投資ファンドの種類

こんにちは。経営承継支援のブログ担当チームです。

投資ファンドは投資信託・ヘッジ・アクティビスト・PEファンドの4種類に大別され、それぞれ投資対象や手法が異なります。
上場株式を対象とする公開市場型ファンドと、未公開株式に直接関与するPEファンドでは、M&Aとの関わり方が大きく異なります。
事業承継やM&Aの買い手としてPEファンドが注目されており、MBOや成長資金提供など柔軟なスキームが活用されます。

目次 [ ]

一口に「投資ファンド」と言っても、幾つかの種類に分類されます。
以下、①投資信託ファンド(Mutual fund)、②ヘッジファンド(Hedge fund)、③アクティビストファンド(Activist fund)、④プライベート・エクィティ(PE)・ファンドについて説明します。

1)投資信託ファンド(Mutual fund)

上場株式、債券、デリバティブ、短期金融商品、不動産などへ投資するファンドです。
個人投資家を対象とした「公募型」、機関投資家を対象とした「私募型」のタイプがあり、「公募型」は、証券会社や銀行、郵便局、保険会社等で販売されています。

個人投資家に非常に人気のある、毎月分配金を受け取る投資信託等は有名です。法律の改正により、「不動産投資ファンド(J-REIT)」、「SRI(社会的責任)ファンド」、「エコファンド」等様々なニュータイプのファンドが登場しました。


出所:一般社団法人投資信託協会

2)ヘッジファンド(Hedge fund)

ヘッジファンド(Hedge fund)は、金融派生商品など複数の金融商品に分散化させて、高い運用収益を得ようとする代替投資の一つです。投資対象は投資信託と同様であり、上場株式、債券、デリバティブ、短期金融商品がメインになります。そのスキームは複雑であり、「売り」からでも、「買い」からでも取引を始めることができます。

ほとんどが私募型であり、投資家がその運用方針、戦略等を検証することは難しいです。一般に、「ゲートキーパー」という、ファンドの調査専門機関を介して情報が収集されています。

米国では半世紀にわたり歴史がありますが、日本においては未だ「空売り」規制等の関係で、ヘッジファンドを組成するメリットはありません。海外プレーヤーがメインプレーヤーになります。
近年、グローバルに株式市場、為替市場の変動を大きくする要因の一つとなっているヘッジファンドの動向は注目されています。

(参考)ポンド危機(Pond crisis)
1992年9月16日、英国の通貨ポンドが外国為替市場で大暴落し、ERM(欧州為替相場メカニズム)を離脱するという出来事がありました。
この出来事は、「暗黒の水曜日」、あるいは「ポンド危機」と呼ばれています。

当時、英国経済が低迷していたにもかかわらず「ポンドが過大評価されている」と考えた著名投資家のジョージ・ソロス氏率いるヘッジファンドは、ポンドの大量空売りで10億〜20億ドル(1,100億円~2,200億円)の利益を得たとされています。

一方、イングランド銀行(英国中央銀行)はポンド買いの市場介入に加えて、公定歩合の大幅な引き上げを行いましたが、それでもポンドの大暴落を止めることができませんでした。

3)アクティビストファンド(Activist fund)

一定以上の保有株式を裏付けに企業経営者に対して増配や自社株買いなどの株主還元の要求や、株主総会における議決権行使などを積極的に行う投資ファンドであり、「モノいう株主」と言われています。

機関投資家、年金基金、富裕層の個人投資家から集めたお金を上場企業株式に投資を行い、投資先の企業に株主の立場で様々な注文をつけることで企業価値高め、株価が上昇したところで売り抜ける手法を用います。
TOB(公開買い付け)を発表することで、その企業の本来の価値(株価)まで値段をつり上げ、市場で売却することもあります。

国内においては、スティールパートナーズがソトー、ユシロ化学にそれぞれTOBを発表した事例、村上ファンドと阪急ホールディングスにおける阪神電鉄の事例が有名です。

投資ファンドを理解する上で重要な視点の一つが、「上場株式(公開市場)」を対象とするか「未公開株式(非公開市場)」を対象とするかという区分です。投資信託ファンドやヘッジファンド、アクティビストファンドは主に上場企業の株式・債券・デリバティブなど公開市場で取引される金融商品を投資対象とします。一方、プライベート・エクイティ(PE)ファンドは文字通り「Private(非公開)」の未公開株式を主な投資対象とし、公開市場を介さずに直接企業の経営に関与する点が大きな特徴です。

M&Aとの関係で特に重要なのはPEファンドとアクティビストファンドです。PEファンドはMBO(マネジメント・バイアウト)や事業承継、事業再生の場面で買い手として登場し、経営改善後に上場(IPO)や別の事業会社への売却(セカンダリー売却)によってイグジットします。アクティビストファンドは上場企業の株式を一定割合取得した上で、経営陣に対して増配・自社株買い・事業売却・M&Aの実施などを要求することで企業価値の向上を促します。近年では日本企業のコーポレートガバナンス改革の進展により、国内外のアクティビストファンドの活動が活発化しており、M&A実務においても無視できない存在となっています。

中小企業オーナーが事業承継やM&Aを検討する際、買い手候補としてPEファンドが登場するケースは増加しています。PEファンドによる買収では、経営陣が継続する形でのMBOや、オーナーが一部株式を保有し続けるロールオーバー投資といった柔軟なスキームも活用されるため、事業承継の選択肢として積極的に検討する価値があります。

4)プライベート・エクィティ(PE)・ファンド

プライベート・エクイティ・ファンド(Private Equity fund)とは、複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を基に事業会社などの未公開株を取得し、同時にその企業の経営に深く関与して「企業価値を高めた後に売却」することで高いIRR(内部収益率)を獲得することを目的とした投資ファンドです。
投資目的には、マネジメント・バイアウト(MBO)、事業再生、成長資金の提供、事業承継などがあります。

中長期での投資を主体としており、企業に中長期の成長資金を供給、若しくは取締役を派遣後大規模な経営再建を実施するプライベートエクイティファンドは、その投資形態において、ヘッジファンドと大きく異なります。

区分 ファンド運営会社 投資実績
日系 アドバンテッジパートナーズ ポッカ、ダイエー、クラシエ、レイズインターナショナル、東京スター銀行
ユニゾン・キャピタル あきんどスシロー、東鳩、クラシエ、コスモスイニシア、エノテカ、シダックス
丸の内キャピタル 成城石井、ジョイフル本田、タカラトミー
アント・キャピタル・パートナーズ 本間ゴルフ、ゴルフパートナーズ、アントステラ、麦の穂ホールディングス
東京海上キャピタル バーニーズジャパン、ワンビシアーカイブズ、ゼロ、武州製薬
みずほキャピタルパートナーズ バンテック、アルコニックス、アドバンストマテリアル、ぎょうせい
外資系 カーライル・グループ オリオンビール、おやつカンパニー、コバレントマテリアル、クオリカブス、学生援護会
ベインキャピタル・アジア・LLC 東芝メモリ、すかいらーく、大江戸温泉物語、雪国まいたけ、アサツー ディ・ケイ
CLSAキャピタルパートナーズジャパン バロックジャパン、エバーライフ、機動建設、エコロホールディングス
MBKパートナーズ アコーディアゴルフ、ユニバーサルスタジオ、コメダ珈琲店、田崎真珠、弥生
政府系 産業革新機構 ルネサスエレクトロニクス、ジャパンディスプレイ、日本インター、国際原子力開発
海外需要開拓支援機構 クールジャパンパーク大阪、寧波阪急商業有限公司、KADOKAWA Content Academy、Tokyo Otaku Mode
地域経済活性化支援機構 ヤマギワ、アーク、マリーナ電子、熊本バス、阿蘇熊牧場

出所:Executive Link HP

以下の表では、本記事で紹介した4種類のファンドについて、主な投資対象・上場/非上場の別・M&Aとの関連性・主な投資家層を一覧で整理しています。

ファンド種類 主な投資対象 上場/非上場 M&Aとの関連性 主な投資家
投資信託ファンド 株式・債券・不動産など 主に上場 低い 個人投資家・機関投資家
ヘッジファンド 株式・債券・デリバティブなど 主に上場 間接的(市場変動要因) 機関投資家・富裕層
アクティビストファンド 上場企業株式 上場 高い(TOB・経営介入) 機関投資家・富裕層
PEファンド 未公開株式(事業会社) 非上場(一部上場も) 非常に高い(MBO・事業承継・再生) 機関投資家・年金基金

このように、ファンドの種類によって投資戦略や関与する場面は大きく異なるため、M&Aや事業承継を検討する際にはどのタイプのファンドが関係するかを把握しておくことが重要です。

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