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美容雑貨製造業界におけるM&A成功のポイント大公開!
2020年現在、美容雑貨製造業界のM&Aが増えています。
ここでは、美容雑貨製造業界の市場動向やビジネスモデル、M&Aの買い手側によるデュー・ディリジェンスにおける注意点、企業価値評価(株価算定)で使う数値(マルチプルなど)について説明します。
これらから、美容雑貨製造業界においてM&Aを成功させるためのポイントについて考えてみましょう。
I 美容雑貨製造業界の概要
【1】美容雑貨製造業界の市場環境
美容雑貨製造業は、化粧用具、美容用品、ヘアブラシ、アクセサリー等の美容雑貨を製造する事業者のことをいいます。
消費者の需要は安定的であるものの、海外製品の輸入増加によって低価格化の圧力が強まってきており、国内の事業者にとって厳しい状況です。
総務省「家計調査年報」によれば、消費者1世帯当たりの年間の美容雑貨への支出額は、2009年は6,224円でしたが、2018年は7,243円に増加しています。
これは、化粧品に対するインバウンド需要やSNSなどによる広告宣伝効果が高まったことによるものと考えられます。
一方、全国的な100円均一ショップやドラッグストアの普及によって、低価格商品が求められるようになってきており、収益性を低下させています。
【2】美容雑貨製造業界のビジネスモデル
美容雑貨製造業では低価格が求められるようになったため、海外での生産と輸入が増加しています。
大手商社が海外現地での物流拠点を整備したため、国内の需要に応じた仕入れが可能となっています。
美容雑貨は、化粧品のついでに購入される製品ではあるものの、化粧品のように購入が継続するものではないため、商品種類を増やして、消費者の選択肢の幅を広げることが必要となります。
販売チャネルとしては、スーパー、ドラッグストア、100円均一ショップ、コンビニに加えて、インターネット通販があります。
その一方で、大手小売業者がプライベートブランドを立ち上げる傾向にあるため、OEM製造の受託に専念している美容雑貨製造業者も増えてきています。
【3】美容雑貨製造業界のM&A買い手候補となる主たる上場企業
美容雑貨製造業の事業承継を目的としたM&Aであっても、買い手候補は上場企業や大企業が中心になると考えられます。
この業界では、以下のような上場企業が中心となって業界再編を進めていくことが想定されます。
新都ホールディングス、イデアインター、クロスプラス、アミファ、粧美堂)、ジー・スリーホールディングス、サマンサタバサリミテッド、ラピーヌ、トライアイズです。
Ⅱ 美容雑貨製造業界M&Aで売却する売り手のメリット
安定している大手企業にM&Aで美容雑貨製造業を承継することで、従業員の雇用を維持し、事業のさらなる成長を実現することができます。
また、得意先である一般消費者は、お気に入りの美容雑貨を継続して購入することもできることに加え、原材料の仕入先との関係を継続することができます。
また、生産拠点の統合など生産効率化の推進よって、美容雑貨製造業の効率化を実現することができます。
結果として生産性が向上すれば、従業員の給与水準をアップさせることができるでしょう。
さらに、買い手企業が大企業であれば、機械設備の拡大による生産性向上、大量仕入れによる原材料費の引下げや、人材採用コスト、広告宣伝費、本社経費を削減し、M&Aによるシナジー効果を得ることができます。
以上のようなシナジー効果が期待され、買い手候補にとって魅力的な事業であれば、売り手側の経営者は、高い売却価格を実現することができ、引退した後のライフプランを充実したものとすることができます。
Ⅲ 美容雑貨製造業界M&Aで買収する買い手の注意点
【1】 美容雑貨製造業のデュー・ディリジェンスの注意点
美容雑貨製造業は、在庫を抱えることになるため、適切に在庫を管理しているか、評価損を抱える在庫が無いか、確かめることが必要です。
特に、トレンド性の強い製品は、ある特定の時期に限定した販売となることが多く、需要予測を誤ってしまうことによって過大な陳腐化在庫を抱えるリスクがあります。
また、製品が多品種にわたることから、品質管理が徹底されているかを確かめることが必要です。
さらに、製造物責任法(PL法)に抵触するような欠陥製品が販売されていか、確認しておかなければいけません。
美容雑貨製造業の事業性を評価する場合の注意点として、商品企画力(デザイナー)と調達力(バイヤー、仕入先との関係性)を持つ人材を継続雇用できるかどうかが重要です。
【2】 美容雑貨製造業で承継すべき経営資源
デザイナーやバイヤーなどの商品企画力が基本となる経営資源です。
また、有名キャラクターを使用して製品を製造している場合、そのライセンス契約を承継できるかどうかが問題となります。
海外からの調達能力、在庫や物流の管理能力が、承継すべき経営資源となります。
無形資源は、事業承継によって喪失されることが多いため、美容雑貨製造業のM&Aを行う場合は、顧客関係の引継ぎに時間と労力をかけるなど、無形資産の承継を丁寧に行うことが重要でしょう。
【3】 美容雑貨製造業のM&Aにおける企業価値評価
美容雑貨製造業のM&Aにおける企業価値評価(株価算定)を行う際に活用することができる数値は、以下の通りとなっています。
まず、TKC経営指標(2018年度)によれば、美容雑貨製造業の収益性について、売上高成長率は約5.7%です。
また、粗利率は43.4%、営業利益率は6.1%となっています。生産性について、1人当たり売上高は1,115万円、1人当たり人件費は304万円となっています。
次に、2020年8月現在の開示情報および市場株価によれば、美容雑貨製造業のマルチプル(倍率)について、PBR倍率は20~3.0倍、PER倍率は10~20倍、EBITDA/企業価値倍率は10~20倍となっています。
さらに、筆者が推計する株主資本コストは、安定した老舗企業であれば5%、急成長の新興企業であれば8%が妥当であると考えます。
これは、この類似上場企業のROICが5%前後であることを考慮しつつ、類似上場企業のベータ値が0.4~0.7であること、ヒストリカル・マーケット・リスク・プレミアム(1950年代~2020年)が7%~9%であることを前提にして、小規模リスク・プレミアムを加算して推計しています。
なお、類似上場企業比較法で採用すべき上場企業として、日用雑貨中心とはなりますが、新都ホールディングス(2776)、カワサキ(3045)、イデアインターナショナル(3140)、ミサワ(3169)、クロスプラス(3320)、良品計画(7453)、アミファ(7800)、粧美堂(7819)が挙げられます。
M&Aを検討する前に、何を準備し対応すべきかお悩みの方は一度、ご相談ください。
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