個人事業主における事業承継の問題点とは?

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経営承継支援編集部

この記事は、株式会社経営承継支援の編集部が監修しました。M&Aに関してわかりやすく役に立つ記事を目指しています。

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個人事業主における事業承継の問題点とは?

「中小企業白書」によると、経営者における最も多い年齢は66歳である、20年前の47歳から高齢化しています。これは、中小企業における事業承継が上手くいっていないことの証で、今後5年から10年程度の間に多くの企業で後継者不足問題が表面化する危険性があるのです。
法人が事業承継を行うための方法としては「親族内の誰か」や「優秀な社員」といった人物に後継者になってもらう方法があります。また、他社に会社を買い取ってもらうM&Aを利用するのも選択肢のひとつです。個人事業主についても同様の方法が考えられますが、個人事業主特有の課題については注意が必要だと言えます。では、どのような点で注意しなければならないのでしょうか。

事業承継における個人事業主特有の課題とは?

個人事業主・法人どちらも事業承継の方法における課題については、それほど変わりはありません。しかし、個人事業主の方が法人組織よりも「経営者自らが現場へ足を運び、取引先や顧客との直接的な信頼関係を築いていることが多い」「事業用資産を経営者個人が所有している比率が高い」といった特徴があります。
そのため、本当の意味での事業承継を成し遂げるには、単に開業届や廃業届を出すだけでなく、取引先や顧客との信頼関係や事業用資産の譲渡も含めた形で行わなければなりません。また、個人事業主の場合、それらの特徴は個人の交友関係や資産と密接に入り組んでいることが多いため、個人と事業に切り離すことが難しいケースがあるのです。個人事業主がスムーズな事業承継を行うためには、特に「人」と「資産」の承継をしっかりと行う必要があると言えるでしょう。

人の承継について

中小企業庁の調査によると、先代の子が個人事業主を継いでいるケースは81.1%に上り、親族内承継まで含めるとその割合はおよそ9割まで達します。これらのことから分かる通り、個人事業主のほとんどは親族経営であり、事業承継もそのように行われているのです。この現実を考える限り、個人事業主の後継者対策としてはできるだけ早い時期に親族内での候補者を確保することが大切だと言えます。ただし、後継者候補が中途半端な気持ちで継いでしまうと、事業が上手くいかないかもしれません。事業の発展のためには後継者候補自らが「後を継ぎたい」と認識することが必要です。そのような環境を整えるためにも、個人事業主は経営状況を良くしておくことが重要になります。借入金などをできるだけ返済した状態で健全な経営をしていれば、後継者も事業を継ぎやすくなることでしょう。

資産の承継について

“個人事業主の資産は事業用資産と個人資産とに分類しなければ、事業承継は完成しません。個人事業者によっても異なりますが、この線引きがあいまいなまま事業を行っていると税務調査が入ったときだけでなく、事業承継にとっても問題になるケースがありますので早めに整理しておくようにしましょう。

また、個人事業主の所有する資産は6割以上が土地や建物などの不動産だといわれています。店舗に使用しているのが自宅以外であれば問題ありませんが、自宅兼店舗で事業を行っているケースでは、現経営者の個人資産を譲渡する必要がある点にも注意しなければなりません。親族間で事業承継を行う場合であれば、お互いの今後の生活について話合う必要があるでしょう。親族以外の他人に譲渡するケースでは、事業を行う場所そのものを移動する必要があるかもしれません。それらの手続きも忘れないようにしましょう。

事業承継と相続税対策

親族間で経営権を譲渡することが多い個人事業主では、相続税対策として事業承継を行われることがあります。事業を拡大することは良いことですが、そのままでは多額の相続税が課せられるかもしれません。あらかじめ後継者を決定しておくことで節税に繋がるケースがあるのです。
個人事業主が持つ資産のなかで、最も大きな比重を占めるのが土地です。そのため、個人事業主の資産で大きな割合を占めてしまうのですが「小規模宅地の特例」を活用すれば節税できるケースがあります。一定の面積以下が該当しますが、事業用の土地でも最大80%も評価額を減らせますので、大きな節税に繋がることがあるのです。税金の控除については、さまざまな特例がありますので税理士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。

後継者不足は早期対策が大切!

個人事業主の後継者対策は早めに行っておくのが得策です。なぜなら、個人事業主の資産は個人資産とともに相続税の課税対象になってしまうため、相続人のなかに事業に関係ない人間がいた場合、事業に必要な土地や建物でも第三者に譲渡してしまう可能性があります。これは個人事業主特有の悩みの一つです。そのようなことにならないために、できるだけ早めに後継者を指名して対策をとっておくと良いでしょう。
しかし、どうしても後継者が見つからないという個人事業主もいるかもしれません。そのような声に応えるために、政府も中小企業の後継者対策に乗り出しています。中小企業庁では「後継者人材バンク」という事業を行っており、後継者が欲しい個人事業主と個人起業家をマッチングしているのです。ほかにも、民間では事業承継の相談業務を専門に行っている企業もあるので、後継者不足に悩んでいる方は自分だけで抱え込まず、そのような事業者に相談してみると良いでしょう。

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