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3分でわかるM&Aの仕組みからPMIまで
M&A(エムアンドエー)をわかりやすく言うと、会社同士の合併や分割、自社の株式を第三者に譲渡したり、他社の事業を買収する手段の総称です。
用語の意味は、Mergers(合併) & Acquisitions (買収)です。
2020年7月にテレビドラマ「半澤直樹」でもM&Aによる企業買収の話が出てきており、M&Aが企業戦略として広まりました。
この記事では、テレビドラマのような大企業のM&A話ではなく、中小企業同士のM&Aについて解説します。
最近では、法人・個人問わず、会社を譲り受けて事業を始めたいという相談が全国から増えております。
その一方で、会社を譲渡したい企業経営者も増加しております。
今から15年前の2005年頃、企業戦略や事業承継問題を解決する手段として「M&A」を考えている中小企業経営者の数は、現在に比べ、圧倒的に少なかったです。
2020年11月現在の状況は、少しずつM&Aも広まりつつあり、この記事をご覧の経営者の皆様は、以下のような状況ではないでしょうか。
「M&Aは聞いたことがある。周りでもM&Aで会社を売った社長がいる。しかし、手数料は高そうだし、どこに相談すればよいか、わからない」
上場しているM&A仲介会社を調べてみると、最低手数料が2,000万円と敷居が高く、せめて500万円くらいで相談できないかと思われているかもしれません。株式会社経営承継支援のように500万円から相談できるM&A仲介会社もありますが、業界外の方々では知らない方も多いでしょう。
覚えておくべき2つのM&A手法
会社の譲渡を検討している経営者の皆様が覚えておく手法は2つだけです。
売主が買主に「株式」を譲渡するか、「事業」を譲渡するか、ただこれだけです。
どちらを選択するかは、売主の意向次第です。
借入金も、従業員も、資産もまるごと譲る場合は、株式譲渡を選択します。
一方、製造部門と販売部門のように部門が分かれており、一部の製造部門のみを譲渡するような場合、事業譲渡を選択します。
M&Aストラクチャーとは
「ストラクチャー(structure)」とは、一般には構造や体系、体制のことで、M&Aにおいては企業再編を実行するための手法や手順を指します。
ストラクチャーは大きく株式の取得と事業の取得の2種類に区別することができ、株式の取得には株式取得、株式交換、株式移転の3種類、事業の取得には事業譲渡、会社分割、合併の3種類があります。
どの手法を選択するかによって税務上の取扱い等が決まり、株主、取引先など各利害関係者に影響を与えるため、企業規模や企業再編で実現したい目的などに応じて適切なものを選択する必要があります。
実務ではいくつかの手法を組み合わせて組織再編を行うこともあります。 M&Aを成功させられるか否かは、どのストラクチャーを選択するかにかかっているといっても過言ではないでしょう。
国内の企業同士で組織再編する場合とどちらか一方が国外の企業である場合とは、税務処理上のコストなどが異なるので注意しなければなりません。
PMI(ポストマージャ―インテグレーション)とは
PMIという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、ポストマージャ―インテグレーションの略称であり、買い手にとっては、M&Aの成否をわける重要な統合作業を意味します。
事業承継問題の解決策のひとつにM&Aによる会社の売却が、少しずつ中小企業経営において認知されつつあります。
中小企業の経営者がM&Aで会社を売却することで得られるメリットには「返済金における連帯債務からの解放」や「売却資金を引退後の生活資金にできる」などがあります。
また、M&Aによって大きな規模で事業を存続させることができれば、自社の従業員、買い手企業双方にとってもメリットがあります。
このように、M&Aによる第三者への譲渡は、うまく活用することで経営者・従業員・買い取り先の企業すべてにメリットがある事業承継の方法です。
しかし、完全な事業承継は契約書にサインすれば終わりではなく、M&Aが失敗に終わった話も少なからずあります。
PMIは、まさにM&Aを失敗に終わらせないために、当初の事業計画通りの成績が残せるよう、譲り受けた会社をどのようにマネジメントしていくかを、考える重要なポイントです。
まさに、統合後の会社が順調に経営を始められるかはPMIと呼ばれる統合作業の進み方にかかっているのです。
なぜPMIが重要なのか?
PMIとは「Post Mereger Integration」の略でM&A成立後の統合プロセスのことを指します。
M&Aで正式契約を行うまでには、譲渡金額や現在雇用している従業員の待遇面など、さまざまな条件面を調整することが必要です。
売り手側の経営者からすると、M&Aによる正式契約を締結した時点で一定の満足感を得られるかもしれませんが、買い手側の企業にとっては、そこからが本当の意味でのM&Aの始まりだと言えます。
買い手にとっては相手企業の設備や人材、商品を最大限に活用して経営規模の拡大や経営の安定によりメリットを得られます。
ですから、正式契約締結後にスムーズなPMIを行うことでシナジー効果を存分に発揮させることが売り手企業に求められるのです。
また、スムーズなPMIを行うことによって、買収側の企業における経営状態のさらなる改善に貢献することができれば、売却側の従業員にとっても将来的なメリットになりえます。
M&A成功の秘訣はどれだけ、迅速かつ効率的にPMIを進めていくことの重要性に気付けるかにかかっていると言えるでしょう。
PMIを実行するための流れとは?
スムーズなPMIを実行するためにも、流れについて知っておくことの重要性も認識しておきましょう。
PMIを実行するための流れとしては、まず「統合プロセスの全体像を把握すること」です。
M&Aによって買収するための目的やシナジー効果を期待する際の目標値の設定など、統合することになった目的を明確にしておく必要があるでしょう。
次の流れとしては「PMIを進めるための部署や事務局の設置」です。
ここでは、PMIを誰に任せるかといった人事についても決めておきます。
検討項目が複数の部署にまたがるような場合は、分科会を設置してそれぞれで検討すると良いでしょう。
PMIについて検討する会が設置されたら、そこで統合する際に生じる問題点について検討します。
単に相手先の企業の問題点だけでなく、統合することによって起こる新たな問題を想定して議論することが大切です。
検討後に、会議結果の書面化や必要によっては会社の規定の変更や新しい事務処理方法のマニュアル作成といった、誰が見ても分かるような状態にしておくと良いでしょう。
正式な書面が整えば、取締役会などの機関で正式決定してもらい新体制へ移行するという流れとなります。
スムーズなPMIを実行するために、ソフトとハード両面の重要性を認識しておこう
スムーズなPMIを進めていくためには統合方針を立案することの重要性を認識しておく必要があります。
経営統合に至る過程では、各部署での分科会などを通じて問題点などを共有し解決していくことが肝心です。
しかし、各担当者だけで問題点を話合ってしまうと、その解決方法が本来の統合する目的とは違う観点から導き出されてしまうかもしれません。
そのため、統合方針について経営者自らが明らかにしておく重要性について認識しておき、方針を示した上で分科会などの担当者による打ち合わせを行うようにしましょう。
PMIで検討する課題は「ソフト面」と「ハード面」に分けることが可能です。
ソフト面のPMIとは、人や企業理念、社風などの企業文化を融合させることで、M&Aによって起こりやすい企業間の壁をなくすことを目的とします。
スムーズなPMIを実行するためには、統合する側、される側双方が同じ目線で会社の利益について考えることが大切だからです。
ハード面におけるPMIとは、経理や営業システムなどの主に実務面での統合作業です。会社ごとにシステムの仕様が異なることは当然ですが、これらを統合しないことには効率的な仕事を行えません。このハード面の調整については関係部署のあいだで綿密なコミュニケーションが必要です。また、M&Aの規模によっては関係部署の負担がかなり大きくなる可能性もある点には注意しましょう。
スピード感あるPMIを実行するために「100日プラン」を作成しよう!
PMIの重要性や流れについては理解できても、あまり漠然とした計画を作成してはいけません。
ビジネスにとって重要なのはスピードです。
せっかく費用をかけて買収したならば、できるだけ早くPMIを行い、シナジー効果を発揮できる体制を整えるようにしましょう。
M&AにおいてPMIを行う目安は100日だといわれています。あまり短期間で統合する計画を作成しても実行できなければ意味がありません。
そのため、100日程度を目安に作成されることが多いです。これを通称「100日プラン」と呼びます。
100日プラン作成のメリットはPMIにおける進行具合のチェックができるほか、買収先の従業員に対して明確なプランを提示し、買収されたことに対する不安感を減らす効果です。
M&Aによる買収の注意点としては、買収先の人材の流出が挙げられますが、100日プランを提示しモチベーションアップを図ることで、そのような問題を解決することが期待できます。
M&Aによる会社売却は正式契約を締結して終わりではありません。
従業員の雇用を守るためにも、スムーズなPMIを実行できるように努力しましょう。
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