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会社譲渡の相談を受けた場合、売り手企業の社長様と面談し、会社の業績(定量情報)や事業内容(定性情報)をヒアリングします。
そして、この定量情報と定性情報に基づいて、株価の算定、企業概要書の作成、買い手候補企業とのマッチングを行います。
今回は、異なる業種である、A社(運送業)とB社(商業印刷)からの相談内容を定量情報、訂正情報ごとに整理し、買い手候補企業とのマッチングについて考察することにします。
会社譲渡の相談-A社、B社
【A社:運送業(首都圏)】
売上高:約5億円
経常利益:赤字(2期連続)
譲渡理由:創業者の娘婿である社長は高齢(70歳代)であり、経営意欲が希薄である。親族内および社内に次期社長候補はいない。
特長:上場機械メーカーの物流子会社が荷主である。財務内容は、過去の内部留保があり(資産超過)、銀行借入はない。
【B社:商業印刷(首都圏)】
売上高:約5億円
経常利益:3,000万円(役員報酬3,000万円)
譲渡理由:後継者不在
特長:創業社長が営業、印刷見積り、印刷工場の管理など全て行っている。
業績は安定しており、銀行借入はない。
希望取引形態:100%株式譲渡(両社ともに)
まず、両社の定量情報を比較すると、A社は赤字、B社は黒字であるので、これだけを見るとB社の方がM&A(会社売却)の可能性が高いと思われるかもしれません。
次に、実際に両社長にお話をお伺いすると、以下の定性情報が分かりました。
A社(運送業)の社長
創業者の娘婿ですが高齢のため経営意欲が希薄であり、本社事務所には昼頃に顔を出すだけであり、昼食の後は帰宅していました。配車は社員に任せ、積極的に営業活動をせずに、空のトラックを走らせることもよくある状況でした。
B社社長(商業印刷)
典型的な創業社長であり、営業、印刷見積り、印刷工場の管理など全て行うことによって、好業績を維持していました。所謂、“社長に営業権が付いている会社“でした。
<両社の顛末>
A社(運送業)は、最初に提案した同業が買い手企業となり、約6ヶ月で最終契約締結、クロージングを迎えることができました。買い手企業(売上高5億円)の社長は二代目であり、経営意欲が高く、A社を提案した時点で、「私が経営すれば、荷主に営業を掛けて仕事を増やして黒字にできる(収益の改善)。」と判断しました。また、過去の内部留保が残っており(資産超過)、銀行借入がない点もプラス材料になりました。
一方、B社(商業印刷)の場合は、現社長が精一杯経営して好業績を上げており、買い手企業から見ると、これ以上の伸びしろが期待できない、或いは現社長のような経営が出来ないと業績が悪化すると判断されました。B社は、相当数の買い手候補企業に提案しましたが、結果は全て見送りとなりました。
<まとめ>
M&Aのマッチングの興味深いところは、売り手企業という素材を買い手企業がどのように捉えるかによって、結果、すなわち、M&A(会社売却)できるか、或いはM&A(会社売却)できないかが決まる点にあると言えます。
そのためには、相談を受けた譲渡希望企業の定量情報と定性情報を十分に把握して、買い手候補企業のマッチングを考える必要があります。
中小企業のM&Aは、個々の案件ごとに手作り、言わばオーダーメイドであり、これが公式というものはありません。この記事を読まれた会社経営者の方でM&Aをお考えになる場合は、中小企業のM&A専門会社である弊社に是非ご相談ください。
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