企業価値


企業価値とは、会社の財産や収益力、安定性・効率性・成長力などの視点から測られる価値のことを指します。

企業価値は、EVとはEnterprise Valueの頭文字を取ったもので、イーブイとも呼ばれます。

EVは以下の式によって求められます。

 

EV=発行株数×現在の株価+有利子負債-現預金

 

EBITDA(償却前利益)に対してEVが何倍あるかを意味するものにEV/EBITDA倍率というものがあり、こちらは買収の際、投資対効果を評価するために重要となる指標です。

 

 

ちなみにEBITDAとは、 Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの頭文字から取った言葉で、イービットディーエーと呼びます。

減価償却費および支払利息控除前税引前利益のことで、収益力を測る指標となります。

EBITDAは国によって異なる金利、税率、企業の会計方針によって異なる減価償却費の計上額の影響を取り除いた利益指標であるため、国や企業の違いに左右されずに比較できるというメリットがあります。

 

EBITDAの計算式は、税引前当期純利益+支払利息+減価償却費です。

 

企業価値は、株主に帰属する「株主価値」と、利害関係者(消費者・従業員・債権者・取引先・地域社会・行政機関)などに帰属する価値に分けられます。

 

企業の価値は「事業価値」「企業価値」「株主価値」の3つの価値概念によって構成されています。

 

事業価値に非事業価値を加えた企業全体の価値のことを指します。企業価値は対象となる企業の経済活動の動きにも影響を与えています。
株価の算定やM&A、リストラを行うときの基準となるものであり、正しく企業価値を図ることが大切になります。

 

経営陣は企業価値を高めることによって、事業展開や資金調達、人材の確保などを円滑に行っていくことができます。
株式を公開している上場企業の場合は、市場が株価によって総合的に企業の価値を判断します。

その一方で、非上場企業は証券市場とは別の視点で企業価値を示していく必要があるでしょう。

企業価値評価(バリュエーション)

バリュエーションとは、株式や事業を売買するときに事業計画・財産状況・市場価格などの情報にもとづいて、株式または事業を評価することを指します。

売り手や買い手の投資意志決定の判断材料として使われ、企業価値評価とも呼ばれています。

バリュエーションの手法は将来の収益獲得能力の価値を評価するインカムアプローチ、市場株価に注目をするマーケットアプローチ、貸借対照表上の純資産に基づいて評価をするネットアセットアプローチの3つがあります。

評価の基準として、絶対評価と相対評価に分けられます。
絶対評価では将来の収益を予測し、現在の価値に割り出して合計したものを企業価値として算定します。
株式の場合、理論株価を算出して現在の株価と見比べたうえで、投資するべきかどうかを判断していきます。

その一方で相対評価とは、競合他社や対象となる企業の過去の動きと比べて評価していきます。
計算が比較的簡単であり、競合他社と比較することで対象となる企業の優位性を判断することができます。
ただ、会計の方針などのよって評価が大きく異なる場合もあるので注意が必要です。

インカムアプローチの”インカム”とは?

インカムアプローチとは、企業の価値を算定する手法の一つです。

インカムは、income = 収益、つまり買う会社が将来どのくらい収益を稼いでくれるかを基準に評価する方法です。

 

代表的な評価方法としてはDCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)法があります。

 

対象となる企業から将来期待される利益、またはキャッシュ・フローをそれが実現するのに見込まれるリスク等を反映した割引率で現在価値に割り引いて株価を算定する方法です。

評価対象会社の詳細なキャッシュフローの計画に基づくため、複数のシナリオ設定や変動要素の影響を加味した柔軟な評価ができるメリットがありますが、事業計画などの将来的な予測をもとに評価するため、客観性を担保することが難しいといった場面も出てきます。

M&Aを実施する際にはどういった手法で、対象となる企業や事業の価値を評価していくかといった点が重要になってくるのです。

DCF法は何て読むの?

「DCF法」は、そのままディーシーエフ法と読みます。

「Discounted Cash Flow Method」の略で、将来生み出されると期待される収益(フリー・キャッシュ・フロー)を基準として、事業価値を評価する方法です。

収益還元法や配当還元法と並んで、収益価値を基準とするインカムアプローチに分類されます。

DCF法では、ある資産を一定期間保有することによって生み出される純利益を現在の価値に換算した値と、売却時の予想価格を現在の価値に換算した値の合計値が事業価値に相当すると考えます。

1970年代のアメリカの論文で紹介された方法で、90年代に広く普及しました。 日本国内でも不動産鑑定評価基準などで採用され、不動産業界を中心に認知されています。 もっとも、将来予測を伴うもので希望的な観測ともなりかねないため、確実性にはやや欠けています。

現在の価値に引き直す計算式(適用する割引率)や保有期間の長さ、残存価値などによって導き出される数値は異なってくるので、いくつかの状況を想定して計算しておいたほうが、より正確に事業価値を評価できるでしょう。

FCFは何て読むの?

FCF(Free Cash Flow)は、フリーキャッシュフローと読みます。

 

企業が営業活動によって得た利益のうち、債権者や株主など資金提供者に対する弁済や利払い、配当に充てられるお金をいいます(中小企業庁経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン2.2)。

各事業年度のフリーキャッシュフローの金額は、税引き後の営業利益に減価償却費を加え、現在の営業活動を維持するのに必要なお金(運転資金)を加減し、設備投資額を控除することによって導き出します。
いわば“自由に”使用できるお金であることからフリーと呼ばれています。

もしフリーキャッシュフローの金額がマイナスであれば、資金提供者にお金を還元できなくなり、業績が悪化するとさらに資金調達をする必要性も生じます。
このため、フリーキャッシュフローは常にプラスになるようにコントロールしなければなりません。

もっとも、成長段階にある企業においてはフリーキャッシュフローがマイナスであることは必ずしも悪いことではなく、効率的に投資することで成長を続けている大企業も多数存在します。

 

割引率とは?

割引率とは、将来のキャッシュを現在の価値に換算する1年当たりの割合を意味します。

M&Aの場面では、将来的なキャッシュフローにもとづいて長期的に投資をすることによって得られる効果を求め、企業価値を測るときに用いられます。

割引率を使用して企業価値を計算するときには、WACC(加重平均資本コスト)と呼ばれる方法を使います。
株主資本と負債資本のコストを加重平均して算出する方法です。

 

WACCは何て読むの?

「WACC」とは、ワックと読みます。

「Weighted Average Cost of Capital」の略で、資金調達にかかるコストを示す数値またはその算出方法(加重平均資本コスト)のことです。

銀行からお金を借りる場合であっても株券を発行して資金を調達する場合でも、資金調達には資本コストがかかります。

資本コストには、銀行からお金を借りると発生する利息のように債権者にかかるコストを負債コスト、株主に対して支払う配当金のように株主にかかるコストを株式資本コストの2種類があります。

株主が期待することは株主によって異なり、利息のように単純に割り出せるものではないため、株式資本コストを的確に算出することは困難です。

CAPMやAPTなどによって割り出すと、通常は株主資本コストのほうが負債コストよりも高くなります。

企業の経営活動を成り立たせるために最低限達成しなければならない値であることから、WACCはハードル・レートと呼ばれることもあります。

資本コストとは?

資本コストとは、企業が資金を調達するために必要とした費用のことを指します。
企業としては資本コストをいかに低くして、経営に必要な資金を確保するかが課題となります。

 

資本コストの代表的な計算方法に、WACC(加重平均資本コスト)があり、これは各事業年度のフリー・キャッシュ・フローを現在価値に割り引く際の割引率に用いられ、資金調達に伴うコストに基づいて算定された比率を指します。

WACCは、株主資本コストと負債コストをそれぞれ株主資本価値と負債価値との比率で加重平均することによって計算されます。

 

企業によっては、資金調達の目的と照らし合わせて、資金を集めることで得られる将来的な利益と利息や配当などの資本コストのバランスを見極める必要があります。

資本コストが将来的な利益を上回る場合には調達する目的がないため、基本的に企業は資金調達を行わないといえるでしょう。

CAPMは何て読むの?

CAPMは、キャップエムと読みます。

「資本資産評価モデル」のことで、Capital Asset Pricing Modelの頭文字から取っています。

 

株主の資本コストを計算するには、CAPMのモデル式にマーケットリスクプレミアム、リスクフリーレート、そして個別株式のベータを推定して代入します。
CAPMは株主の資本コストを推定するために用いられるものです。

 

CAPMのモデル式はKe=Rf+β×(Rm-Rf)で、βは個別株式のリスクの尺度になります。
このβの値が高いものほど、ハイリスクハイリターンという考えができます。投資することでどれだけの還元率があるのか、どれだけのコストでどこまで利益を得られるかということに関心が高い投資家は多いでしょう。

 

資本コストやリスクを推定する場合にCAPMは使われます。

モデル式にある(Rm-Rf)はマーケットリスクプレミアムのことで、リスクのある投資の場合にどの程度の追加収益率が期待できるのかを示すものです。

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