事業譲渡と会社分割


事業譲渡

 

「事業譲渡(Transfer of Business)」とは、株式会社が事業の全部または重要な一部をほかの会社に譲渡する取引行為をいいます。

 

広義の概念では、別の株式会社から事業の全部を譲り受けることを含めることもあります。

事業譲渡は合併や分割のような組織再編行為ではなくあくまでも取引行為であるため、権利義務を移転するには個別に債権者の同意を得る必要があります。

 

なお、設立後2年以内の会社を譲受会社とする場合、対価の額によって事後設立に該当する可能性があるので、注意すべきです。

事業譲渡と分割の主な違いは、承継する資産や負債を自由に選べるか否かです。

また、分割では会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(労働承継法)が適用されるため、対象となる事業に主に従事していた従業員については個別に同意を得る必要がありません。

加えて、会社分割では消費税も発生しません。

このような違いから、分割のほうが利用しやすいといわれています。

 

 

事業を譲渡した会社は、競業避止義務を負うことに注意しよう

 

事業を譲渡した会社は、原則、譲渡した事業と同じ事業をおこなってはいけない義務である競業避止義務を負っています。

 

当事者間の意思表示がない場合

 

譲渡した会社は、

① 同一の市町村内およびこれに隣接する市町村の区域内

② 事業を譲渡した日から20年間

同一の事業をおこなってはいけません。

 

M&A実務において、法的な論点は弁護士に確認することをおすすめします。

 

 

会社分割

 

会社分割とは、M&Aの手法のひとつです。ある事業について有している権利や義務の全てまたは一部を、会社分割によって新規に設立する会社や、既存の他の会社に承継させる組織再編手続きのことを指します。

新規に設立する会社に引き継がせることを新設分割、既存の他会社に引き継がせることを吸収分割と呼んでいます。

 

さらに会社分割は、分社型分割や分割型分割といった分類もあります。

権利・義務を新設する子会社が承継する場合は分社型分割、分社型分割を行うと同時に子会社株式を自社の株主に現物配当し、承継会社が同じ株主のもと兄弟会社になる場合を分割型分割と呼びます。

 

したがって会社分割はこれら4つの類型からなっていますが、どの類型を選ぶかによって資本関係や手続き方法が異なる点に注意しましょう。

会社分割と事業譲渡は事業の全部または一部を他の会社に承継させるといった点で同様の目的で使われるM&A手法です。

 

会社分割と事業譲渡との違いとして、事業譲渡が資産や負債、契約などを個別に移転させる必要があり、手続きが煩雑である場合が多いのに対し、会社分割は債権者保護手続き、労働者保護手続き及び株主保護手続きという法務手続きを経ることにより、資産や負債、契約などを包括的に移転させることができるため、事業譲渡に比べ手続きが比較的平易になる場合があるという点があります。

 

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