がある場合も

事業売却後、買収された企業のグループ会社として参画することがあります。その場合、グループ会社全体で浸透している企業文化が、自社に合わない場合も。マネジメントや人事の方針、人間関係などの文化が異なれば、軋轢が生まれる可能性があります。また、社内手続きや使用しているシステムが異なれば、従業員にとっては大きな負担です。反発が起こったり離職につながったりすることもあるため、従業員へのケアが必要不可欠です。

想定していた売却価格にならず、譲渡できないことも

事業の譲渡(売却)を計画する際、想定売却額を決める場合がほとんどです。しかし、想定していた売却価格にならず、譲渡できないこともあります。M&Aは、譲渡できる企業があってこそ成り立つ仕組みです。そのため、M&Aの相談ができる専門家やサービス、公的機関を活用して、最適な価格とタイミングで譲渡する準備を早い段階から進めておきましょう。

買収(譲受企業)時の流れで一考したいリスクヘッジポイント

買収する企業には、いくつかデメリットがあり、M&Aが失敗に終わる可能性があります。ここでは、買収時の流れで必要なリスクヘッジのポイントを解説します。

短期間では親会社と子会社の間にシナジー効果が出にくい

M&Aは、計画の立案から実行、契約締結まで半年から1年以上かかるといわれています。短期間で効果を出そうとしても、親会社と子会社の間にシナジー効果が現れない可能性があるため、買収後も慎重に取り組まなければなりません。シナジー効果が現れ始めても、劇的に状況が変化するわけではないため、買収した後も中長期的な姿勢で、経営に取り組む必要があります。

買収価格よりリターンが得られない可能性もある

M&Aを実行しても、予想リターンを必ず得られるわけではありません。買収後は不確定要素も多く、買収した企業の負債が多かったり管理コストが増加したり、さまざまなリスクが考えられます。買収前に相手企業の調査を徹底し、過大評価しないようにしておきましょう。

経営統合した後、組織再編が難しいことも

企業文化や雇用条件、社内システムの違いにより、経営統合後の組織再編が難しい場合があります。企業文化が浸透せず従業員が反発したり離職者が続出したりする可能性も想定しておかなければなりません。リスクヘッジのためにも、M&A合意の前に経営戦略や雇用条件、社内システムのすり合わせをしておき、従業員への説明を怠らないようにしておきましょう。

簿外債務になる可能性がある

簿外債務とは、バランスシート(貸借対照表)に記載されていない債務です。中小企業では、仕訳処理の際に簿外債務が発生することがあります。簿外債務の主な種類としては以下の通りです。

● 退職給付引当金
● 賞与引当金
● 回収できる見込みのない売掛金
● 買掛金
● リース債務
● 未払いの残業代・社会保険料
● 損害賠償(訴訟進行中の場合)

買収時に債務を引き継いでしまうと、不利益を被らなければなりません。あらかじめ簿外債務を把握するために、買収監査(デューデリジェンス)を徹底する必要があります。また、表明保証を記載してもらい、簿外債務のリスクを最低限にしておきましょう。仮に簿外債務が判明した場合は、M&Aの中止やスキームの変更、最悪の場合は表明保証を遂行する必要があります。

本質を見抜くことがカギ!自社に合うM&Aスタイルを築こう

M&Aでは事業の買収側・譲渡側の双方に、事業拡大やシナジー効果の創出、事業の継承などのさまざまなメリットがあります。一方、デメリットとしては、想定した効果が得られなかったり取引先との関係性が悪化したりなど、場合によっては逆効果になることもあります。M&Aを成功させるためには、買収・合併前からリスクヘッジやデューデリジェンスを徹底的に行っておかなければなりません。M&Aの本質を見抜くためには、自社だけで計画を進めるのではなく、専門家や公的機関などのコンサルティングを受けることも手段として検討する必要があるでしょう。

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