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M&Aで会社を買う(買収)5つのコツを教えます。
皆さん、最近、M&A仲介会社から「会社を買いませんか?」と電話やDMによる営業を受けたことはないでしょうか。
このような営業をきっかけに、これまであまり意識していなかったM&Aを活用して事業を成長させたいという考える経営者も少なくないでしょう。
しかし、一度、冷静に立ち止まってみてください。
今まで付き合いのない会社を買うことにリスクはないのでしょうか。つい、競合他社と競り合い高値掴みしてまうことはないのでしょうか。
確かに、M&Aが成功すれば、事業規模の拡大やノウハク・顧客の獲得などメリットはありますが、大事なポイントを見過ごすと、会社の価値を毀損することもあり得ます。
今回は、会社を買った後に、後悔しなくて済むように、失敗しないための企業買収の5つのコツをお話します。
その1 自社の経営戦略・M&Aの目的を明確化する。

M&A(買収)が失敗する大きな原因の一つは、「元々、買う必要がなかった会社を買ってしまった。」というものです。
例えば、金融機関やM&A仲介会社から自社と同業の会社の譲渡案件を持ち込まれ、「なんとなく事業シナジー(相乗効果)がありそうだから・・・」という理由で会社を譲り受けました。
M&Aの目的も明確ではなかったため、派遣する人材も決まらず、ただ子会社が増えただけで何の効果もないばかりか、その後経営がうまくいかず、業績が悪化してしまい、結局、廃業したという悲しい結末。
このようなことを避けるためには、経営戦略・M&Aの目的、具体的には自社の経営課題とそれを解決するために必要な経営資源(例えば、営業エリアの拡大、特定の技術の獲得等)を明確にし、それに合致した企業のみを買収対象とすることが重要です。
その2 自社にとっての買収価格の上限を超えた案件は無理に追わない。
国内における中小企業のM&A市場は、圧倒的に譲渡希望企業の数よりも買収希望企業の数が多い市場です。
そのため、企業買収は一定程度の「のれん(営業権)」を買収価格に乗せないと成立しづらいことは事実です。また、十分な相乗効果が高い確率で見込める場合には、「時間を買う。」という観点からも、高い買収価格が正当化できる場合もあります。
ただし、自社にとって超えてはいけない買収価格の上限というものがあります。どんなに良いM&A案件であっても、この上限を超える価格を支払ってしまうと、プラスの費用対効果(支払った買収価格を上回るリターン)を得ることは困難になります。
従って、例えばその案件に複数の買い手候補がいる場合等で、自社にとって、過度に高い価格を提示された場合は、たとえ譲渡企業が極めて魅力的な場合であっても、きっぱり断る勇気を持つことも必要です。
■M&Aにおける主な買収スキームと株価算定手法について
M&Aで会社を買う方法(スキーム)には、主に「株式譲渡」「事業譲渡」「合併」の3種類があります。中小企業のM&Aでは、手続きが比較的シンプルな株式譲渡が最も多く活用されています。株式譲渡とは、対象会社の株主から株式を取得することで、会社そのものを買収する手法です。一方、事業譲渡は会社全体ではなく特定の事業部門や資産のみを取得する手法で、不要なリスクを切り離せるメリットがあります。
次に、買収価格の算定(株価算定)は買収交渉において最重要ポイントです。主な算定手法には以下の3つがあります。
①純資産法(コストアプローチ):会社の貸借対照表上の純資産をベースに価値を算出する方法。資産の実態が把握しやすい反面、将来の収益力が反映されにくいという特徴があります。
②DCF法(インカムアプローチ):将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて算出する方法。事業の成長性を価格に反映できる点が特徴です。
③類似会社比較法(マーケットアプローチ):上場している同業他社の株価倍率(EBITDAマルチプルなど)を参考に価値を算出する方法です。
中小企業のM&Aでは、これらを組み合わせて算定した上で「のれん(営業権)」を加味した価格交渉が行われます。買収前には専門家によるデューデリジェンス(財務・法務・労務等の詳細調査)を実施し、価格の妥当性とリスクを十分に確認することが、買収後の後悔を防ぐ重要なステップです。
以下の表では、中小M&Aで活用される主な買収スキームと株価算定手法の概要をそれぞれ整理していますので、自社の目的や状況に合ったアプローチを検討する際の参考にしてください。
| 買収スキーム | 概要 | メリット | デメリット | 中小M&Aでの活用頻度 |
|---|---|---|---|---|
| 株式譲渡 | 対象会社の株式を取得し会社ごと買収 | 手続きが比較的シンプル・許認可を引き継ぎやすい | 簿外債務等のリスクも引き継ぐ | ◎ 最多 |
| 事業譲渡 | 特定の事業・資産のみを取得 | 不要なリスクを切り離せる | 許認可の再取得が必要な場合あり・手続きが煩雑 | ○ 多い |
| 合併(吸収合併) | 2社が1つの会社に統合 | グループ経営の一体化が図りやすい | 手続きが複雑・従業員への影響大 | △ 少ない |
| 株価算定手法 | 主な算出根拠 | 向いているケース | 注意点 | |
| — | — | — | — | |
| 純資産法 | 貸借対照表上の純資産 | 資産保有型・不動産会社など | 将来の収益力が反映されない | |
| DCF法 | 将来キャッシュフローの現在価値 | 成長企業・収益力が高い会社 | 前提条件により価値が大きく変動 | |
| 類似会社比較法 | 上場同業他社の株価倍率 | 同業上場企業が存在する場合 | 非上場企業への適用に調整が必要 |
買収スキームや株価算定手法によって、引き継ぐリスクの範囲や算出される企業価値は大きく異なるため、「いくらまでなら払えるか」という上限を設定する前提として、これらの違いをしっかり理解しておくことが重要です。

その3 M&A実行後の経営体制・方針・計画についてしっかり検討し実行する。
最終契約書締結後、M&Aの実行(資金決済)を行うことをM&A用語で、「クロージング」と呼びます。
譲渡企業にとっては、「終わり」であっても、買収企業にとっては、その後の経営統合、成長に向けた新たな「スタート」を意味します。
M&A実行後、買収した会社をただ放置しておけば、自然と経営が上手くいき、事業シナジーが実現し、自社の利益に貢献するということはありません。
むしろ、事業承継型のM&Aの場合、オーナー経営者が引退することになりますので、M&A実行後の経営体制・方針・計画をしっかり検討し実行することが重要です。
特に、最初の3ヶ月が重要であることから、短期的な計画を「100日プラン」と呼ぶことがありますが、短期と中長期の計画を分けて検討すると良いでしょう。
その4 譲渡企業に対して「リスペクト(尊重)」をもって接する。
買収企業による譲渡企業のオーナー経営者や従業員の気持ちに対する配慮にかけた対応から、M&Aが途中で破談になったり、M&A実行後に従業員の士気が下がり、M&Aが失敗するということがままあります。
M&Aは見合い結婚に例えられることがありますが、オーナー経営者がM&Aに臨むときの心情は、まさに可愛い娘を嫁がせるときの心情と同じであり、本当にこの相手で良かったのか、M&A後の会社の運営はどうなるのか、従業員を大切にしてくれるか等、様々な不安を抱えているものです。
一方、買収企業側にどこか「買ってあげる」という気持ちがあったり、そうでなくとも、譲渡企業が自社のグループになることから、自社の都合や主張を押し付けようとする場合があります。(これが原因で、話が頓挫した場面を、何度もみたことがあります。)
このような態度・姿勢が垣間見られると、オーナー経営者に不信感が募り、「こんな相手には、大切な会社を任せられない。」と突然、破談になってしまう可能性があります。
逆に、買収企業が譲渡企業のオーナー経営者の立場や考え方を理解・尊重し、誠実・丁寧に対応することにより、取引条件はあまり良くなくてもM&Aが成就したという例は多々あります。
また、従業員も今後のことについて大きな不安を抱えているものです。買収企業の対応如何で士気に多大な影響を与えます。同じグループの仲間として暖かく迎え入れるという気持ちで接することが重要です。
その5 幅広く情報収集を行う。
企業買収を成功させるには、まず自社にとって有用な売り情報を集めることが重要です。
そのためには、自社の買いニーズ(対象会社の事業内容、規模、地域、買収予算、その他の条件)を金融機関やM&A仲介会社に登録し、貴社のニーズにあった譲渡案件があったときに、紹介してもらえるようにしておくことです。
ポイントは、情報提供者であるM&A仲介会社に「本気度」を伝えることです。本気度は、具体的なビジョン・戦略や具体的なターゲットを伝えることによって、仲介者も「M&A後も、会社を成長させてくれそうだ」と思う先を優先的に声をかけます。
たまに「良い案件があれば買う」とニーズ登録する買い手企業もいらっしゃいますが、基本的には連絡がこないと思っていたほうがよいでしょう。
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