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具体的には、M&Aのプロアセスにおいて、売り手企業との初期面談、企業概要書の作成、株価算定、買い手企業のマッチング、条件交渉の調整、基本合意、DD(買収監査)のアレンジ、最終契約、クロージング手続などがあります。
今回は、売り手企業と買い手企業の経営に対する意識のギャップの調整について、支援実績を例にして紹介します。
-テレマーケティング会社のM&A支援実績-
【売り手企業(A社)】
業種:テレマーケティング業(首都圏)
売上高:約2億円
経常利益:黒字
譲渡理由:女性社長(60歳代)には、親族内に後継者がいない。同社は、個人から事業会社まで多数の顧客を抱えており、業績は安定している。なお、社員は全員女性である。
【買い手企業(B社)】
業種:LPガス小売業(首都圏)
特長:業歴も長く、地元では確固たる基盤を築いている。
M&Aの目的:顧客サービス向上のためにコールセンターの設置を検討するも、異業種のためノウハウがなく、テレマーケティング会社のM&Aを決断した。
M&A取引形態:100%株式譲渡
<問題点>
買い手企業は、DD(買収監査)前に、売り手企業のキーマン数名との面談を希望しました。
その理由は、テレマーケティング業務の内容を直接知りたい、売り手企業は女性社長、全社員が女性であり、M&A後の引継ぎに不安を感じたためでした。
一方、売り手企業の女性社長は、キーマン数名と買い手企業との面談は、最終契約の締結後にして欲しいという意向が強くありました。
<解決策>
DD前に買い手企業から売り手企業にテレマーケティング業務を業務委託することにしました。ただし、売り手企業のキーマン、社員にはM&Aの話は伏せて、あくまでも通常業務として対応します。
M&Aの話は、両社長の胸にしまっておいて貰うことにしました。
<結果>
買い手企業(社長、役員、担当者)と売り手企業(女性社長、キーマン、社員)は、業務委託の打合せを行いました。
この打合せにおける売り手企業の対応が素晴らしく、買い手企業の社長は、テレマーケティング業務を理解し、かつ売り手企業のキーマン、社員の仕事振りに好印象を持ちました。
これを受けて、その後のDD、最終契約、クロージングのプロセスをスムーズに進めることができました。
<まとめ>
売り手企業と買い手企業のそれぞれの経営に対する意識は、M&Aのプロセスが進むにつれて逆転します(下のグラフを参照)。
売り手企業は、マッチングの段階では、「株価はいくらになるか(会社はいくらで売れるか)」、「M&Aの相手(買い手企業)はいるのか」など、その意識が高い状態です。
買い手企業は、マッチング時には売り手企業に興味がある段階であるが、プロセスが進むにつれて本格的に検討を行い、DD以降は、「本当に売り手企業を引き継げるか」など不安要素を抱えることになります。
売り手企業と買い手企業のそれぞれの経営に対する意識のギャップを調整することは、M&A仲介者の重要な役割の一つです。
中小企業のM&Aは、個々の案件ごとに手作り、言わばオーダーメイドであり、これが公式というものはありません。この記事を読まれた会社経営者の方でM&Aをお考えになる場合は、中小企業のM&A専門会社である弊社に是非ご相談ください。
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