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【飲食M&A】上場企業に飲食店を譲渡した中小企業経営者のはなし
読者のみなさまの周りで、廃業を余儀なくされた有名な地元の飲食店や行きつけのお店が倒産した経験はございませんか。
このような飲食店をM&Aで継続できるかもしれません。
今回は、半世紀近く地域の方々に愛されてきた和食店を運営する会社のM&Aについてお話します。
和食店を営む70代半ばのオーナー社長は、親族や従業員で後継者になりうる適任者がおらず悩んでいました。
M&Aセミナーをきっかけに、飲食店のM&A実績が豊富な経営承継支援とコンタクトをとり、M&Aがスタートしました。
100店舗以上のファミリーレストランを展開する上場企業とのM&A
本件の買手となったのは首都圏を中心に100店舗以上のファミリーレストランを展開する上場企業で、自社で行っていない業態の飲食店買収を模索されておりました。
私は、「ゼロから新規業態を立ち上げるより成功確率が高く、時間を短縮できるため既存の飲食店を譲り受けたい。」というニーズを予め伺っておりました。
提案の結果、当社の想定どおりこの買手候補企業が「新規業態として魅力的である。」と関心を示し、M&Aがスタートしました。
中小企業がM&Aの買手として上場企業やファンドを選ぶ場合、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。
上場企業が買手となるM&Aでは、今回の事例のように「新規業態への参入」や「既存事業の補完」を目的とするケースが多く見られます。上場企業は資金調達力が高く、買収後の経営資源(人材・ブランド・インフラ)を活用した事業拡大が期待できるため、売手企業にとっては従業員の雇用維持や事業継続の安定性という観点で安心感を得やすいといえます。また、上場企業による買収は社会的信頼性が高く、取引先や顧客への影響が比較的小さい点もメリットです。
一方、ファンド(投資ファンド・PEファンド)が買手となるM&Aは、一定期間(通常3〜7年)保有した後に再売却(EXIT)を前提とした投資スキームが主流です。ファンドはキャピタルゲイン(売却益)を目的とするため、買収後は収益改善・コスト削減・経営の効率化を積極的に推進する傾向があります。経営者が引退を希望する場合でも、一定期間の経営関与を求められるケースがあるため、売手は譲渡後の自身の役割についても事前に確認しておく必要があります。
上場企業・ファンドのいずれが買手であっても、売手側にとって重要なのは「自社の強みが買手のニーズと合致しているか」を見極めることです。M&A仲介会社はこうしたマッチングを支援するとともに、デューデリジェンスや利害関係者との交渉においても売手の利益を守る役割を担います。買手候補の属性を正しく理解した上で、最適なパートナーを選ぶことが、M&A成功の鍵となります。
以下の表では、今回のような上場企業(事業会社)への譲渡と、もう一つの主要な買い手候補である投資ファンド(PEファンド)について、売手経営者が押さえておくべき主要な違いをまとめています。
| 項目 | 上場企業(事業会社) | 投資ファンド(PEファンド) |
|---|---|---|
| 買収目的 | 事業シナジー・新規業態参入 | 投資リターン(キャピタルゲイン) |
| 保有期間 | 長期(原則売却前提なし) | 中期(3〜7年後にEXITが多い) |
| 買収後の経営 | グループ会社として統合・運営 | 経営改善・収益最大化を推進 |
| 売手経営者の関与 | 引退・退任しやすい | 一定期間の関与を求められる場合あり |
| 雇用の安定性 | 比較的高い | 効率化に伴うリストラリスクあり |
| 資金力 | 高い(上場による調達力) | 高い(ファンド組成資金) |
| 向いているケース | 事業継続・ブランド維持を重視する売手 | 高い売却価格・短期決着を重視する売手 |
どちらが「正解」というわけではなく、事業の継続性を重視するか、売却価格や手続きのスピードを優先するかによって、最適な譲渡先は異なります。自社の状況や譲渡後のビジョンを明確にしたうえで、買い手の種類を選ぶことが成功するM&Aの第一歩といえるでしょう。
過去の契約トラブル処理などを事前に解決
交渉が進むにつれて、和食店には、過去の法務リスクが発見され、その問題を整理し解決することが必要となり9ヶ月の時間を要しました。
具体的な調整項目は、以下のとおりです。
• 対象飲食店が抱えていた飲食事業外の資産(不動産、有価証券、ゴルフ会員権)の整理
• 金融機関に対するオーナー社長個人の連帯保証
• 担保提供の解除等の調整項目が複数
• 店舗賃借にかかわる過去の契約トラブル処理
株式譲渡ではその会社が背負っている借入、負債及び潜在的な契約リスクも引き継ぐ事になるため、本業外の資産や過去の契約トラブルは事前に整理することが必要となります。
これらの課題を整理・解決するため売手、買手だけでなく、店舗不動産の貸主や金融機関をはじめとした複数の関係当事者との調整を重ねました。
利害関係が相反する交渉では何度も破談になりかけたものの、最終的には利害関係者全員が合意できる条件を見出すことが出来ました。
飲食店のM&Aは、飲食業専門のコンサルティング会社が取り扱う居抜き物件譲渡のような簡易な案件もございます。
今回のようなM&Aの検討から契約関係や利害関係者の調整など煩雑な手続きが必要な場合は、M&Aのプロにお任せください。
株式会社経営承継支援は、一社でも多くの企業を廃業危機から救うため、全ての企業様のご相談をお受け致しております。
M&A(株式譲渡、事業譲渡等)に関して着手金無料でご相談可能ですので、お気軽にお問合せくださいませ。