【会社終活】倒産・解散・清算・廃業は何が違うの?

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【会社終活】倒産・解散・清算・廃業は何が違うの?

倒産とは

 企業など法人の経営破綻などをあらわす言葉として「倒産」という単語がありますが、実は、この倒産という単語には、明確な定義がありません。

倒産法という名称の法律はありませんし、倒産手続きという名称の法的手続きもありません。

講学上、一般的な意味での倒産に関わる法令をまとめて倒産法と呼び、それらを法令に基づく手続き一般をまとめて倒産手続きと呼んでいます。

 

(1)中小企業倒産防止共済法(昭和五十二年法律第八十四号)

第二条

2 この法律において「共済契約」とは、中小企業者が独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)に掛金を納付することを約し、機構がその中小企業者の取引の相手方たる事業者につき次の各号のいずれかに該当する事態(以下「倒産」という。)が生ずることに関し、この法律の定めるところにより共済金を貸し付けることを約する契約をいう。

一 破産手続開始、再生手続き開始、更生手続き開始または特別清算開始の申立てがされること。

二 手形交換所において、その手形交換所で手形交換を行っている金融機関が金融取引を停止する原因となる事実についての公表がこれらの金融機関に対してされること。

三 前二号に掲げるもののほか、過大な債務を負っていることにより事業の継続が困難となっているため債務の減免または期限の猶予を受けることを目的とするものと認められる手続きであって、その開始日を特定することができるものとして経済産業省令で定めるものがされること。

 

 

(2)株式会社東京商工リサーチHP抜粋

倒産は正式な法律用語でなく、東京商工リサーチが1952年から全国倒産動向の累計を開始したことで一般に知られるようになりました。

特に、1964年11月9日衆議院商工委員会で中小企業の倒産問題を東京商工リサーチの倒産データに基づいた国会質疑が行われ、「倒産」という言葉が普及しました。

 倒産とは、企業が債務の支払い不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になったした状態を指します。

法的倒産と私的倒産の2つに大別されます。

法的倒産では再建型の会社更生法と民事再生法、清算型の破産と特別清算に4分類されます。

私的倒産は、銀行取引停止と内整理に分けられます。

 

なお、倒産集計は負債総額1,000万円以上を対象とします。

最近、経営破綻や破綻という表現が多く用いられています。

これは再建型の倒産でも会社がなくなるというイメージによるもので、経営に行き詰ったという意味では倒産と同じです。

 

解散とは

会社の解散とは、企業活動をやめて会社を消滅させる一連の手続の出発点です。

会社法(会社法471条から)では、会社の解散原因として下記の7つが定められています。

会社の解散

解散の理由として、最も多いのは株主総会の決議です。

株主総会の決議により解散する場合は、特別決議が必要です。

特別決議とは、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し出席した当該株主の議決権の3分の2以上による賛成を必要とする決議のことをいいます。

定款で別途特別決議の要件を定めている場合は、その規定に従います。

清算とは

何らかの事情で会社を畳むことになった場合、単に閉業、解散しただけでは会社は消滅しません。

会社に資産と負債が残ったままです。

そこで、清算手続により、会社資産の売却や債権の回収を行い、その資金で債務の弁済を行う必要があります。

但し、会社が破産した場合と合併した場合、解散後に清算手続きは必要ありません。

清算手続は、会社の状況によって通常清算特別清算の2つに分かれます。

 

(1) 通常清算

通常清算は、解散した会社が残った債務を全額支払うことができる場合に取られます。

取締役に代わって清算人が選任(原則、解散時の取締役が就任)され、会社資産である売掛金や在庫などを換価して、その資金で債務を支払い、清算手続を完了します。

 

(2) 特別清算

特別清算とは、会社が債務超過の場合などに取られる清算方法です。

つまり、債務超過の場合は、通常清算の方法では会社を清算することができません。

特別清算を行う場合は、裁判所に特別清算の申立てをして、裁判所の監督の下で会社の清算を行います。

ただ、裁判所の監督の下で手続きは進行しますが、破産手続きほど厳格な手続きは求められず、簡易、迅速に処理を進めることができます。

いわゆる倒産手続ではないので、裁判所の監督を受けることもありません。

清算手続きの流れ

廃業とは

廃業とは、会社あるいは個人事業主がその理由にかかわらず、 自主的に事業を辞めることです。

特に中小企業においては、経営者の高齢化や後継者不足の問題が深刻化しており、これらを理由とする廃業が増加しています。

廃業は、破綻や倒産、破産とは異なり、経営がうまくいっていても起こります。

(1) 事業者等の廃業手法

廃業の手法としては、通常清算、特定調停、特別清算、破産があります。

通常清算は、解散した会社が残った債務を全額支払うことができる場合 の廃業手続きです。

これに対して、債務整理が必要な場合、私的整理手続ないし法的手続による清算を行います。

(2) 廃業手続の選択(出所: 日本弁護士連合会 日本連中小企業法律支援センター 編)

『事業承継法務のすべて 』 一般社団法人金融財政事情研究会 、 2018 年 を 加工して作成

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野上 智之

株式会社エクステンド 広島県出身、公立大学法人北九州市立大学商学部経営学科卒業。 大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。 現在も10社を担当し、各地でセミナーや研修を行っています。

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