M&A BUZZ

ソフトウェア開発職出身者が最新IT業界のM&A事例をわかりやすく解説!

執筆

中井 一

中井 一

情報通信機器メーカーに長年勤続し、ソフトウェア開発職・人事スタッフ職・コンサルティング職などに従事してまいりました。 2010 年に中小企業診断士の資格を獲得してからは企業内診断士として、プロボノ活動として無償で勤務先企業の販売パートナー企業の経営診断などに取り組んでおりましたが、勤務先企業で副業解禁となったことを受け、2019 年に中小企業診断士で個人事業を開業いたしました。 開業後は財務分析や情報分析の知見を活かし、事業計画策定支援、補助金申請支援、M&A支援などの中小企業支援活動に取り組んでいます。...続きを読む

監修

経営承継支援編集部

この記事は、株式会社経営承継支援の編集部が監修しました。M&Aに関してわかりやすく役に立つ記事を目指しています。

目次 [ ]

はじめに

このコラムでは、IT業界のM&A事例を紹介します。

IT業界とは

ITとは、「情報技術(Information Technology)」の略称です。IT業界(情報通信産業)は、総務省や経済産業省によると以下のような分野が該当します。

・受託ソフトウェア開発
・組み込みソフトウェア開発
・パッケージソフト開発
・ゲームソフトウェア開発
・情報処理サービス
・情報提供サービス
・市場調査サービス
・その他情報サービス
・インターネットサービス

受託開発ソフトウェア業と情報処理サービス業を合わせて、一般的にはシステムインテグレーター(Sier)と呼んでおり、非IT企業からIT関連の業務を請け負うことを主な業務としています。Sierの市場規模は市場全体の7割超を占めます。

総務省が発表した『令和元年版 情報通信白書』によると、2017年度におけるIT業界の国内総生産額は97.5兆円であり、全産業の9.7%にも及びました。

IT業界のM&A

IT技術の利用の拡大に伴って、IT業界では今以上に人材が必要とされます。人口減少に伴い労働人口が減少することから、今後、IT人材の不足が深刻化することが予想されます。

さらに、IT業界ではAIや5Gなど技術革新が盛んであり、従来の技術者が先端IT技術に対応できなくなることが原因で、将来的に、人手不足と余剰人員問題が同時発生することが予想され、経済産業省のIT人材需給に関する調査(2019年)によれば、年5~6%のスキル転換が必要とされています。

この人材不足を解決する手段としてはM&Aが有効であり、非IT企業のIT分野(Webサービス等)への進出や既存IT企業の新事業領域への進出などの際に盛んにM&Aが行われています。

IT企業の2020年最新M&A・売却・買収事例

  • イー・ガーディアンによるジェイピー・セキュアのM&A

イー・ガーディアンは、セキュリティ製品の開発・販売を行うジェイピー・セキュアの全株式を取得し完全子会社化することを決定しました。

  • 譲渡・売却価額:888百万円
  • M&Aの手法:株式譲渡
  • M&Aの目的:セキュリティ事業を担うEGセキュアソリューションズやグレスアベイルと連携しグループシナジーを生み出しながら、サイバー攻撃の被害を最小化するためのより一層効果的なソリューション提供を目指す。
  • M&Aの実行日:非公開(2020年10月発表)

 

  • クロスキャットによるアクティブのM&A

クロスキャットは、アクティブの全株式を取得し、子会社化することを決定しました。

  • 譲渡・売却価額:480百万円
  • M&Aの手法:株式譲渡
  • M&Aの目的:グループのさらなる事業成長の実現を目的として、経営資源の相互活用による既存ユーザー層への利便性向上および新規ユーザー層の取込み強化により最大限のシナジーを創出する。
  • M&Aの実行日:2020年11月2日(2020年9月発表)

 

  • SHIFTによるホープスのM&A

SHIFTは、ホープスの全株式を取得し、子会社化しました。

  • 譲渡・売却価額:3,050百万円
  • M&Aの手法:株式譲渡
  • M&Aの目的:ERPシステムの導入から保守にいたるまで、多様なノウハウや経験を蓄積するホープスをSHIFTグループに迎えることで、当該領域におけるサービス体制の強化を図るとともに、ホープスのもつ顧客基盤にアクセスすることで、SHIFTグループとしての顧客ポートフォリオの拡大および深耕の加速を目指す。
  • M&Aの実行日:2020年9月30日(2020年9月発表)

 

  • オークネットによるアドベンチャーのM&A

オークネットは、アドベンチャーの連結子会社ギャラリーレアの全株式を取得し、子会社化しました。

  • 譲渡・売却価額:599百万円
  • M&Aの手法:株式譲渡
  • M&Aの目的:グループのより一層の収益力の向上や競争力の強化を図り、投資金額の回収が充分可能と期待されるとともに、ブランド品のグローバルな総合流通プラットフォームとして事業拡大を目指す。
  • M&Aの実行日:2020年9月15日(2020年8月発表)

 

  • ワタミによるi-NEXTのM&A

ワタミは、ITbookホールディングスの子会社i-NEXTをワタミの子会社とする譲渡契約を締結、ワタミエージェント株式会社を設立しました。

  • 譲渡・売却価額:非公開
  • M&Aの手法:株式譲渡
  • M&Aの目的:新型コロナウイルスの感染拡大の影響をうけて休業中の外食店舗に勤務するパート・アルバイトを含んだ従業員に派遣先を提供し、多様な働き方の推進と雇用の維持を推進する。また、新たに派遣事業を行っていく中で社会課題の解決に取組む。
  • M&Aの実行日:非公開(2020年5月発表)

 

  • JR九州システムソリューションズとNSDの資本業務提携

JR九州システムソリューションズは、NSDと、資本業務提携契約を締結しました。

  • 譲渡・売却価額:発行済株式総数の約10%相当の普通株式を新たに発行する第三者割当増資
  • M&Aの手法:第三者割当増資
  • M&Aの目的:NSDの持つAIやIoTなどの先端技術を活用し、開発案件の連携や新たなソリューションの創造に協働で取り組み、企業の競争力強化に直結するデジタル・トランスフォーメーションへの対応力強化を図る。
  • M&Aの実行日:2020年4月1日(2020年3月発表)

 

  • エン・ジャパンによるBrocanteのM&A

エン・ジャパンは、フリーランスエンジニア・デザイナー向けのIT案件サイト「フリーランススタート」を運営するBrocanteを株式交換完全子会社とする株式交換を実施しました。

  • 譲渡・売却価額:Brocanteの株式1株に対してエン・ジャパンの株式41株を割当て交付
  • M&Aの手法:株式交換
  • M&Aの目的:フリーランス向け事業の成長スピードを速めることで、新規事業領域における収益向上を図る。
  • M&Aの実行日:2020年1月20日(2019年12月発表)

株式会社経営承継支援は、一社でも多くの企業を廃業危機から救うため、全ての企業様のご相談をお受け致しております。
M&A(株式譲渡、事業譲渡等)に関して着手金無料でご相談可能ですので、お気軽にお問合せくださいませ。

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中井 一
中井 一

情報通信機器メーカーに長年勤続し、ソフトウェア開発職・人事スタッフ職・コンサルティング職などに従事してまいりました。 2010 年に中小企業診断士の資格を獲得してからは企業内診断士として、プロボノ活動として無償で勤務先企業の販売パートナー企業の経営診断などに取り組んでおりましたが、勤務先企業で副業解禁となったことを受け、2019 年に中小企業診断士で個人事業を開業いたしました。 開業後は財務分析や情報分析の知見を活かし、事業計画策定支援、補助金申請支援、M&A支援などの中小企業支援活動に取り組んでいます。

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