【必見!】訪問看護ステーションのM&A調査ポイント


本コラムは、医療・介護業界の訪問看護ステーションの課題を取り上げ、M&A調査ポイント、M&A事例について解説していきます。

訪問看護ステーションの課題

医療・介護業界というと病院や診療所・老人ホームなどが思い浮かぶ方が多いと思います。

現在は、在宅での医療・介護を国が推奨しており急激に在宅での医療・介護を提供するサービスの事業所が増えております。

その中の一つに「訪問看護ステーション」という業態がございます。

一般的に「訪問看護ステーション」とはまだまだ知られていない業界ではございますが、医療・介護業界の方々はもちろん当たり前に知っております。

魅力の一つに医療・介護の業界とはいえ、医療法人でなくても開設でき、また医師ではなくても開設できるので多くの株式会社・合同会社などの民間会社が事業をスタートしております。

今後、シルバービジネスは日本のビジネスにおいて数少ない明るい未来がある業界と言われており、「保険での収益が中心で取りっぱくれが少ない」「社会意義が高い」などの良いメッセージが営利企業の参入を促す要因ともなっております。

しかし残念ながら、医療・介護以外の異業種から参入して訪問看護をスタートしてうまくいかずに売却に至るケースがございます。

その理由はいくつかあります。

まずは、医療介護業界特有のものがあり、理解されていないケースです。

医療介護業界では、「医療にお金(ビジネス)を持ち込まないでほしい」という考えの方もおります。

例えば、従業員の看護師に「売上が芳しくないので今日営業してきて」という場合には、営利企業であれば当然かもしれませんが今までしたことのない営業への抵抗感はもちろん「数字」の事への抵抗がある方もおります。

そして、看護師が退職となった場合には、看護師の配置基準(常勤換算2.5名以上)があり、その基準を満たせなくなると事業を継続する事は出来ずに廃業もしくは休止しなければなりません。

その為には、「医療」「ビジネス」のバランスをうまくとりながら経営することへの難しさがあるということです。

また有効求人倍率も高い看護師は離職しやすい職種でありマネージメントに苦労されている事業所も多くあります。

さらに1名を「管理者」とする必要がございます、この「管理者」に就きたい看護師も事業所数との需給があっておらず「管理者を退職させてはいけない」、管理者が退職した際には「後任が見つからない」というケースも多くございます。

そのような環境下で、経営・運営に苦労し売却を決意される会社も多くあります。

訪問看護事業のM&A調査ポイント

訪問看護のビジネスモデルは非常にわかりやすい仕組みです。

看護師やリハビリスタッフがご利用者(患者)様のご自宅(施設など)へ訪問して、サービス提供して報酬が入る仕組みです。

一人のスタッフが一日で回れる件数はおおよそ決まっておりますので看護師やリハビリ職が多ければ多いほど報酬が多くなる要素はございます。

さらに、看護師やリハビリ職は採用難易度も高い職種であり人員の多さはポイントの一つとなります。

もちろんただ単にスタッフが多ければ良いというものではなく、それに比例してご利用者(患者)様がいらっしゃって売上規模が大きいというのがまだまだ成長段階の業界ですのでポイントとなります。

 

新規参入がまだまだ多い業界ですので、運営している期間が長ければ長いほど高額になる可能性はございます。

訪問看護は地域密着で行うビジネスですので、名前が知られている方が病院やケアマネージャーから認知されておりご利用者様の獲得がしやすくなる傾向があるからです。

買収候補からの要望でも、「運営年数●年以上」などのご要望を頂く事もございます。

「ヒト」が大きなポイントとなり、もちろん「売上」などの収支も大事ですが、一方赤字でも売却出来る事が大きな特徴でもある業界です。

なぜ赤字でも買収するかというと、看護師の採用が困難であるため人材紹介会社を活用しての採用をした場合の手数料を100万円以上お支払いすることもございます(例:年収400万円×25%)。

さらに訪問看護をやりたい看護師は多くない為、訪問看護経験者を採用出来るという事に価値があるからです。

一定規模になった訪問看護ステーションが事業拡大でM&Aを活用するケースはよくあります。

なぜ赤字かというポイントがわかれば、「人員」「売上」「エリア」「運営年数」などを考慮して、買手候補から金額をご提示頂く事もできます。

訪問看護ステーションのM&A事例

訪問看護ステーションでは、前述の通り人員確保などに苦労するケースがございます。

筆者の知り合いの社長は、異業種から訪問看護ステーションを立ち上げようとコンサルティング会社を利用して立ち上げました。

他のビジネスもされておりましたが、「社会意義が高く」「自身が関わらずに回転するビジネスモデル」というとこに魅力を感じスタート致しました。

スタートでまず苦労されたのは、看護師の伝手がなく、一般募集したのですがなかなか看護師が採用できず開設できない状態がしばらく続きました。

そして人員も揃いいざスタートしたのですが、人員が揃っただけで、ご利用者(患者)さんを獲得しようと思ったのですがスタッフもなかなか動かず売上がなかなか起動にのりません。

 

また、スタートで採用活動に苦労した経緯もあり、事業が伸びているタイミングでの採用困難というのは非常によくないと考え応募された方で良い方は採用していく方針を取りました。

しかしながら、売上はなかなか上がらず看護師が退職する際のリスクを抱えながら事業を続けていく事に非常にストレスを感じておりました。

 

当初予定していた、「自身が関わらず」という事はなく看護師のマネージメントなどもかなり苦労されており売却を決意致しました。

 

売却決意後、東京23区の人気エリアという事で複数の買手候補が現れました。

 

同業者で事業拡大を検討しているA社様。

個人で訪問看護を開業したいB様。

地方で訪問看護を経営しており、東京都内で開業されたいとお考えのC社様と面談して頂きました。 

 

訪問看護の業界での運営期間が数年経過しているポイント、若干赤字とはいえ看護師数は運営に問題なく揃っている点・またリハビリスタッフも揃っており東京に出てくるのに伝手もなく「0」から作り上げるよりもM&Aの方がはるかに楽という事でC社様が良いご評価をされ買収されました。

訪問看護ステーションの経営者様で、第三者に経営を譲ることを検討、もしくは引き継ぎを検討の方は、一度、ご相談ください。

M&A専門家プロフィール 執筆者 酒詰 和幸

MTPC 代表|日本M&Aアドバイザー協会 正会員|株式会社うむ 代表取締役

 

東証一部上場グループ業界最大手の医療機器総合卸売販売業に入社。営業にて従事後、医療系人材サービス業のベンチャー企業に転職。営業・コンサルタント・経営企画室を歴任しメディカル事業部の責任者として従事。

MTPCを設立し、コンサルタント業を開始。設立翌年訪問看護ステーションに特化したM&A支援を開始。動物病院の経営コンサルティングや老人ホームの営業支援等も行う。

訪問看護ステーション個人オーナー同士のM&A,訪問看護業事拡大を検討している上場関連企業のM&Aなども経験。M&A等を活用しての訪問看護事業拡大や引退を検討しているオーナーの高額売却への支援などにも従事。

関連記事