食品加工業界のM&A動向


食品加工業界のよくある悩み・ニーズ

食品加工業界に影響する要因として、(1)消費者のライフスタイルや食生活、嗜好の変化、(2)原材料の仕入れに関わる価格や規制の状況といったものがあげられます。(1)では、共働きの増加や欧米食の普及によってパンや冷凍食品、惣菜などのシェアが上がったり、食の安全や健康志向に応えるためのコストが増加したりといった影響があります。

また、(2)では、原材料や光熱費の高騰によってコストが増加したり、十分な原材料を確保できず、一部の製品の製造休止に至ったりという例があります。このようなリスクに、いかに対応するかが食品加工業界での課題となっています。

食品加工業界における動向・トピックス

食品加工業界では、すでにご紹介したように消費者側の要因や、世界的な生産・貿易の状況によって大きく左右されます。

また、日本国内だけで見れば、少子高齢化による将来的な人口減少のため、市場規模は徐々に縮小していくことが見込まれています。

こういった動向を受け、食品加工業界では世界進出も見据えた事業拡大が取り組まれています。

それと同時に、食はローカルな地域社会との関わりも深いため、6次産業化を通した事業基盤の拡大という手段も注目を集めています。

食品加工業界でM&Aをすることのメリット(譲渡側)

食品加工業界でM&Aを行うことは、譲渡側にとって複数のメリットがあります。

近年のM&Aで目立つのが、中小規模の食品加工会社が大手企業に事業売却を行ったり、グループを形成したりすることで、事業基盤や収益性を安定させるというメリットです。

食品加工業界は、常に消費者のトレンドの変化や、生産コストの高騰といったリスクにさらされており、中小企業では十分なリスクマネジメントがなかなか実現できないケースもあります。

大手企業の傘下に入ることで、事業の安定性を確保できるほか、ブランド力を活かして信用度の向上につなげることもできます。

また、譲受側の販路を取り込むことで、低コストで販路拡大、販売力の強化を目指すことが可能です。場合によっては、海外進出への足がかりを得ることもできるでしょう。

さらに大手企業の特徴として、生産ラインや品質管理の充実といった点も挙げられます。

これらのノウハウを取り入れることで、譲渡側はさらなる効率化や生産力の向上も期待できます。

食品加工業界でM&Aをすることのメリット(譲受側)

食品加工業界でのM&Aは、譲受側にとってもメリットが見込めます。

食品加工業界が取り扱う製品は、消費者のニーズに応じて多様です。

新たな生産ラインを一から立ち上げるにはコストやリスクがありますが、既存事業を買収することでスピーディーに新製品を提供することが可能になります。

 

また、事業基盤を安定させるため、一定の需要が見込める事業を取り込んでおき、収益性を確保したうえで新規事業にチャレンジするという手段もあります。

異なる分野の製品を扱うことで、年間通して繁忙期を分散させ、安定した投資や拡販を行うといった活用方法も可能です。

このように、企業の成長戦略に応じて買収する企業を選ぶことで、M&Aのメリットを大いに活かせるようになるでしょう。

海外にある企業や事業を譲り受けるならば、スピーディーな海外進出が可能となります。

特に海外は、日本とビジネス慣行が異なることが多いため、既存企業を通してアプローチすることで、想定外のトラブルを避けることができます。

食品加工業界のM&Aのポイント

食品加工業界でM&Aを行う場合、まず注意したいのは品質管理や衛生管理に関するシステムです。

特に日本の消費者は、食の安全や品質、健康への意識が高いため、消費者のニーズに応えうる管理体制を築いているかが、重要なチェックポイントとなります。

国内企業とのM&Aではもちろんのこと、海外企業とのM&Aの場合では、品質管理や衛生管理への意識が異なる可能性があるため、特に入念に確認しましょう。

また、原材料調達や製品販売のための基盤がしっかりしていることも大切です。

原材料の調達は、世界情勢や市場の状況、気候などさまざまな要因によって影響を受けます。

安定した量を、安定した価格で仕入れるためのチェーンが確立しているか、リスクマネジメントがなされているかといった調達面や、製品ロスを極力抑えるための物流チェーンの確立や、販路の確保ができているかといった販売面をしっかり確認しておくことで、想定外のトラブルや減益を避けることができます。

このように、外部要因によって左右されやすい食品加工業界では、安定した事業基盤を確保し、新規開拓を進められるようなM&Aのあり方が注目を集めています。

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