秘密保持契約を締結する際のポイント

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秘密保持契約を結ぶ際のポイント

「秘密保持契約」は、M&Aを行う際に、売り手企業が買い手企業に対して会社名や企業の業績などを明かす代わりに、買い手企業がその情報の秘密を守るための契約です。この契約は、買い手企業がM&Aを行う企業を選ぶ際に締結します。売り手企業としては、秘密保持契約を適当に締結すると、後に大きな損害を受ける可能性があります。

 

秘密保持契約とは

秘密保持契約が締結するのは、実際に合併や買収が行われる前です。M&Aの手順としては、まず買い手企業が売り手企業を知る必要があります。すなわち、買い手企業は売り手企業の決算内容や会社の組織、取引先との契約関係、人事、保有資産や従業員の給料などの情報を基に、買収する企業を検討します。しかし、売り手企業としては、そのような重要な情報を開示するリスクを伴います。重要な情報を開示したとしても、必ずしも買い手企業がM&Aを行うとは限りません。

もしM&Aが行われない場合、買い手企業では売り手企業の重要な情報を不正に利用したり、漏えいすることで利益を得る可能性があります。このような損害を受けないために、売り手企業は、買い手企業に情報を開示する代わりに、その開示情報を秘密にする約束を取り付けるのです。

 

 

「秘密保持契約」の内容とその役割

秘密保持契約は「NDA」や「CA」と略されることもあります。秘密保持契約は売り手企業にとって損害を被ることを予防するための重要な契約です。M&Aの際の秘密保持契約は、守秘義務情報の範囲、情報を開示する相手の範囲、売り手企業の情報を使用してよい目的の制限、M&A終了後の秘密情報の取り扱いなどを約束します。

情報開示する相手の範囲とは、たとえば、売り手企業の「内部情報」「秘密情報」を明確にし、それらの情報は買い手企業と雇うM&Aの専門家だけが知ることができるなど、情報の公開範囲を約束することです。情報利用の目的制限とは、知り得た情報についてはM&Aをする際のデュー・デリジェンスのためのみに使用することです。

M&A終了後の秘密情報の取り扱いは、実際にM&Aを行う、またはM&Aを行わない後に、秘密情報を破棄する、もしくは返還する約束します。
 

秘密保持の期間は1~5年

M&Aにおける秘密保持契約の守秘義務の期間は、売り手企業と買い手企業とで交渉して決めます。秘密保持の期間というのは、売り手側企業にとって重要な情報を買い手企業に開示することを意味しており、その分だけ漏えいや不正利用などのリスクがあるため、期間の設定は非常に重要です。

また、秘密保持の期間はM&Aを行う当事者である企業が、今後どの程度頻繁にM&Aを行うつもりであるか、また売り手企業の業績の移り変わりなどの要素を考慮して決定します。期間の長さは、実務においては1~5年と定める場合が多いです。期間は可能な限り短くしたほうがよいとされているので、秘密保持契約の期間について納得がいかない場合には、相手方企業と交渉をして決めるようにしましょう。
 

 

秘密保持契約の形式とそのメリット

秘密保持契約は、大きく分けて2つの形式があります。まず、一般的なのは「双務式」という方式です。双務式は、たとえば売り手企業と買い手企業が互いに交渉したり、買い手企業にだけではなく売り手企業にも特別な秘密を守ってもらう必要があったりするなどの場合に利用されます。このように、双務式のメリットは、買い手企業の希望を取り入れた形で秘密保持契約の内容を決められることです。

これに対して「差し入れ形式」は、売り手企業から買い手企業に対して、一方的に秘密を守ってもらう内容を決める方式です。たとえば、ある売り手企業に対して複数の買い手企業がM&Aを検討している場合が該当します。つまり、売り手企業の情報を開示する相手が複数いる場合は、あらかじめ秘密保持契約の内容について決めるのが時間の節約になります。このように、差し入れ形式のメリットは、契約書作成の時間を短縮し、合理的に手続きを行うことができることです。
 

秘密保持契約に違反した場合については詳細に定めるべき

すでに説明したように、秘密保持契約は、売り手企業の情報について秘密を守ってもらうために結びます。しかし、買い手企業の故意あるいは過失によって、秘密保持契約に違反してしまう場合もあるのです。秘密保持契約が破られた場合には、売り手企業は損害を被るおそれがあります。このような場合に備え、買い手企業が秘密保持契約に違反した場合には、売り手企業に対する損害賠償責任と不正利用に対する差止請求を受ける旨を明記しましょう。損害賠償は、その上限と下限についても細かく定めておくことで、万が一の場合には損害の回復が可能になります。

 

 

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