M&A BUZZ

会社を売却するメリットとデメリットとは?成功するためのポイントを解説

監修

経営承継支援編集部

この記事は、株式会社経営承継支援の編集部が監修しました。M&Aに関してわかりやすく役に立つ記事を目指しています。

目次 [ ]

Ⅰ 会社売却(M&A)とは

主な2つのM&Aの手法

M&Aを検討している経営者の皆様が覚えておくべき主な手法は、株式譲渡と事業譲渡の2つです。
売り手企業の株主が買い手企業に株式を譲渡する手法が株式譲渡です。売り手企業が買い手企業に事業を譲渡する手法が事業譲渡です。どちらを選択するかは、売り手企業の意向、買い手企業の考えによって、両者の交渉によって決まります。
会社の借入金、従業員、資産、権利義務関係などの全てを買い手企業へ譲る場合、株式譲渡の手法を選択します。
一方、売り手企業の事業が、製造部門と販売部門のように複数事業に分かれており、製造部門のみを譲渡するような場合、事業譲渡を選択します。
以下の設例により、株式譲渡と事業譲渡の2つの方法を比較することにします。
<設例>
X社は、自社ビルの不動産賃貸業とレストラン事業(25店舗:全店舗は賃借)の運営を行っています。株主はオーナー社長のみです。

コロナ禍の影響を受けて、レストラン事業の業績が悪化したため、X社はレストラン事業を第三者へ譲渡することにしました。
レストラン事業を事業譲渡する場合、買い手企業のメリットは、レストラン事業のみを引継ぐ点になります。ただし、従業員の再雇用、権利義務関係の引継ぎなどの手続が煩雑になるデメリットがあります。一方、売り手企業の簿外債務を引き継ぐリスクはありません。売り手企業のメリットは、レストラン事業のみ譲渡できる点、譲渡代金は売り手企業(X社)が受領する点になります。

Ⅱ M&Aにより会社を譲渡するメリット

【1】オーナーのメリット(株式譲渡の場合)

①オーナー・その他株主のキャピタルゲイン(資本利得)の実現

オーナー一族はリタイアに際して現金収入が発生し、ハッピーリタイアすることができます
その他株主も、同様に未上場株式を現金に換金できます

②相続税対策

流動性のない未上場株式を現金化することにより、遺産分割が容易になります

③オーナー一族の個人保証からの解放

買い手企業が保証(債務保証、不動産等の担保提供)を肩代わりするため、オーナー一族の
経済的負担が解消されます
※親族内承継または従業員承継の場合、オーナー一族の個人保証を継続せざるを得ない場合があります

【2】会社のメリット

①事業の継続を確保、会社成長の可能性があります

②買い手企業の傘下に入ることにより、事業継続と安定性を確保できます

③買い手企業とのシナジー、将来の会社成長の可能性に期待できます

④従業員雇用の継続、安定を図ることができます

Ⅲ 会社を売却するデメリット

【1】買い手企業が見つからないリスク

会社を売却すると決断してもすぐに買手企業が見つかるとは限りません。
M&Aにはそれなりのコストがかかるので、買い手企業にとっては、それなりのメリットがなければM&Aを実行しません。コロナ禍においては、M&Aを検討する企業数が減っており、かつ投資目線も厳しくなっています。
つまり、「コストをかけてもM&Aを行う」と買い手企業が思うような魅力がある会社(売り手企業)でない限り、なかなか買手企業が現れないと考えるのが良いでしょう。M&A市場においては、一般に「将来的に売り手企業がどの程度の収益を上げる力があるか」で売り手企業は評価されます。したがって、収益面では黒字にすること、過度な借入金(例えば、売上高を超える、あるいは同じ金額の借入金)は避けるべきです。

【2】M&A後における従業員の待遇面の不安

M&A後における従業員の労働条件や解雇の規則については、買い手企業によって変更をされないように最終契約書に記載しておく必要があります。
最終契約書での取り決めがない場合、M&A前より悪い労働条件で働かされたり、簡単に解雇されたりする可能性があるためです。M&Aを実行する場合、確認する事項は個別案件ごとに異なり、また多岐にわたります。この確認をおろそかにせず、売り手企業と買い手企業のお互いがM&Aのメリットを享受できるように交渉を進めることが重要です。

Ⅳ 会社を売却する理由・目的

M&Aとは、「Mergers and Acquisitions」の略語であり、日本語にすると「合併と買収」になります。
一般的なM&Aの目的は、売り手としては、事業承継(第三者への)、選択と集中(事業再編、ノンコア事業の売却)、Exit(投資ファンド)などの目的があります。
一方、買い手としては、規模の拡大(売上増加)、上流、下流への事業領域拡大(例えば、食品卸が食品メーカーを買収)、新規事業への進出(時間を買う)などがあります。

買い手は、M&Aによる相乗効果(=シナジー)を享受することにより、競合他社に対する優位性を確保することができます。後継者不在に悩む中小企業は、一般に60万社以上あると言われており、弊社にご相談をいただく売り手の売却理由の多くは、上記の事業承継ニーズになります。

Ⅴ 会社を売却する手順・流れ、方法

【1】M&Aの手順・流れ

①プロセス開始当初にご依頼する資料やお伺いする情報がスムーズにご提供戴けると、その後のプロセスが円滑に進行します。

②予備的企業価値評価は、当社専門家(会計士/税理士)監修のもと実施。この段階で、譲渡価格や条件等の内容を概ね決定します。

③買手候補企業との間で大枠の条件が固まったら基本合意書(法的拘束力無し)を締結します。この段階より1対1の交渉(独占交渉)が始まります。

④基本合意と買収監査結果で差異があった項目を中心に調整し、詳細事項を決定。M&A実施後の体制等も、この段階ですり合わせます。

【2】会社を売却する方法【株式交換】

株式交換は、M&Aのスキームとして実施事例も多く、定着しています。それでは、株式交換による企業買収・M&Aのやり方、メリット・デメリット、具体的な手続きについて説明します。

株式交換とは何か

株式交換による企業買収・M&Aは企業買収の対価を現金ではなく自社株で支払うことを認めたものです。買収する会社は買収される会社の株主に対し自社株を交付し、買収される会社の株主は交換に株式を買収する会社に引き渡すので株式交換と呼ばれています。
制度の導入当初は企業買収の対価として自社株のみを認めていましたが、現在は自社株式以外の対価として社債・新株予約権・現金の交付も認められています。
株式交換では、譲渡対象会社の株式の全てを強制的に買収出来るので、買収した企業を完全子会社にできるスキームであると言えます。

株式交換のやり方

株式交換は「株式会社が発行済株式の全部を他の株式会社または合同会社に取得させる」(会社法2条31号)組織再編行為です。買収する会社、買収される会社の双方で株主総会の特別決議が必要になるとともに、双方の株主に株式の買取請求が認められています。
このため、当事会社の双方とその株主にメリットがある友好的買収・M&Aの場合に採用される手法・スキームであり、敵対的買収・M&Aの手段としては使いにくいです。
なお、買収の対価として自社株式を用いる場合、買収する会社、買収される会社の双方で財務内容に大きな変化がないため債権者保護手続は不要とされています。しかし、買収の対価として自社株式以外の新株予約権付社債や自社以外の株式を用いる場合、債権者構成や資産内容の変化の度合いによっては債権者保護手続が必要になる場合もあり、手順が複雑になる可能性が高いです。

株式交換のメリット

①企業買収・M&Aの準備資金が不要である

例えばポピュラーな手法である株式譲渡では、現金を対価に譲渡するため、企業買収・M&Aの準備資金が必要となります。しかし、株式交換では、自社株式・社債・新株予約権などを対価とすれば、準備資金が必要ありません。

②企業買収・M&A先を別法人にできる

同じ会社法上の組織再編スキームでポピュラーな合併や会社分割では企業買収・M&A先の会社を存続会社や継承する会社が吸収するので、別法人とすることができませんが、株式交換の場合には株式の交換のみのため、企業買収・M&A先を別法人とすることができます。

③企業買収・M&A先が公開会社などで株主が多い場合にも100%子会社化が実現できる

子会社を完全子会社化する際に他の株主から株式を買い取る方法では実現が難しい場合、少数株主の個別の承諾を得ることなくその保有株式を強制的に取得することをスクイーズ・アウト(キャッシュ・アウト)と呼び、従来は「特別支配株主の株式等売渡請求」や「株式併合」の手法が利用されてきましたが、現金を対価とする株式交換で完全子会社化できます。

④企業買収・M&Aした子会社を親会社の経営に参画させることができる

例えば、株式譲渡では現金を対価に株式を譲渡するため、そのままでは子会社の株主は親会社の経営に参画できませんが、自社株式や新株予約権を買収の対価とする株式交換では、子会社の株主が親会社の株主となるため親会社の経営に参画可能となります。

株式交換のデメリット

①手続きが他のM&A手法と比べ複雑である

株式譲渡では対価が現金であり、組織再編スキームではないため、会社法上の法定手続きは原則不要ですが、株式交換では、株主総会特別決議などの一連の法定手続きが必要となり、手続きが複雑となります。

②不要な資産・債務などが引き継がれる

事業譲渡では、個々の資産の移し替えや契約の再契約をすることで必要な事業だけを譲り受けるので譲渡される資産・負債が明確ですが、株式交換では不要な資産や簿外負債などの引き受けリスクを回避することができません。

③親会社の株価が下落する可能性がある

株式交換で買収する企業の自社株式・新株予約権を買収の対価とすれば、準備資金が不要ですが、この際に新株を発行すると発行済株式総数が増加、1株当たりの利益が小さく(希薄化)なり、親会社の株価が下落する可能性があります。

④企業買収・M&Aした子会社が親会社の株主となる

自社株式や新株予約権を買収の対価とする株式交換では、子会社の株主が親会社の経営に参画できるようになることに注意が必要になります。

株式交換の手続き

株式交換を行う場合の手続きは、詳しく説明はしませんが、以下のようなもので、非常に煩雑であるため、専門知識が必要となる事項もあるため、専門家のサポートを受けながら、進めていくことをおすすめします。

ステップ1 取締役会決議~株主総会の招集通知発送まで

・株式交換契約の締結
・事前開示書類の備置

ステップ2 株主総会~株式交換の効力発生まで

・株式交換契約の承認(簡易株式交換、略式株式交換)
・債権者保護の手続き・株券などの提供公告
・反対株主からの株式買取請求
・金融商品取引法上の手続き
・株券・新株予約権の証券提出手続き

ステップ3 登記申請~株式交換の完全終了まで

・新株発行・設立・変更の登記申請
・公正取引委員会への手続き
・事後開示書類の備置・開示
・株式交換無効訴え

【3】会社売却の方法【会社合併】

会社合併も株式交換・株式移転・会社分割と同様、会社法上の組織再編行為であり、2つ以上の会社が契約によってその権利義務全部を他の会社に包括的に承継させ、1つの会社に合体するスキームです。
買い手の企業の権利義務の全部を合併後存続するが売り手の企業に承継させる「吸収合併」と、買い手の企業と売り手の企業のそれぞれが合併後設立する新しい会社に承継させる「新設合併」の2つの方法があります。
また、吸収合併には買い手の企業が売り手の企業を吸収合併して、買い手の企業は合併の対価として、売り手の企業の株主に自社の株式を交付する「株式対価」の場合と買い手の企業が売り手の企業を吸収合併し、買い手の企業は合併の対価として、売り手の企業の株主に現金等を交付する「金銭等対価」の場合があります。

会社合併のやり方

会社合併も会社法上の組織再編行為になりますので、買収する会社、買収される会社の双方で株主総会の特別決議が必要になるとともに、債権者保護手続きが必要になります。
会社合併の場合も前回説明した会社分割と同様で、事業譲渡と異なり、事業承継会社に自動的に契約が引き継がれますので、従業員や取引先との個別の契約の移転手続きが不要であり、売買する事業規模が比較的大きい場合に有効なスキームです。
また、株式対価の会社合併では、自社株式を買収の対価にすることができますので、買い手側企業が買収・M&Aの準備資金の確保が難しい場合に有効なスキームといえます。
逆に金銭等対価の会社合併では、売却代金が株主に支払われるため、売り手側企業がすぐにキャッシュが必要な場合に有効なスキームとも言えます。

会社合併のメリット

会社分割と比較した場合、会社合併では全ての資産が対象になるため、メリットが少ないです。
事業の一部を切り出して、その事業のみを売買することができるのであれば、会社合併ではなく、会社分割にすることをお勧めいたします。
会社分割の場合、前回説明した通り、必要な事業のみを売買するため純粋な売買が可能で、過去のリスクも契約によってほぼすべてカットできます。また、税制上のメリットもあります。
会社合併の唯一のメリットは自動的に事業が承継されることです。会社合併では、事業譲渡や株式譲渡と比較して、合併による登記申請、従業員や取引先との契約関係を一括して移転できる、許認可についても再取得が不要で自動的に承継されるもの・再取得ではなく管轄省庁の承認で済むものがあるなどのメリットがあります。

会社合併のデメリット

その1
デメリットの第一は手続きが煩雑なことです。会社合併は会社法上の組織再編スキームであり、株主総会特別決議などの一連の法定手続きが必要となり、この手続きに1か月程度の時間がかかります。
ただし、M&Aは株式譲渡でも数カ月間は引継作業などが続くので、あまり大きなデメリットではないかもしれません。また、同様な手法である会社分割を選択した場合にも、会社法上の組織再編スキームであることに変わりはなく、手続きが煩雑であることも変わりません。

その2
デメリットの第二は会社合併により2つの会社が1つになり、従業員が譲受企業の社内ルールに合わせなければならなくなり、M&A直後の混乱が発生しやすく、会社の譲渡となる株式譲渡や株式交換、会社分割[新設分割]と比べリスクが高いといえます。

その3
デメリットの第三は税金面やリスク面などでのデメリットです。株式の価格には、M&A対象外資産の分も上乗せされるため課税対象となり、M&A対象外資産の買戻しの際に含み益があると、これも課税の対象になります。

その4
デメリットの第四は買い手企業のデメリットとして、売り手企業の全体を吸収するため、売り手企業が過去に行った活動の責任を取らなければならないという問題があり、完全なリスクカットはできません。

会社合併の手続き

会社合併を行う場合の手続きは、詳しく説明はしませんが、以下のようなもので、非常に煩雑であるため、専門知識が必要となる事項もあります。このため、専門家のサポートを受けながら、進めていくことをおすすめします。

・各社の取締役会の承認
・合併契約書の締結
・反対株主に対する株式買取請求通知・公告
・債権者保護手続き
・合併契約書などの事前開示および・備置
・株主総会の特別決議・承認
・合併の効力発生
・事後開示書類の備置
・会社合併無効の訴え

【4】会社売却の方法【会社分割】

会社分割も今までご紹介した株式交換や株式移転と同様、会社法上の組織再編行為であり、売り手の企業がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を買い手の企業に包括的に承継させるスキームです。
吸収分割と新設分割の違いは、権利義務を既存の企業に引継がせる(吸収分割)か、新しく設立する企業に引継がせるか(新設分割)の違いになります。
また、会社分割は引き継ぐ権利義務の対価として承継会社が交付する財産を、分割会社が受け取る(分社型分割)か、分割会社の株主が受け取る(分割型分割)かによっても2つに分類できます。
これらの組み合わせにより、会社分割には、4つのタイプがあります。会社分割の手続は、会社法の規定に従うこととなりますが、この4つのタイプのどれを取るかによって、手続の内容は異なってきますので、その選択には注意が必要です。

会社分割のやり方

会社分割も会社法上の組織再編行為になりますので、買収する会社、買収される会社の双方で株主総会の特別決議が必要になるとともに、債権者保護手続きが必要になります。
会社分割の場合、事業譲渡と異なり、事業承継会社に自動的に契約が引き継がれますので、従業員や取引先との個別の契約の移転手続きが不要であり、売買する事業規模が比較的大きい場合に有効なスキームです。
また、会社分割では、自社株式を買収の対価にすることができますので、買収・M&Aの準備資金の確保が難しい場合に有効なスキームといえます。
さらに分割型で現金を対価にした場合は売却代金が株主に支払われるため、すぐにキャッシュが必要な場合に有効なスキームとも言えます。

会社分割のメリット

その1 事業譲渡と同様に必要な資産だけ買い取ることができること
株式譲渡や株式交換とは異なり、貯蓄型の生命保険・養老保険契約やオペレーティングリースなど、タイミングを見て解約すべき投資は引き続き売り手企業に残るので、急いで解約する必要がありません。

その2 節税効果
株式譲渡と異なりM&A対象外資産の無意味な売買が発生しないので、株価が無意味に高くなることもなく、無用な税金が発生せず資産の買戻しがありませんので、このための税金も発生しません。
分社型分割の場合、株式の売却益に法人税がかかりますが、この売却益の計算では事業譲渡と同様に売却した資産・負債の簿価が売却原価になるので、資本金が売却原価となる株式譲渡と比べ売り手企業に大きな節税効果が発現することがあります。同様に、買い手企業では買収対価と移転した資産・負債の時価との差額を、税務上のれんにできるため節税効果が発生します。

その3 自動的に事業が承継されること
会社分割では事業譲渡と同様に必要な資産だけ譲渡ができますが、事業譲渡と比較して、従業員や取引先との契約関係を一括して移転できる、許認可についても再取得が不要で自動的に承継されるもの・再取得ではなく管轄省庁の承認で済むものがあるなどのメリットがあります。

その4 時間をかけて統合作業を実行できること(新設分割のみ)
新設分割にした場合のみですが、事業譲渡や吸収分割の場合、買収と同時に買い手企業の社内ルールが適用されますが、会社分割[新設分割]の場合、一旦、子会社化され独立した会社として買収されるので、一気に社内ルールを押し付ける必要がなく、統合に関して時間的余裕が生まれます。

会社分割のデメリット

その1 手続きが煩雑なこと

会社分割は会社法上の組織再編スキームであり、株主総会特別決議などの一連の法定手続きが必要となり、この手続きに1か月程度の時間がかかります。ただし、M&Aは株式譲渡でも数カ月間は引継作業などが続くので、あまり大きなデメリットではないかもしれません。

その2 手続きが煩雑なこと(吸収分割のみ)

吸収分割のみのデメリットですが、会社の譲渡ではなく事業の譲渡となるため、従業員が譲受企業の社内ルールに合わせなければならなくなり、M&A直後の混乱が発生しやすく、会社の譲渡となる株式譲渡や株式交換、会社分割[新設分割]と比べリスクが高いといえます。

会社分割の手続き

会社分割を行う場合の手続きは、詳しく説明はしませんが、以下のようなもので、非常に煩雑であるため、専門知識が必要となる事項もあります。このため、専門家のサポートを受けながら、進めていくことをおすすめします。

【吸収分割の場合】

・各社の取締役会の承認
・吸収分割契約の締結
・吸収分割契約書などの事前開示および・備置
・株主総会の特別決議・承認
・反対株主の株式買取請求通知
・債権者保護手続き
・新株予約権証券提出手続き
・分割対価の割当
・登録質権者などに対する手続き
・吸収分割の効力発生
・吸収分割書面などの事後開示および、備置
・各社の変更登記
・会社分割無効の訴え

【新設分割の場合】

・取締役会の決議
・新設分割計画書の作成
・新設分割計画書などの事前開示・備置
・労働者への事前通知
・新設分割会社の株主総会の特別決議・承認
・反対株主の株式買取請求通知
・債権者保護手続き
・新株予約権証券提出手続き
・分割対価の割当
・登録質権者などに対する手続き
・新設分割の効力発生
・新設分割書面などの事後開示・備置
・新設会社の設立登記・分割会社の変更登記

Ⅵ会社を売却するタイミングを考える場合のポイント

会社を売却するためのポイントは3つあります。

ポイント① 引退の時期を決める。

「この事業が上手くいったあとで」といった条件付きの不明確な時期の決め方ではなく、できれば年月を確定することをおすすめします。時期を決めることで、実現するための強い決意が生まれます。経営状態がよいタイミングで売却すると高い株価で売却でき有利ですが「企業価値が上がったら売却してリタイアしよう」という決め方だとなかなか踏ん切りがつかず、ハッピーリタイアの実現は難しくなるでしょう。

ポイント② 売却前に次の経営者がやりやすいように経営環境を整えておくことです。

後顧の憂いなくリタイアするためには、経営者の頭の中にある重要な項目を整理しておくことが重要です。特に、従業員の対するケアがポイントであり、各従業員の性格等を、事業引継ぎの際に伝えておかなければ、その後の組織運営に支障が出ます。

③ 良いフィナンシャル・アドバイザー(注)を見つける。

会社を売却する際には、専門的知識が必要となり、M&Aの専門家のサポートが必要となります。
中小M&Aの実績が十分にあり、業界での評判の良いM&A仲介会社を選ぶとよいでしょう。どのM&A仲介会社も初期相談は、無料で対応しています。複数社と面談して、相性の良さそうな会社を選択するのも一つの方法です。
(注)フィナンシャル・アドバイザーの役割は、クライアント(売り手、買い手)が目指す戦略実現のために、最適なkuM&A手法を企画 立案し、その執行を全面的にサポートすることです。アドバイザリー会社のタイプとしては、金融機関系、会計会社系、ブティック系の3つに大別することができます。

Ⅶ 会社を売却する際の株価の考え方

株価(株式価値)の算定方法として一般的に用いられる手法は、修正純資産法、類似会社比較法(マルチプル法)、DCF法である。

【1】修正純資産法

評価対象会社(売手)の貸借対照表に計上されている全ての資産・負債を時価評価した後の純資産額に営業権を加算(注)して企業価値を算定する方法である。企業の静的な価値を判定するのに適している。未上場会社のM&Aで利用されることが多い。
(注)黒字の場合、営業権を加算する。赤字の場合、営業権はつかない。

【2】類似会社比較法(マルチプル法)

業種、企業規模等の類似する上場会社の一定の財務数値に対する企業価値の倍率を測定し、評価対象会社(売手)の財務数値に当該倍率を乗じることで企業価値を算定する方法である。上場会社、未上場会社のM&Aにおいて利用されている。

なお、未上場の中小企業・小規模企業のM&Aの株価算定においては、会社規模(売上)が小さい、ニッチ業種であるなどの理由により、上場会社の中から類似会社を選定することが難しい場合がある。

【3】DCF法

事業活動から得られると予測される将来キャッシュ・フローの総額を現在価値に割り引いた金額を企業価値として評価する方法である。将来キャッシュ・フローの予測に企業価値が大きく左右される。上場会社のM&Aにおいては、一般的に利用されている。なお、DCF法を用いる場合、将来キャッシュ・フロー算出の基礎となる評価対象会社(売手)の事業計画が必要となる。また、当該事業計画の客観性、妥当性、実現性等が重要である。

【4】考慮すべき事項

評価対象会社(売手)が、企業のライフサイクル(イメージ図)において、創業期、成長期、成熟期、衰退期のいずれの段階に該当するかを判断する。また、評価対象会社の継続性の疑義の有無、知的財産等に基づく超過収益力に依存する収益構造であるか、類似上場会社のない新規ビジネス、或いはニッチ業種に該当するかなどを判断する必要がある。

企業のライフサイクル(イメージ図)

以上の考慮すべき事項を確認した後、評価対象会社(売手)に適切な株価(株式価値)の算定方法を選択する。複数の算定方法を選択できる場合は、それぞれの算定方法の結果を比較検討するとよい。

【5】株価(株式価値)の算定方法の選択

〇:採用が適していると考えられる   △:場合によっては採用することが想定される

以上、中小企業のM&Aにおける株価(株式価値)の算定方法、考慮すべき事項を簡単に紹介しました。
現在、または将来、後継者問題などを理由に会社譲渡を考えている中小企業の社長様、是非、弊社にご相談ください。会社の株価(譲渡金額)を決めるのは、社長様ご自身です。弊社試算の株価と比較して、納得できる譲渡金額を決める際の参考にして頂ければと思います。

Ⅷ 会社を売却する場合に係る税金

中小M&Aの方法のうち、最も多く用いられる株式譲渡の場合において、会社売却に係る税金をどのように考えるかを一緒に見てみることにします。会社の株主が個人である場合、所得税・住民税あわせて20.315% の固定税率で分離課税が適用されます。以下の設例を用いて、会社を売却した場合、株主の税金をどのように計算するかを説明します。

<設例>
会社株主は、社長のみの一人株主とします。
株式の出資額10,000千円、株式譲渡代金100,000千円、売り手(個人株主)のM&A手数料5,500千円 (消費税込み)とします。株式の売却益(注)は、株式譲渡代金から株式の出資額を差し引いた、90,000千円(=100,000千円−10,000千円)となります。
(注)キャピタル・ゲイン(資本利得)

個人株主の場合、株式の売却益は分離課税の対象となり、税率は20.315%(注)が適用されます。
また、M&A手数料(消費税込み)は、売却益から費用として差し引くことができます。
よって、個人株主が負担する税金は、以下のように計算することができます。
(90,000千円−5,500千円)×20.315%(注)=17,166千円
(注)所得税及び復興特別所得税(15.315%)+住民税(5%)

Ⅸ 会社を売却する際の注意点

経営者の健康問題

事業の内容に関係なく会社売却の理由と考えられるのは、経営者の健康問題です。
持病を抱えている人、年を取って体力に不安を持つ人など、会社の存続に不安を覚えて、弊社にご相談される場合がよくあります。
あるオーナー社長は、弊社にM&Aの相談をされましたがすぐに会社を売却せず、そのまま経営を続けられました。その2年後、オーナー社長が「M&Aを検討したい」と決断されました。
その2年間、オーナー社長は、定期的に通院したり、または入院したりと体調が良くなく、営業活動を十分に行うことができなかったため、売上高が減少しました。その結果、利益率が下がり、会社の価値自体が棄損したため、株価算定の結果も2年前よりも30%減少となりました。オーナー社長の場合、健康問題を理由として業績が下がることがありますので、その前にM&Aを決断することが重要です。

業界再編が加速している業種

2020年3月以降、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、各業界において業界再編が加速しています。この業界再編の流れを把握して競合他社よりも先に行動しなければ、M&Aのタイミングを逃すのみならず、M&Aできずに廃業に追い込まれることもあります。事業再編が進むにはさまざまな理由があります。例えば、人口の減少があります。人口が減少すれば、従来のように売上を上げることは難しくなります。或いは同地域に複数業者が乱立して、市場が供給過多の状態となっている場合も同様のことが言えます。この様な場合、同業他社と経営統合を図ることで経営の安定を図り、生き残り戦略を選択する方法が考えられます。例えば、2010年前後に大手家電量販店の業界再編が起こり、2020年頃には、M&Aを活用してリフォーム業など異業種への参入が行われています。

Ⅹ 弊社M&Aコンサルティングサービスのご案内

弊社のM&Aコンサルティングのご案内です。特徴は3点あります。

一つ目は、プロフェッショナルによるM&Aサポートです。
M&Aの専門性を持つ、経験豊かなコンサルタントが、皆様にきめ細かなサービスを提供させていただきます。実際に成約したお客様、皆様からご満足いただいております。

二つ目は、完全成功報酬の手数料体系です。
当社は、1社でも多くの中小企業のM&A支援を行うために、リーズナブルな手数料体系を採用しています。着手金、月額費用などはいただかず、成功報酬のみの完全成功報酬制を採用しています。

三つ目は、多くの成約実績です。
業種、規模、エリアを問わず、多くの成約実績がございます。
高い専門性を持ったM&Aコンサルタントが、ご満足いただけるサービスを提供させていただきます。

中小企業のM&Aは、個々の案件ごとに手作り、言わばオーダーメイドであり、これが公式というものはありません。この記事を読まれた会社経営者の方でM&Aをお考えになる場合は、中小企業のM&A仲介会社である弊社に是非ご相談ください。

株式会社経営承継支援は、一社でも多くの企業を廃業危機から救うため、全ての企業様のご相談をお受け致しております。
M&A(株式譲渡、事業譲渡等)に関して着手金無料でご相談可能ですので、お気軽にお問合せくださいませ。

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