上場とは?非上場企業との違いや上場する意味について

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上場企業とは?

株式が証券取引所で売買されるようになることを上場と言います。そして、上場した企業を上場企業と言います。 証券取引所は詳細な上場基準を定めており、上場企業はそれらの条件をクリアした企業になります。上場株式は特別な審査を経て公に上場されて、証券会社に口座を持てば誰でも売買することができます。

上場企業にはどのような種類があるのか?

従来、東京証券取引所には、「東証一部」「東証二部」「JASDAQ(さらにスタンダード、グロースに分けられる)」「マザーズ」という4つの市場がありましたが、202244日から新たに「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つの市場に再編されました。

東証再編の理由は、東証一部上場企業の数が増え過ぎて、日本の最上位市場として質の低下が起きていることが原因と言われています。20224月時点で、東証一部上場企業の約35%(754社)は時価総額が250億円を下回っており、約50%(1,096社)のPBR(株価純資産倍率)が1を下回っているなど、一部上場企業の質の低下が問題となっていました。
そこで、3市場に再編することで投資家にも分かりやすくすると共に、証券市場を活性化させることになりました。

「プライム市場」とは?

東証公表のプライム市場のコンセプトは、「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備えて、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場」です。グローバル投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場であるため、新規上場・上場維持基準が最も厳しく定められています。1,658社が上場しています(20321127日時点)。

「スタンダード市場」とは?

スタンダード市場は主に国内向けの市場であり、「日本経済の中核」と位置付けられています。プライム市場の上場要件に満たなかった東証一部企業のほか、東証二部やジャスダック(スタンダード)に上場していた企業で構成されます。1,619社が上場しています(20231127日時点)。

「グロース市場」とは?

グロース市場は、スタートアップなど成長可能性の高い企業向けの市場です。主にマザーズやジャスダック(グロース)に上場していた企業で構成されます。556社が上場しています(20231127日時点)。


出所:日本取引所グループ

国内IPO企業数の推移(2014年から2022年まで)

2022年における株式市場は、ロシア・ウクライナ情勢や資源高などの影響を受け、国内IPO企業数は112社(TOKYO PRO Marketへの上場21社を含む)となり、2021年の138社(TOKYO PRO Marketへの上場13社を含む)から26社減少しました。
2021年の国内IPO企業数は、前年比で減少傾向となりましたが、長期トレンドで見ると2021年(138社)に次ぐ水準となっており、国内IPO市場は引き続き堅調に推移していると言うことができます(図表1)。
また、東証においては、上場会社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を支え国内外の多様な投資者から高い支持を得られる魅力的な市場を提供することを目的として、20224月に市場区分の見直しが行われました。


出所:デロイトトーマツHP
(注) IPOInitial Public Offering)とは、非上場企業が証券取引所を通じて新しく自社株式を公開することをいいます。

株式上場のメリット

社会的信用が向上する

企業が上場するための審査基準をクリアすることは、企業の安定性や事業の将来性が公的に認められたことを意味し、社会的信用の向上につながります。
特に審査基準が厳しい東証第一部へ上場した企業は一般的に「優秀な大企業である」とのイメージを持たれやすいため、社会的信用や知名度などの向上につながり事業の成長を促進させる可能性があるでしょう。

資金調達がしやすくなる

上場により企業の社会的信用や知名度が向上するため、新規事業を開始する際に金融機関からの融資を受けやすくなります。上場に伴う株式発行による資金調達に加えて、金融機関からの融資を受けやすくなる点もメリットです。

優秀な人材を確保できる

上場により企業の知名度や社会的信用が向上するので、優秀な人材の確保が容易になります。特に新社会人から見ると上場の有無は企業選択の際に重要な要素となります。
優秀な人材の確保は企業の成長に必要不可欠な要素であり、人材育成費用も削減できるため上場で得られるメリットは大きいです。

健全な経営体制を構築できる

企業が上場するには一定の審査基準をクリアする必要があり、事前に経営体制の見直しを行う場合が少なくありません。この経営体制の見直しにおいて、法令順守・内部統制・企業統治(コーポレートガバナンス)など、不正のない健全かつリスク管理が徹底された経営体制が構築される点もメリットといえます。

株式上場のデメリット

株式公開準備の準備作業と費用の増大

株式上場における準備段階において、経営管理体制の整備、人材確保、上場申請資料の作成などに相当の費用がかかります。経理事務や株式事務、株主総会などの事務作業の負担が大きく増えます。

経営責任および社会的責任の拡大

一般の投資家間で株式の売買取引がされるため、経営責任や社会的責任が拡大します。上場後は株主のための経営が求められます。株主は、株価(キャピタルゲイン)や配当(インカムゲイン)を期待します。
経営上の過失で株価が下落すると、投資家から経営陣は責任を追及されることになります。コーポレートガバナンスや法令遵守も強く求められます。不祥事やスキャンダルなどが生じないよう注意する必要があります。

買収リスクの上昇

株式公開をすると、自社株の売買が証券取引所を通して誰にでも自由に取引されるため、競合相手による買い占めや投資ファンドによる敵対的買収の対象となることがあります。

非上場企業

株式を証券取引所に上場しておらず、証券市場を通じて自由に倍内取引することができない企業を非上場企業と言います。 非上場企業の株式は、オーナー経営層や親会社をはじめとした関係性が深い企業や個人が所有していることが多い点が特徴です。

上場企業は全株式会社のうち上場企業は全体の1%にも満たず、残りの企業は非上場企業です。日本には500万社を超える企業があると言われており、ほとんどが非上場企業です。


出所:中小企業庁資料

(参考) 非公開会社(株式譲渡制限会社)と公開会社との違い
非公開会社は、定款において全ての株式について譲渡制限が付けられている株式会社のことをいいます(会社法第2条17号)
一方、公開会社は、全部または一部の株式について、譲渡制限がない株式を発行できると定款で定めている株式会社のことを言います。株主は、株式会社の承認を必要とせず自由に株式を譲渡・取得することができます。証券取引所に株式を上場している株式会社(上場会社)は、原則すべてが公開会社となります。
非公開会社と公開会社は、株式を自由に譲渡できるか否か、だけの違いに留まらず会社の機関設計の他、多くの点で異なるので、非公開会社であるか公開会社であるかの選択は重要な点といえます。

非公開会社と公開会社との比較


出所:各種資料より

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