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企業価値を高める3つの指標

 

M&Aにおいては、会社そのものや事業を売却する側は高い価格での売却し、譲り受ける側はできるだけ低い価格での譲り受けることがポイントとなります。

 

一定の方法により算出した企業価値の評価額はM&A交渉において重要な基準となりますが、交渉による買収価格・売却価格はその企業価値だけで決まるわけではありません。

 

より有利に交渉を進めるためにも、企業価値の向上は欠かせません。

 

企業価値を向上させることによって売却側は高い売却価格を提示できますし、購入する側も強い立場で交渉にあたることができ、有利な条件を引き出すことにつながります。そこで、企業価値を向上させる方法についてお伝えします。

 

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① 収益性の向上

 

企業価値の評価額の向上には3つのポイントがあります。1つ目は収益性の向上です。

 

収益性の向上とは、稼ぐ力を強くすると言い換えることができます。

 

多くの利益を稼ぐことができる会社の評価額が高くなるのは自然なことと言えます。収益を向上させるためには、主に2つの要素に注目する必要があります。

 

1つは売上高の増加です。

 

経営を行っていく上では、売上のあるなしにかかわらず一定の費用がかかる固定費が存在しますが、売上に従って増加する売上原価のような比例費もあります。

 

売上高から比例費を引いた粗利益は、売上高が増加することで比例的に増加しますので、売上が増えることは収益の増加に直結するのです。

 

売上を増やす方法としては、高い利益が見込める事業へのシフトといった事業領域の見直しや顧客満足度を向上させてリピート販売を増やすといった方法、さらには営業力の強化で売上高を増やす方法などが考えられます。

 

もう1つは費用の抑制です。

 

売上から比例費を引き、さらに固定費を引いた残りが利益となります。そのため、原価率の改善などで比例費を引き下げたり、人件費の抑制などで固定費を抑制したりすれば、売上高が変わらなくても収益が増加することになります。

 

比例費の引き下げは、仕入れ先の集約や共同仕入れなどによる材料費のコストダウンや、工程の見直しや管理方法の変更による製造コストの引き下げなどによって実現できます。

 

固定費については、設備投資抑制による減価償却費の抑制、新規採用の抑制や人員削減などによる人件費の削減などがあげられます。

 

② 資産効率の向上

 

企業価値の評価額を向上させる2つ目の方法は資産効率の向上です。

 

資産効率とは、投資した資金がどれだけの利益を稼ぐのかに注目した考え方です。

 

たとえば、同じ1千万円の設備が2種類ある場合に、1つは年間1%の利益しか稼がないのに対して、もう1つの設備は2%稼ぐといったときは、2%稼ぐ方に投資するという投資判断をすることになるでしょう。

 

この考え方を、設備投資だけでなく事業に投資している資金すべてについて適用して検証し、資金をできるだけ多く稼ぐものにシフトしていくことが資産効率を上げることにつながります。

 

企業が調達できる資金には限りがあります。

 

企業内に留保した自己資金と借入などによって金融機関から調達した資金、さらには社債や株式発行により調達した資金などを使って経営を進めていく必要があります。

 

その貴重な資金をできるだけ稼げる分野にシフトし、合わせて稼げない分野に投下している資金を回収して他の稼げる分野に投下しなおすといったことが求められます。

 

金融機関から調達した資金は利息を支払う必要がありますし、無利息の自己資金であっても利益を見込めないものに投資してしまえば機会損失が生じます。

 

利益を得る方法としては、苦労して売上を増加させることや費用を削減することが大切ですが、同じように資金効率を良化させることも利益の向上につながるのです。

 

機会損失をできるだけ減らし、手持ちの資金の効率を最大化させることが企業価値の評価額向上につながることを経営者として理解しておく必要があるでしょう。

 

③ 財務の最適化

 

企業価値の評価額を向上させる方法の3つ目は財務の最適化です。

 

財務の最適化は、資産効率の向上と密接なつながりがあります。

 

資産の効率化は一定のコストを支払った資金をいかに高い利益が見込める分野に投下するかがポイントでしたが、財務の最適化は資金調達コストをできるだけ下げることがポイントとなります。

 

一定の資金量を確保するにあたって、資金調達コストを下げることができれば利益は増加します。財務の最適化とは、できるだけ低いコストで資金調達をすることだと理解するとよいでしょう。

 

財務の最適化は2つのアプローチで行う必要があります。1つは貸借対照表のスリム化です。

 

貸借対照表は企業の財産の一覧表といえるもので、左側(借方)にプラスの財産の一覧、右側(貸方)には外部からの借入等の負債と自己資本である純資産の一覧が記載されています。

 

つまり、右側で調達した資金が左側の資産に投下されていることを表しているということです。

 

そのため、プラスの資産の一覧のうち、事業の役に立っていない資産を圧縮することによって手元資金が増加することにつながるのです。

 

具体的には売れ残っている棚卸資産をできるだけ早く売却する、使用頻度の低い固定資産を売却するなどが考えられます。

 

こういったことを行うことによって貸借対照表のスリム化が実現できます。

 

もう1つのアプローチは、負債と純資産に注目するアプローチです。

 

具体的には利息の低い借り入れにシフトする、金融機関より有利な条件で社債が発行できる場合は社債発行を検討するなどの方法があげられます。

 

これらのポイントをおさえて経営を進めることで、企業価値の評価額向上が実現できるでしょう。

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