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友好的M&Aのメリット・デメリット
会社を経営する中小企業経営者であれば、会社を譲渡したり、譲り受けたりする手段である「M&A(エムアンドエー)」について良く知っておくことが重要です。
日本国内では、経営者年齢が高まるにつれて、このような事業承継問題がピークを迎えつつあります。
いつ知り合いの会社やM&A仲介業者から、「事業や従業員を引き継いで欲しい」「事業を譲り受けたい」と相談を持ち掛けられるかもしれません。
このような相談を持ち掛けられても慌てないように、本コラムでは、買い手・売り手からみたM&Aのメリット・デメリットについてお話していきます。
買収する側のメリット・デメリット
M&Aによって得られる買収する側のメリットは「既に自社でサービスを展開している業種の企業を買収するケース」と「新規参入する業種の企業を買収するケース」で異なります。
・既に自社でサービスを展開している業種の企業を買収するケース
同業種の企業をM&Aによって買収することで、ライバル会社を減らすことができるうえ、新規店舗の設置について時間をかけず増やすことができます。また、より大きな企業となったことにより、物流コストの低下などのスケールメリットを得られることができるでしょう。
ただし、業績が悪化している企業同士がM&A(合併)した場合、M&A後に業績が悪化するため、買収の企業の経営手腕があることが大前提です。
・新規参入する業種の企業を買収するケース
新しい業種に挑戦するときは、創業や新規事業に携わった方なら、ご存じかもしれませんが、新規部署の設立から人材配置、新事務所の確保などさまざまな準備を行わなければなりません。
お客様に認知してもらうための初期段階のマーケティングやブランディングにかかるコストは膨大な金額になります。
しかし、業歴のある企業を買収することによって、それらのコストや時間を浪費する必要がなくなります。
時間をかけずにその業種に合った人材や技術、ノウハウを獲得できるのです。
気を付けるべき点は、知見のない事業に参入しないことをおすすめします。もし参入する場合は、社内に知見のあり、信頼できる人材がいるか確認したうえで検討するとよいでしょう。
・買収コスト
買収する側にあるデメリットは買収コストです。
買収する額は企業価値にもよるので千差万別ですが、どのような企業を買収するにしてもそれなりの投資は覚悟しなければならないでしょう。
また、買収を実行するにあたっては、その金額に見合うだけの価値を相手先企業に見出しているわけですが、買収後に実際にその思惑通りにいくとは必ずしも限りません。
時には、買収後に認識していなかった簿外債務や想定外の支出に見舞われることもありえます。
当初に考えていたような相乗効果が期待できなければ、買収にかかったコストが回収できないことも起こり得るでしょう。
また、どれだけ友好的に買収できたとしても、お互いの社員同士間に軋轢が生じるケースもあります。
買収後に上手く相乗効果を発揮できるかどうかという部分は、社員のモチベーションによるところもあるため十分な対策が必要です。
会社を譲渡する側のメリット
会社を譲渡する側の企業のメリットとしては「後継者問題を解決できる」「経営状況の改善を期待できる」というものがあります。
後継者問題を解決しないと、従業員の雇用を守れなくなるかもしれません。
そのようなときは、M&Aによって買収してくれる企業を探すということも選択肢の一つだと言えます。
これまでは、本格的にM&Aを検討するまでに、コンサルタントと面談してから1年前後かかっていましたが、コロナ禍において、業績回復が見込めない企業が前倒しで、M&Aを決断する経営者が増えています。
M&Aの金銭的メリットは、引退する社長は株式の売却益を得ることができ、引退後の生活を豊かにできるケースもあるでしょう。
後者については、経営状況が悪化して金融機関の信用が低下しているような企業にとってはとても魅力的なメリットです。
経営基盤が盤石な企業に買収してもらうことで、金融機関だけでなく取引先からの不安も解消することができるでしょう。
会社を譲渡する側のデメリット
会社を譲渡する側に考えられるデメリット
・買収する企業が見つからないリスク
・買収後における従業員の待遇面の不安
たとえ、自社を譲渡したいからといってもすぐに買収してくれる先が見つかるとは限りません。
買収にはそれなりのコストがかかるので、買収する側にもメリットがなければ買い取ってくれないのです。
コロナ禍においては、買収を検討する企業の数自体が減っており、かつ投資目線も厳しくなっています。
つまり「コストをかけてでも買収したい」と思わせるような魅力が自社にない限り、いつまでも買収を希望する企業が現れないと考えると良いでしょう。
M&A市場においては「将来的にその企業がどの程度の収益を上げる力があるか」で評価されることが多いので、このような観点で継続的に収益をあげる努力をしましょう。
また、買収後における従業員の労働条件や解雇の規則について、買収先の企業に勝手な変更をされないように最終契約書に記載しておくことが求められます。
最終契約書に記載しておかないと、これまでより悪い労働条件で働かされたり、簡単に解雇されたりする可能性があるからです。
ここに挙げたM&Aを実行する際の確認事項は飽くまで一部です。
実際には、確認する事項が多岐にわたりますが、この確認をおろそかにせず、お互いがM&Aによりメリットを感じるように進めていきましょう。
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