目次
はじめに
関西エリアのM&A・事業承継は、東京と同様に年々件数が増加しており、2018年の関西エリアのM&A・会社売却・事業承継件数は約607件で過去最多を更新しました。
スタートアップ投資の拡大や、海外市場への参入を狙う企業の増加による投資の拡大や海外などの新規市場進出の目的でM&Aが実施されていることが要因と思われます。
一方で、事業承継の促進も行われています。
関西エリアにおける中小企業の廃業率は、全国的に見ても高い数値で推移しており、その背景には、深刻な後継者問題とM&Aという選択肢を活用出来ていないという問題があるのではないかと考えています。
足元では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、M&Aの交渉に遅延が出るなどの影響が見られますが、再生型のM&Aは増えることが予想され、まだまだM&Aは増加していくものと予想しています。
弊社では、全国的にM&A関連業務のサポートに注力しておりますが、大阪で創業したため、関西エリアでの実績が豊富にございます。
そこで、関西エリアで見られるM&Aの特徴を少しお話したいと思います。
【関西エリアにおける事業承継動向の詳細】
関西エリアでの事業承継動向をより深く理解するために、承継形態別の現状を確認しておきましょう。事業承継には大きく「①親族内承継」「②役員・従業員への承継(MBO等)」「③第三者承継(M&A)」の3類型があります。かつては①の親族内承継が主流でしたが、少子化や後継者の経営意欲の低下などを背景に、近年は③の第三者承継(M&A)が急速に拡大しています。
中小企業庁の調査によれば、全国の中小企業経営者の約半数が「後継者未定」と回答しており、特に関西エリアでは製造業・卸売業を中心に、創業から30年以上を経た企業が多く存在するため、後継者問題が一層深刻化しています。このような背景から、関西エリアでは事業承継型M&Aのニーズが高まっており、買い手企業にとっては優良な譲受先を見つけやすい環境が整いつつあります。
また、地域別の動向という観点では、関西エリアのM&A件数は東京・首都圏に次ぐ規模を誇り、大阪・兵庫・京都を中心に活発な取引が行われています。一方で、前述の通り売り手側の意識面や専門アドバイザーの不足といった課題も残っており、東京圏と比較してM&Aの成約率や交渉スピードに差が生じている側面も否定できません。こうした地域特性を踏まえた戦略的アプローチが、関西エリアでのM&A・事業承継成功の鍵となります。
事業承継の方法は大きく3つに分類されますが、それぞれにメリット・デメリットがあり、関西エリアでは特有の傾向が見られます。
| 承継形態 | 概要 | メリット | デメリット | 関西エリアでの傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 親族内承継 | 子・親族へ経営権を引き継ぐ | 社内外に受け入れられやすい | 後継者の経営能力・意欲に依存 | 創業者意識が強く希望は多いが後継者不在が深刻 |
| 役員・従業員承継(MBO等) | 幹部社員などが会社を引き継ぐ | 事業継続性が高い | 資金調達が難しいケースが多い | 資金面のハードルから件数は限定的 |
| 第三者承継(M&A) | 外部企業・投資家へ譲渡 | 廃業回避・従業員雇用継続が可能 | 売り手の心理的抵抗が大きい | 件数は増加傾向だが心理的障壁が課題 |
関西エリアでは親族内承継への希望が根強い一方で後継者不在が深刻化しており、第三者承継(M&A)が有力な選択肢となっているものの、経営者の心理的障壁が活用を妨げているのが現状です。
【特徴1】会社を売ることは恥ずかしい事と考える経営者が多く、特に創業者の場合、会社に対する思い入れが極めて強く、身内以外に譲るという選択肢を持たないケースが多い
実際に私が担当した経営者は、
「自分が立ち上げた会社は他人に売りたくない。それであれば自分で閉める」
「特に関東の会社には売りたくない」
と話されていました。
M&Aに消極的で結果的にM&Aのタイミングも逃し、倒産となるケースも見られます。
また、関西エリアでは地元出身の創業者が多く、自社への愛着の強さや、地域やロータリークラブや業界団体での繋がりが強く、周りの目が気になるのではないかと想像します。
また、同じ地域の同業者に買収されることにも抵抗感を持つ経営者が多いのも特徴と考えています。
関西エリアにおける中小企業の廃業率は、全国的に見ても高い数値で推移しており、その背景には、深刻な後継者問題とM&Aという選択肢を活用出来ていないという問題があるのではないかと考えています。
足元では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、M&Aの交渉に遅延が出るなどの影響が見られますが、再生型のM&Aは増えることが予想され、まだまだM&Aは増加していくものと予想しています。
【特徴2】財務状況を正確に把握できていない経営者が多く、また、高く売ることへの執着心が強い
帝国データバンクが実施した「中小企業における会計の実態調査事業報告書」を見てみると、経営者自身が記帳を行っている企業は13.3%しかありませんでした。
関西エリアに限定してみると、更に低いのではないかと推測します。
経理業務を顧問税理士に丸投げし、財務状況を正しく把握できてない経営者が多いと感じています。
そのため、いざ会社の事業承継問題が発生し、会社売却の検討に入った際に、自分の会社を過大評価し譲渡価額が高過ぎて買い手がつかないというケースが良く見られます。
また、関西エリアの経営者は、そもそも高く売ることへの執着が強いケースが多く、交渉がスムーズにいかない場合があります。
私が担当した実際の事例で、理論的な適正譲渡価額について説明したところ、
「難しい話は聞きたくない、私のプライドで〇〇億円以上でなければ売りたくない」
と言われたことがあります。
関西は譲渡企業が高く売るためにいろいろと要求をすること、必要コストの値下げ要求が多く、M&Aマーケットとしては敬遠されがちとなっているように感じています。
以前、交渉がようやくまとまり、後は調印という段階でも、まだ高く売れないか交渉されたことがあります。他の地域では先ずない特徴だと思います。
【特徴3】M&A・事業承継についての支援機関、専門家からのアプローチが乏しい。
また、相談相手となる顧問税理士等のM&A・事業承継のリテラシーが十分でない場合が多い。
関西エリアには、M&Aの経験が豊富な会計士や弁護士が多くないため、顧問の会計事務所や法律事務所に相談しても適切なアドバイスが出来ないケースが多いように感じています。
いい加減な検討に時間を費やしてしまったために、円滑な事業承継が出来ず、タイミングを逃したために、やむなく廃業を選択するといった最悪のケースも見られます。
「誰に相談していいのか分からない」という経営者も多いのではないでしょうか。
会社を売却する際に、希望価格での売却を実現するためには、
・シナジー効果がより高い買い手企業を見つけてくる情報力
・企業をより魅力的に伝えるための分析力とプレゼン力、事業計画書などの作成にかかるマンパワーを有するアドバイザーが必要となります。
特に東京と比較して、関西エリアではこのようなアドバイザーがまだまだ少ないように感じています。
以上、あくまで私見ですが関西エリアにおけるM&Aの特徴についてお話させて頂きました。
これらの特徴を踏まえて、M&A戦略を立案し、上手い交渉が出来るアドバイザーを味方につけていただきたいと思います。
繰り返しになりますが、関西エリアの企業を買収する際には、売り手は、自分がこれまで育ててきた我が子のような会社・社員に他の地域よりも強い思い入れを持っていますので、売り手の心情に十分配慮して交渉する必要があります。
売り手の感情を理解せず、上から目線の態度で接したり、信頼関係を築く前に細かな条件交渉を始めたりしてしまうと、たとえ良い条件を提示したとしても、売り手社長から振られてしまうことがよくあります。
また、売り手の売却の思いとして、
「高い価格で売却したい」
「新規事業に挑戦したい」
「従業員や取引先からの信頼を守りたい」
「個人保証をはずしたい」
「早く資金化したい」等
様々なインセンティブが働いております。
先方が重要としている思いを理解した上で、自社の要望も聞き入れてもらうような交渉をする必要があります。
関西エリア独特の特徴を踏まえて、是非M&A、事業承継を成功させてください。
株式会社経営承継支援は、一社でも多くの企業を廃業危機から救うため、全ての企業様のご相談をお受け致しております。
M&A(株式譲渡、事業譲渡等)に関して着手金無料でご相談可能ですので、お気軽にお問合せくださいませ。

