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セミリタイアとは
セミリタイアとは、早期退職の一つです。完全に仕事を辞める退職とは異なり、一定の仕事 (収入源)を残しながら、自分の自由時間を増やすことを意味します。
完全に仕事を辞める訳ではありませんが、現役時代に比べて自由な時間を確保できます。
セミリタイアは、正社員からパートやフリーランスなどへ就業形態を切り替えて、自由な時間を確保する方法です。なお、最近ではインターネットを活用した在宅業務で生計を立てるなど選択肢の幅が広がっています。
セミリタイアが注目される理由
日本経済の停滞
現在、日本経済は停滞傾向にあり、労働者の賃金増加も停滞している状況です。この状況に不安を感じて、自分自身で資産を形成して、会社の給与のみに依存しない生活スタイルを追求している人が増えています。
終身雇用制度の見直し
現代社会はVUCA(ブーカ)(注)と言われ、時代の変化が速く、不確実かつ複雑になっています。
(注)社会あるいはビジネスにおいて、不確実性が高く将来の予測が困難な状況であることを示す造語です。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を並べたものです。
このような社会においては、以前のように一生同じ会社で働くことが難しくなっています。そのため、自分自身の生活を守るためには、経済面で会社だけに頼らない生き方、早期リタイアするなどの選択が増えました。
働き方の多様化
高齢化が進み、人生100年時代が到来すると、一生学び続けたり、いろいろな働き方を選んだりする人が増えてきます。自分の将来や働き方を考え直すことが、セミリタイアという選択を考える契機になると思われます。
セミリタイアに類似した概念としては、早期リタイアがあります。早期リタイアは、一般的に早期優遇退職制度を活用し、定年前に退職金を受け取って退職することです。
早期優遇退職制度は、企業の方針である場合、業績悪化のために実施される場合があります。
早期優遇退職の場合、一般的に退職金規程による退職金に加えて割増退職金が加算されます。

セミリタイアのメリット
若くて体力がある年齢の時に多くの自由時間を持てる
一般的に65歳定年を迎えると、すでに体力や気力が衰えている場合が多いです。しかし、セミリタイアすれば、元気な年齢時に仕事を減らし、好きなことや新しいことに挑戦する時間が増えます。
会社での煩わしい人間関係から解放される
会社生活では日々の仕事や上司や同僚との関係でストレスを感じることも少なくありません。一方、セミリタイアを選択すると、自分のペースで生活できるようになり、ストレスの原因となる対人関係がなくなります。
セミリタイアのデメリット
老後資金を準備する必要がある
セミリタイアした後は、厚生年金を途中で脱退するため、将来受け取れる公的年金の金額が少なくなる可能性があります。老後資金が少なくなる可能性を考慮して、老後資金を貯める計画を立てる必要があります。
保障や福利厚生がなくなる
会社員の場合は、病気や怪我などで入院をすると組合などから見舞金が出るケースがあります。あるいは、企業(雇用主)が様々な福利厚生を用意していることが多いです。しかし、セミリタイアすると、この様な保障や福利厚生を受けることができません。
社会的信用を得るのが難しい
クレジットカードやローンの審査、賃貸物件の入居審査において、社会的信用を得るのが難しくなる傾向があります。
明確な目標がないとやりがいがなくなる」
自由な時間を得られる反面、明確な目標がないとやりがいを感じられなくなります。セミリタイアは、目標を達成するための手段として計画的に実行するのがよいです。

アーリーリタイアとは
アーリーリタイアは、会社など主たる仕事から早期に退職することです。一般的に、30歳代から50歳代くらいの年齢層の方が多いです。
アーリーリタイアには、仕事を辞めた後に貯蓄と資産のみで生計を立てる完全リタイアと、自由時間のある生活を送りながら一定収入を得るセミリタイアのいずれかのタイプがあります。
以下の表では、セミリタイア・アーリーリタイア・FIRE・M&A活用リタイアの4つを、定義や必要資産、メリット・デメリットなどの観点から比較しています。
| 比較項目 | セミリタイア | アーリーリタイア(完全リタイア) | FIRE | M&A活用リタイア |
|---|---|---|---|---|
| 定義 | 一定の収入を残しつつ自由時間を確保 | 完全に仕事を辞め資産・貯蓄で生活 | 資産運用益で生活費をまかない早期退職 | 会社売却益を元手に早期退職 |
| 主な収入源 | パート・フリーランス・副業等 | 貯蓄・年金・資産取り崩し | 株式・ETF・不動産等の運用益 | 株式譲渡代金・その後の資産運用 |
| 必要資産の目安 | 比較的少額でも可能 | 老後資金を含め多額の資産が必要 | 年間生活費の25倍(4%ルール) | 会社の企業価値次第(数千万〜数億円) |
| リタイアまでの期間 | 比較的短期間で実現可能 | 長期の計画が必要 | 数年〜数十年の積立・運用期間が必要 | M&A成約まで6か月〜1年程度 |
| 主なメリット | 収入が残り生活が安定しやすい | 完全な自由を得られる | 働かずに収入を得られる仕組みを構築できる | まとまった現金を一括取得できる |
| 主なデメリット | 完全な自由は得られない | 資産が枯渇するリスクがある | 市場変動リスク・知識が必要 | 買手が見つからない・競業避止義務がある |
それぞれのリタイア手法は、必要な資産規模や実現までの期間、得られる自由度が大きく異なるため、自身の年齢・資産状況・ライフスタイルの希望に合った方法を選ぶことが重要です。
(参考) FIREとは
FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の略で、経済的自立と早期退職を意味します。早期退職をして、投資をしながら運用益で生活費をまかなう考え方です。
投資をするための元手や、資産運用の知識などが必要となります。投資対象は、上場株式、ETFなどの金融商品、または不動産などがあります。一定程度の収入を得ることから、セミリタイアに類似しています。

M&Aでアーリーリタイアできる?
中小企業のM&Aのスキームは株式譲渡の場合が多く、売手(売手企業のオーナー株主)は買手(企業)から現金を受け取ります。
その場合、株式譲渡代金の受け取りにより、アーリーリタイアを実現するのに十分な現金を一括で獲得することができます。
また、会社の廃業の場合、事業用固定資産や在庫商品の処分費用などの資金が必要になります。
M&Aで会社を売却する場合、廃業費用がかからない点もメリットです。
M&Aによるアーリーリタイアを実現するための具体的な流れと税務上の注意点についても押さえておくことが重要です。
M&Aで会社を売却してアーリーリタイアする場合、一般的には①企業価値(株価)の算定、②仲介会社への相談・契約、③買手候補のマッチング、④基本合意・デューデリジェンス、⑤最終契約・クロージングという流れで進みます。中小企業のM&Aでは、着手から成約まで平均6か月〜1年程度かかることが多く、早めに準備を始めることが大切です。
税務面では、株式譲渡によって得た売却益(譲渡所得)には、原則として約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の分離課税が適用されます。例えば、株式を1億円で売却し取得費が500万円であれば、譲渡所得は9,500万円となり、約1,930万円の税金が発生します。売却後に手元に残る資金を正確に把握したうえで、リタイア後の生活設計を立てることが不可欠です。
また、M&A後にアーリーリタイアを実現した際には、社会保険の切り替えも必要です。会社員を辞めると健康保険は国民健康保険または任意継続への変更が求められ、年金も国民年金への切り替えが必要になります。これらのコストも老後の資金計画に組み込んでおくべきです。
さらに、M&A後の売手オーナーには、一定期間(一般的に1〜3年程度)の競業避止義務が課されるケースがあります。同業での事業再開が制限される場合があるため、リタイア後のライフプランをあらかじめ明確にしておくことが求められます。セミリタイアとして別の分野での副業や資産運用を視野に入れながら、専門家(税理士・FP・M&A仲介会社)と連携して計画を進めることを強くおすすめします。
M&Aによるアーリーリタイアのメリットとデメリット
メリット デメリット
・十分な金額の現金を一括で受け取ることができる
・会社や事業の成長が期待できる(相乗効果)
・従業員の雇用継続
・銀行借入の個人保証の解除 ・買手が見つからないこともある
・M&Aの成約まで時間がかかる
・希望条件(株価)で売却できないこともある
生活費に必要な資産は?
都心で暮らす場合
都心で暮らす場合、資産として最も重要なのは住まいです。マンションや一戸建てなどを所有していれば、資産として価値があります。
郊外で暮らす場合
郊外で生活をする場合も、一般的に住居が重要資産になります。もちろん、資産には株や貯蓄などの金融合資産もありますが、マンションや一戸建てなどの資産は大切です。
地方で暮らす場合
地方で暮らす場合、土地などの資産は場所によっては価値がそれほどない場合もあります。ただし、畑などの農地は、自給生活を送るための生活に必要な資産ともなります。土地などの資産には頼らずに、貯金など実効性がある資産を念頭に置きましょう。
海外移住する場合
海外移住する場合は、国内にある資産をすべて処分してしまうとリスクが少なくなります。もちろん、国内に居住するスペースを確保しておきたい場合は、資産を残しておくのも1つの方法です。
また、税金は日本とは大きく異なる国があります。移住する国の税制の仕組みを調べる必要があります。

資産運用でセミリタイアは可能?
株式投資の場合
セミリタイアした後の株式投資にはメリットがあります。仕事に従事していた時と異なり、株価の動きに柔軟に対応できるからです。インターネットを通して株式の売買取引ができるので、居住地に制約がありません。
株式取引で安定収入を得るには、株式に関する知識を習得して、株価の動きに注意する必要があります。収入としては、キャピタルゲイン(株式の売却益)とインカムゲイン(配当)の2つがあります。
不動産投資の場合
不動産価格は、株価のように日々大きく変動しません。価格変動のリスクはありますが、不動産投資は、セミリタイア後の収入源としてはある程度、安定したものであると考えられます。

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