給食業界の動向およびM&Aについて

目次 [ ]

 

 

給食業界の市場動向

給食業とは、病院や学校、社員食堂、福祉施設などの施設において、日常的に食事を提供するものです。また、飲食店やホテル、旅館など宿泊施設で食事や料理を提供する「営業給食」、学校や病院、社員食堂などで提供する「集団給食」の二つに大別されます。

給食業界は、コロナ禍を通じてその重要性が再確認されました。特に、高齢者向け給食市場が成長を見せています。

 

メディカル給食や在宅配食サービスの需要が拡大しています。具体的には、高齢者向け個人宅配食や施設向けパック惣菜が市場で成長しており、一部の企業は弁当給食業よりも成功しています。

市場の成長要因として考えられるのは、以下の点です。

高齢者人口の増加
在宅医療患者数の増加

給食事業は、老若男女問わず全ての世代のニーズに応える食品メーカーへと進化していくと考えられます。今後、サービスの多様化と効率化を追求することで、更なる成長が期待できます。

 

 

給食業界が持つ4つの事業特性

給食提供先の利用者数に変動が少ない

集団給食は、学校や病院、福祉施設、企業の工場などに対して日常的に食事を提供するため、利用者数に大きな変動が少ないストック型ビジネスである点が特長です。

そのため、レストランやカフェのように、来店者数に左右されず、継続的な売上を期待できるため、安定した経営が可能です。

設備投資が不要な場合がある

給食事業は、依頼側の施設を利用して調理をおこなうケースが多く、設備投資を抑えられる点がメリットです。依頼側の設備を借りて調理する場合、自社で設備を整える必要がなく、コストの削減が可能です。初期投資を抑えて事業を展開できる点が、給食事業のメリットの一つです。

対応の柔軟性が求められる

給食事業は、契約内容が依頼先ごとに異なるため、柔軟な対応が必要です。具体手には、設備の用意、食材の購入、人材の派遣、メニューの要望など、依頼先のニーズに応じた対応が必要です。

例えば、学校は生徒向け、病院は患者向け、福祉施設は入居者向け、企業は社員向けのメニューが必要です。各ニーズに応じたサービスを提供することで、依頼先の信頼を得て長期契約を継続することが可能です。

コストの大多数は人件費と食材費が占めている

給食事業のコストの大半は、人件費と食材費が占めています。設備は既に確保しているか、依頼先が用意するので、主な費用は従業員の賃金と食材の購入費です。効率的なシステムを導入し、人件費と食材費を抑えることによって、利益を確保することができます。

 

 

給食業界の4つの課題

>慢性的に現場の人手が不足している

給食業界は、現場の人手不足が慢性的な問題です。立ち仕事が多く、体力を要する職場環境のため、若い世代の就業希望者が減少しています。

また、業界平均給与が高くないため、離職率が高いのも人手不足の原因です。特に、栄養士や調理師の不足や人材の入れ替わりが深刻であり、給食の質やサービスの安定性に影響を与えています。

事業後継者が不足している

給食業界は、以下のような理由から現場だけでなく事業を引き継ぐ後継者も不足しています。

すでに後継者が決定している給食会社が全体の2割で、その他の企業は承継については定まっていないというのが現状です(日本給食業経営総合研究所の調査)。

運営コストが増加している

給食業界では、運営コストの増加も大きな課題です。2022年のロシアのウクライナ侵攻や石油価格の高騰、為替円安などが原因で、食材価格や人件費、光熱費が上昇しました。

運営コストの増加は、収益性の低下に繋がります。コスト削減の効率的な運営が求められますが、同時にサービスの質を維持することも重要です。

競合との差別化をしにくい

給食業界は、競合との差別化が難しい問題があります。学校給食や介護給食では、栄養バランスやコストが厳密に定められており、提供できるサービスの自由度が低いため、価格競争に陥りやすくなります。

 

 

今後の給食業界の事業シナリオ

給食業はコロナの影響を受けたと同時に、食のインフラ業として「なくてはならない事業」であることを証明しました。それが他業界と比べても、前年対比95%前後の業況推移に表れています。特に業績を伸ばし、または影響が少なかったドメインの特徴は、①市場が大きいこと ②競合が少ないことであり、現在その筆頭が高齢者向け給食市場となっています。
例えば、「高齢者向け個人宅配食」や「施設向けパック惣菜」で、弁当給食業よりも成長した会社も現れました。市場の成長は人口動態から分かるとともに、競合状況は大手企業が存在すると同時に、カバーできない市場を地場給食業が小回りの利くサービスを提供して市場シェアを獲得することができます。

医療介護業界の人材難やコスト問題は、今後も更に進むと思われます。この状況下、給食業は、施設向けパック惣菜等で大きく貢献してきました。ただし、今後も需要は変化していきます。現在、盛り付けをしない更なる省人化のスタイルが求められています。ワンウェイ冷凍弁当や完調品を始めとした、院外調理のシステムがマッチしています。作る機能の価値がより一層高まる中で、給食業は老若男女問わない全ての世代ニーズに応える食品メーカーへ変わると思われます。


出所:日本給食事業研究所
 

 

給食業界の保有台数・売上高ランキング(2022‐2023年)

順位 会社名 売上高(億円)
1位 日清医療食品株式会社 ワタキューグループ 3,347
2位 コロワイド(7616 2,208
3位 エーエムサービス株式会社 三井グループ 1772
4位 株式会社グリーンハウス 1,121
5位 ロイヤルコントラクトサービス 1,017
6位 株式会社LEOC 1,046
7位 富士産業株式会社     824
8位 メーキュー株式会社 805
9位 株式会社魚国総本社 630
10位 株式会社メフォス 589

 

 

給食業界のM&A

給食業界のM&A(一部)

年度 買い手 対象企業・事業
2019 京進(4735 株式会社リッチ(給食事業)を完全子会社化
2020 株式会社シーナ 株式会社森原システムエンジニアリング(システム開発業)を子会社化
2020 三給株式会社 株式会社ヒカリ(愛知県:スーパー惣菜向け食品製造)を完全子会社化
2020 株式会社レパスト 株式会社マシモ(寿司・弁当等の製造販売)より食品工場を事業譲り受け
2021 株式会社トーカン(セントラルフォレストグループ) 三給株式会社(給食向け食品卸)を完全子会社化
2022 東京ケータリング株式会社 新東京食堂株式会社(東京都:給食事業)を完全子会社化
2023 オーシャンシステム(3096 株式会社ヨシケイ両毛(群馬県:夕食総菜の宅配)を完全子会社化

出所:各種開示資料より作成

 

2019年 (買い手企業) 京進(4735)×(売り手企業) 株式会社リッチ
京進は、学習塾サービス、個別指導のFC事業、日本語教育、英会話サービス、保育サービス、介護サービス、国際人材交流事業などを展開して います。
株式会社リッチ(大阪市)は、給食事業の運営を行っています。
京進は、株式会社リッチの全株式を取得して完全子会社化しました。
本M&Aの目的は、京進の有する介護食を中心とした配食サービス事業とノウハウ、リソースをリッチと共有することによってシナジーを創出し、フードサービス事業の展開を図る狙いです。

2020年 (買い手企業) 株式会社シーナ×(売り手企業) 株式会社森原システムエンジニアリング
株式会社シーナ(兵庫県神戸市)は、介護施設運営や訪問介護などの介護事業と、サービス付高齢者用住宅の運営事業、高齢者向け給食事業を展開しています。
株式会社森原システムエンジニアリング(兵庫県)は、システム開発、ネットワーク構築、Webサイト構築、介護関連ソフトウェア開発などを手掛けています。
株式会社シーナは、株式会社森原システムエンジニアリングの全株式を取得して完全子会社化しました。
本M&Aの目的は、シーナグループの有限会社システムプラネット(介護・障がい者福祉向けのシステム開発)とのシナジーの創出が狙いです。

2020年 (買い手企業) 三給株式会社×(売り手企業) 株式会社ヒカリ
三給株式会社(愛知県岡崎市)は、給食業、外食業向けの業務用食材卸の会社です。
株式会社ヒカリ(名古屋市)は、スーパー惣菜向け食品製造を行っています。三給は、株式会社ヒカリの全株式を取得して完全子会社化しました。
本M&Aの目的は、給食業の顧客を主力とする三給と、スーパー惣菜業の顧客を主力とするヒカリとの補完関係の構築、物流やシステムの協業による経営効率化が狙いです。

2020年 (買い手企業) 株式会社レパスト×(売り手企業) 株式会社マシモ
株式会社レパスト(東京都:売上高181億円)は、給食事業。食事宅配事業を展開しています。
株式会社マシモ(東京都)は、大手スーパー等向け寿司・弁当の製造・販売を手掛けています。
株式会社レパストは、株式会社マシモより寿司・弁当製造・販売の全事業を譲り受けました。
本M&Aの目的は、従来の給食事業、食事宅配事業に加えて、中食事業への参入です。

2021年 (買い手企業) 株式会社トーカン×(売り手企業) 三給株式会社
株式会社トーカン(愛知県名古屋市)は、セントラルフォレストグループ(7675)の子会社であり、食品卸売業を展開しています。
三給株式会社(愛知県岡崎市)は、給食業、外食業向けの業務用食材卸の会社です。
2020年に子会社化した株式会社ヒカリ(名古屋市)は、スーパー惣菜向け食品製造を行っています。
トーカンは、三給株式会社の全株式を取得して完全子会社化しました。
本M&Aの目的は、給食市場への参入および中食・惣菜向けの売上拡大を図る狙いがあります。

2022年 (買い手企業) 東京ケータリング株式会社×(売り手企業) 新東京食堂株式会社
東京ケータリングは、大和PIパートナーズの投資先である東京ケータリング・ホールディングスの子会社であり、カフェテリア&レストラン事業を展開しています。                   新東京食堂は、東京都・群馬県を中心に企業や学校向けの食堂運営および給食事業を展開している会社です。
東京ケータリングは、新東京食堂の全株式を取得して完全子会社化しました。本M&Aの目的は、給食事業の業務拡大です。

2023年 (買い手企業) オーシャンシステム×(売り手企業) 株式会社ヨシケイ両毛
オーシャンシステムは、業務スーパーの運営、食材宅配、弁当の配達などを行っています。ヨシケイ両毛は、夕食材料セットの宅配を行う会社です。
オーシャンシステムは、ヨシケイ両毛の全株式を取得して、完全子会社化しました。本M&Aの目的は、食材宅配事業の営業エリア拡大です。
 

 

給食業界の課題と今後について

人手不足
給食業界では、調理師のように立ち仕事が多く働く体力が必要です。また、業界の平均給与も低いため離職率が高い点が課題です。そのため、これらの点が人手不足の要因になっています。特に栄養士、調理師は慢性的な人手不足です。

食材価格の高騰、人件費、光熱費等の上昇によるコスト負担
2022年のロシアのウクライナ侵攻、石油価格の高騰、為替円安などの影響を受けて、食材価格の高騰、人件費、光熱費等の上昇により、コスト負担が大きくなっています。

コロナ禍は給食市場にも様々な影響を与えています。
具体的には、冷凍弁当の備蓄など非常食需要の拡大、外食産業や食品製造業での採用縮小により新規採用が難しかった栄養士や調理師人材の確保などのプラスの影響があります。
コロナ禍の収束が見えない中において、各社は新規営業による新たな顧客の開拓、新商品の開発による事業機会の拡大、人員配置の見直しによる現場の効率化、働き方改革を推進して人材を確保・定着、食品ロスを削減しSDGsに取り組む等の施策に取り組んでいます。

 

 

M&Aするメリットとデメリット

【1】主な2つのM&Aの手法

M&Aを検討している経営者の皆様が覚えておくべき主な手法は、株式譲渡と事業譲渡の2つです。
売り手企業の株主が買い手企業に株式を譲渡する手法が株式譲渡です。売り手企業が買い手企業に事業を譲渡する手法が事業譲渡です。
どちらを選択するかは、売り手企業の意向、買い手企業の考えによって、両者の交渉によって決まります。
会社の借入金、従業員、資産、権利義務関係などの全てを買い手企業へ譲る場合、株式譲渡の手法を選択します。
一方、売り手企業の事業が、製造部門と販売部門のように複数事業に分かれており、製造部門のみを譲渡するような場合、事業譲渡を選択します。
以下の設例により、株式譲渡と事業譲渡の2つの方法を比較することにします。

<設例>
X社は、自社ビルの不動産賃貸業とレストラン事業(25店舗:全店舗は賃借)の運営を行っています。株主はオーナー社長のみです。 コロナ禍の影響を受けて、レストラン事業の業績が悪化したため、X社はレストラン事業を第三者へ譲渡することにしました。
レストラン事業を事業譲渡する場合、買い手企業のメリットは、レストラン事業のみを引継ぐ点になります。ただし、従業員の再雇用、権利義務関係の引継ぎなどの手続が煩雑になるデメリットがあります。一方、売り手企業の簿外債務を引き継ぐリスクはありません。売り手企業のメリットは、レストラン事業のみ譲渡できる点、譲渡代金は売り手企業(X社)が受領する点になります。

株式譲渡のメリット・デメリット

事業譲渡のメリット・デメリット

【2】M&Aの手順・流れ

①プロセス開始当初にご依頼する資料やお伺いする情報がスムーズにご提供戴けると、その後のプロセスが円滑に進行します。
②予備的企業価値評価は、当社専門家(会計士/税理士)監修のもと実施。この段階で、譲渡価格や条件等の内容を概ね決定します。
③買手候補企業との間で大枠の条件が固まったら基本合意書(法的拘束力無し)を締結します。この段階より1対1の交渉(独占交渉)が始まります。
④基本合意と買収監査結果で差異があった項目を中心に調整し、詳細事項を決定。M&A実施後の体制等も、この段階ですり合わせます。

【3】会社を売却する理由・目的

M&Aとは、「Mergers and Acquisitions」の略語であり、日本語にすると「合併と買収」になります。

一般的なM&Aの目的は、売り手としては、事業承継(第三者への)、選択と集中(事業再編、ノンコア事業の売却)、Exit(投資ファンド)などの目的があります。

一方、買い手としては、規模の拡大(売上増加)、上流、下流への事業領域拡大(例えば、食品卸が食品メーカーを買収)、新規事業への進出(時間を買う)などがあります。

買い手は、M&Aによる相乗効果(=シナジー)を享受することにより、競合他社に対する優位性を確保することができます。

後継者不在に悩む中小企業は、一般に60万社以上あると言われており、弊社にご相談をいただく売り手の売却理由の多くは、上記の事業承継ニーズになります。

【4】M&Aにより会社を売却するメリット

オーナーのメリット(株式譲渡の場合)
①オーナー・その他株主のキャピタルゲイン(資本利得)の実現
オーナー一族はリタイアに際して現金収入が発生し、ハッピーリタイアすることができますその他株主も、同様に未上場株式を現金に換金できます

②相続税対策
流動性のない未上場株式を現金化することにより、遺産分割が容易になります

③オーナー一族の個人保証からの解放
買い手企業が保証(債務保証、不動産等の担保提供)を肩代わりするため、オーナー一族の経済的負担が解消されます※親族内承継または従業員承継の場合、オーナー一族の個人保証を継続せざるを得ない場合があります

会社のメリット
①事業の継続を確保、会社成長の可能性があります
②買い手企業の傘下に入ることにより、事業継続と安定性を確保できます
③買い手企業とのシナジー、将来の会社成長の可能性に期待できます
④従業員雇用の継続、安定を図ることができます

【5】会社を売却するデメリット

・買い手企業が見つからないリスク
会社を売却すると決断してもすぐに買手企業が見つかるとは限りません。
M&Aにはそれなりのコストがかかるので、買い手企業にとっては、それなりのメリットがなければM&Aを実行しません。コロナ禍においては、M&Aを検討する企業数が減っており、かつ投資目線も厳しくなっています。つまり、「コストをかけてもM&Aを行う」と買い手企業が思うような魅力がある会社(売り手企業)でない限り、なかなか買手企業が現れないと考えるのが良いでしょう。M&A市場においては、一般に「将来的に売り手企業がどの程度の収益を上げる力があるか」で売り手企業は評価されます。したがって、収益面では黒字にすること、過度な借入金(例えば、売上高を超える、あるいは同じ金額の借入金)は避けるべきです。

・M&A後における従業員の待遇面の不安
M&A後における従業員の労働条件や解雇の規則については、買い手企業によって変更をされないように最終契約書に記載しておく必要があります。最終契約書での取り決めがない場合、M&A前より悪い労働条件で働かされたり、簡単に解雇されたりする可能性があるためです。M&Aを実行する場合、確認する事項は個別案件ごとに異なり、また多岐にわたります。この確認をおろそかにせず、売り手企業と買い手企業のお互いがM&Aのメリットを享受できるように交渉を進めることが重要です。

 

 

会社を売却する際の株価の考え方

株価(株式価値)の算定方法として一般的に用いられる手法は、修正純資産法、類似会社比較法(マルチプル法)、DCF法です。

【1】修正純資産法

評価対象会社(売手)の貸借対照表に計上されている全ての資産・負債を時価評価した後の純資産額に営業権を加算して企業価値を算定する方法です。この方法は、企業の静的な価値を判定するのに適しています。未上場会社のM&Aで利用されることが多い方法です。
(注)黒字の場合、営業権として修正後営業利益の3年分程度の金額を加算します。一方、赤字(営業損失)の場合、営業権はつきません。社歴〇〇年の老舗企業、あるいは△△△ブランドで有名などの要素は、営業権として評価されません。

【2】類似会社比較法(マルチプル法)

業種、企業規模等の類似する上場会社の一定の財務数値に対する企業価値の倍率を測定し、評価対象会社(売手)の財務数値に当該倍率を乗じることで企業価値を算定する方法です。
上場会社、未上場会社のM&Aにおいて利用されている方法です。

なお、未上場の中小企業・小規模企業のM&Aの株価算定においては、会社規模(売上)が小さい、ニッチ業種であるなどの理由により、上場会社の中から類似会社を選定することが難しい場合があります。

【3】DCF法

事業活動から得られると予測される将来キャッシュ・フローの総額を現在価値に割り引いた金額を企業価値として評価する方法です。将来キャッシュ・フローの予測に企業価値が大きく左右される方法です。上場会社のM&Aにおいては、一般的に利用されることが多いです。
なお、DCF法を用いる場合、将来キャッシュ・フロー算出の基礎となる評価対象会社(売手)の事業計画が必要となります。また、当該事業計画の客観性、妥当性、実現性等が重要になります。

【4】考慮すべき事項

評価対象会社(売手)が、企業のライフサイクル(イメージ図)において、創業期、成長期、成熟期、衰退期のいずれの段階に該当するかを判断します。
併せて、評価対象会社の継続性の疑義の有無、知的財産等に基づく超過収益力に依存する収益構造であるか、類似上場会社のない新規ビジネス、或いはニッチ業種に該当するかなどを判断する必要があります。

企業のライフサイクル(イメージ図)

以上の考慮すべき事項を確認した後、評価対象会社(売手)に適切な株価(株式価値)の算定方法を選択します。複数の算定方法を選択できる場合は、それぞれの算定方法の結果を比較検討するのがよいでしょう。

【5】株価(株式価値)の算定方法の選択

〇:採用が適していると考えられる   △:場合によっては採用することが想定される

以上、中小企業のM&Aにおける株価(株式価値)の算定方法、考慮すべき事項を簡単に紹介しました。
現在、または将来、後継者問題などを理由に会社譲渡を考えている中小企業の社長様、是非、弊社にご相談ください。
会社の株価(譲渡金額)を決めるのは、社長様ご自身です。弊社試算の株価と比較して、納得できる譲渡金額を決める際の参考にして頂ければと思います。

【6】会社を売却する場合に係る税金

中小M&Aの方法のうち、最も多く用いられる株式譲渡の場合において、会社売却に係る税金をどのように考えるかを一緒に見てみることにします。会社の株主が個人である場合、所得税・住民税あわせて20.315% の固定税率で分離課税が適用されます。以下の設例を用いて、会社を売却した場合、株主の税金をどのように計算するかを説明します。

<設例>
会社株主は、社長のみの一人株主とします。
株式の出資額10,000千円、株式譲渡代金100,000千円、売り手(個人株主)のM&A手数料5,500千円 (消費税込み)とします。

株式の売却益(注)は、株式譲渡代金から株式の出資額を差し引いた、90,000千円(=100,000千円−10,000千円)となります。
(注)キャピタル・ゲイン(資本利得)

個人株主の場合、株式の売却益は分離課税の対象となり、税率は20.315%(注)が適用されます。
また、M&A手数料(消費税込み)は、売却益から費用として差し引くことができます。
よって、個人株主が負担する税金は、以下のように計算することができます。
(90,000千円−5,500千円)×20.315%(注)=17,166千円
(注)所得税及び復興特別所得税(15.315%)+住民税(5%)

【7】会社を売却するタイミングを考える場合のポイント

会社を売却するためのポイントは3つあります。
ポイント① 引退の時期を決める
「この事業が上手くいったあとで」といった条件付きの不明確な時期の決め方ではなく、できれば年月を確定することをおすすめします。時期を決めることで、実現するための強い決意が生まれます。
経営状態がよいタイミングで売却すると高い株価で売却でき有利ですが「企業価値が上がったら売却してリタイアしよう」という決め方だとなかなか踏ん切りがつかず、ハッピーリタイアの実現は難しくなるでしょう。

ポイント② 売却前に次の経営者がやりやすいように経営環境を整えておくこと
後顧の憂いなくリタイアするためには、経営者の頭の中にある重要な項目を整理しておくことが重要です。
特に、従業員の対するケアがポイントであり、各従業員の性格等を、事業引継ぎの際に伝えておかなければ、その後の組織運営に支障が出ます。

ポイント③良いフィナンシャル・アドバイザーを見つける
会社を売却する際には、専門的知識が必要となり、M&Aの専門家のサポートが必要となります。
中小M&Aの実績が十分にあり、業界での評判の良いM&A仲介会社を選ぶとよいでしょう。
どのM&A仲介会社も初期相談は、無料で対応しています。複数社と面談して、相性の良さそうな会社を選択するのも一つの方法です。
(注)フィナンシャル・アドバイザーの役割は、クライアント(売り手、買い手)が目指す戦略実現のために、最適なM&A手法を企画 立案し、その執行を全面的にサポートすることです。アドバイザリー会社のタイプとしては、金融機関系、会計会社系、ブティッ系の3つに大別することができます。

【8】会社を売却する際の注意点

経営者の健康問題
事業の内容に関係なく会社売却の理由と考えられるのは、経営者の健康問題です。
持病を抱えている人、年を取って体力に不安を持つ人など、会社の存続に不安を覚えて、弊社にご相談される場合がよくあります。

あるオーナー社長は、弊社にM&Aの相談をされましたがすぐに会社を売却せず、そのまま経営を続けられました。その2年後、オーナー社長が「M&Aを検討したい」と決断されました。

その2年間、オーナー社長は、定期的に通院したり、または入院したりと体調が良くなく、営業活動を十分に行うことができなかったため、売上高が減少しました。
その結果、利益率が下がり、会社の価値自体が棄損したため、株価算定の結果も2年前よりも30%減少となりました。

オーナー社長の場合、健康問題を理由として業績が下がることがありますので、その前にM&Aを決断することが重要です。

業界再編が加速している業種
2020年3月以降、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、各業界において業界再編が加速しています。この業界再編の流れを把握して競合他社よりも先に行動しなければ、M&Aのタイミングを逃すのみならず、M&Aできずに廃業に追い込まれることもあります。

事業再編が進むにはさまざまな理由があります。

例えば、人口の減少があります。
人口が減少すれば、従来のように売上を上げることは難しくなります。
或いは同地域に複数業者が乱立して、市場が供給過多の状態となっている場合も同様のことが言えます。
この様な場合、同業他社と経営統合を図ることで経営の安定を図り、生き残り戦略を選択する方法が考えられます。
 

 

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