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譲渡のきっかけは人間関係によるトラブルが原因?M&Aで再スタート
調剤薬局M&Aは、後継者不足、不採算店舗の切り離しやエリア戦略の見直しといった課題解決の手段として用いられます。
しかし今回は、50代の社長の「人生の仕切り直し」を目的とした個人的な理由によるM&A事例です。
2019年5月、弊社に一本の電話がはいりました。
調剤薬局を経営する社長からのお問い合わせであり、「なるべく早く事業譲渡したい」と何か急いでいる印象を受けました。
M&Aのご相談では、社長のようにスピードを重視される方も多くいらっしゃいます。
中小企業は、社長が少人数のため、社長が病気になったり、キーパーソンである重要な従業員が退職したり、有事が発生した場合、すぐに対応策を取らなければなりません。
その対応策の1つとして、M&Aによる企業提携を検討さますが、なによりもスピードが求められます。
私はすぐに社長とアポイントをとり、東京都23区北部の市街地にある調剤薬局に向かいました。
社長から教えてもらった調剤薬局は、近隣にクリニックがあり建物も綺麗であり、好立地な場所でした。
私は、(財務状況に何か譲渡を急ぐ理由があるのだろう)と思い、秘密保持契約書を取り交わした後、社長から決算書3期分の資料をもらいました。
社長が譲渡を急いでいた理由とは
決算書の中身を確認すると、利益率もよく財務状態をみても譲渡を急ぐ理由がいまひとつわかりませんでした。
譲渡対象企業の条件は良いので、買い手候補先はすぐにみつかるだろうと思いながら財務分析を終えました。
後日、当社の調剤薬局買い手情報から候補先一覧を作成し、その中から複数の相手先を選びました。
社長は複数の買い手候補者と面談を実施し、一番、買収条件の良かった中部地方で4店舗経営する薬局グループと話を進めることに決定しました。
買い手は、地元で仲間と東京で新しく薬局を開業しようと計画を立てている最中、今回の話があり、トントン拍子に話が進みました。
買い手にとっては在庫薬剤や什器などを含めて初期投資が抑えられ、既に利用患者もいる状態で譲り受けることができました。
なにより買い手は、以前から東京で立地探しには苦労していましたが、今回、好立地の開業場所に出会い、たいへん喜んでいただきました。
M&Aが成約後、社長と食事をしている時に、私の中にあった疑問をぶつけてみました。
「なぜご相談いただいた時に、譲渡を急がれていたのですか」
社長は、少し言葉を選んでいましたが、近隣の医師と人間関係のトラブルが生じ、長年、折り合いが悪い状態が続いていたのが譲渡のきっかけ、とのことでした。
近くのクリニックは調剤薬局にとって収益を左右する大きな存在であり、ともに助け合うビジネスパートナーの関係だったそうですが、、、。
人間関係のこじれは一筋縄ではいかないようです。
社長は、このままここで続けるよりも一旦リセットし、「人生の仕切り直し」を図るべくM&Aによる事業譲渡の道を選んだのでした。
結果としては、売り手、買い手ともに新たなスタートを切れ、地域住民や利用患者も変わらぬ生活を送ることができます。
社長は、「M&Aで受け取った資金で、また違う場所で新規開業に向けて準備をすすめていく」と安堵の表情を浮かべていらっしゃいました。
今回のように、調剤薬局1店舗を運営している場合、経営戦略が理由ではなく、オーナー社長の個人的な事情により譲渡を検討される場面も多くございます。
特に地方では、「薬剤師が採用できない」という理由で大手調剤薬局グループの傘下にはいりたいというご要望など様々です。
ぜひ、M&Aをご検討の際は、以下のお問い合わせフォームからお申込みください。
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