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M&Aのプロセスは、最終契約の締結、クロージングによって終了します。
しかし、売り手企業と買い手企業にとっては、アフターM&Aが重要です。買い手企業が売り手企業をスムーズに引き継ぐためには、アフターM&Aの期間にどのような取り組みをするかがポイントになります。
以下のケースを紹介して、買い手企業の社長が、アフターM&Aにおいてどのような施策をとったかを見ることにします。
~買い手企業の社長による3つの施策~
【売り手企業(X社)】
業種:電気通信工事業(首都圏)
売上高:約2億円
経常利益:黒字
譲渡理由:社長は高齢(70歳代)であり、持病を抱えていた。親族内に後継者はいなかった。社員には優秀な技術者が多く、業績も安定していた。
【買い手企業(Y社)】
業種:電気通信工事業(地方)
特長:社長は二代目。業歴も長く、地元では確固たる営業基盤を築いている。
M&A目的:首都圏への進出を検討。営業所を設置する代わりに、同業のM&Aを選択した。
<X社社長の処遇>
M&A後もX社の社長には、会長職として会社に残っていただきました。
X社社長が使用していた社長室(個室)は、そのまま会長室としました。また、会長は持病を抱えていたので、体調と相談しながら一週間のうち数日、短い時間だけ会社に来て頂くようにしました。
X社社長に敬意を払い、M&A後の処遇を考えるとともに、X社社員のメンタル面にも留意した対応でした(急に売り手社長がいなくなると、寂しい気持ちになるのを防ぐため)。
<最終契約締結日にX社の全社員と面談実施>
最終契約締結とクロージングを同一日に行うと共に、X社の本社事務所で社員発表を実施しました。社員発表の後、一人当たり短い時間ですが、Y社社長は、X社の全社員と個別面談をしました。双方の自己紹介、担当業務などについてヒアリングしました。
X社の社員は、突然M&Aの話を聞いて不安に思うため、日常業務、社員の処遇などは変わらないことを直接伝えることが目的でした。
<X社での勤務について>
Y社社長は、それまでの社長室は使わず、社員が座っている同じフロアの末席を自席としました。
Y社社長曰く、「私は都会でこの仕事をするのは初めてなので、皆さんから業務面で色々教えていただくことがあります。また、一週間のうち、半分は地元(Y社)、残り半部はこちら(X社)で仕事をします。そのため、私の席はここにします。」
X社の社員と同じ目線に立って一緒に仕事に取り組む姿勢は、好感を持って受け入れられました。
一方、Y社社長のもう一つの狙いは、なるべく早くX社の社員の特徴を把握し、現状の課題、改善点などを見つけることにありました。そのためには、社長室(個室)に籠らず、社員と同じフロアで仕事をする必要がありました。
<その後>
アフターM&Aにおける業務の引継ぎはスムーズに進み、X社の業績は向上しました。
なお、会長(X社の前社長)は、健康上の理由もあり1年後に会社から離れ、ハッピーリタイアしました。
中小企業のM&Aは、個々の案件ごとに手作り、言わばオーダーメイドであり、これが公式というものはありません。この記事を読まれた会社経営者の方でM&Aをお考えになる場合は、中小企業のM&A専門会社である弊社に是非ご相談ください。
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