自社売却で明るい老後を迎えたハッピーライフ


本コラムは、まだ中小企業M&Aが普及していない2002年当時、中小企業M&Aの先駆けとなる実例と売却した経営者の今をお伝えします。

私は49才の時に自社売却後、新しい人生を歩み始めました。

当時、中小企業M&Aの前例が乏しい中で売却を決断したためか、想定外の様々な問題が発生しました。

しかしながら、譲渡先探しから成約までを支援する仲介会社のスタッフの方々の尽力に導かれ、企業評価書に見合った譲渡を成し遂げました。

※ 企業評価書とは自社の値段とその根拠が明記された資料で、仲介会社等の第3者が作成します。

売却当時から現在までを振り返り、M&Aを機に一変した私のハッピーライフを綴ってみたいと思います。

早目の売却決断で自社を救う

私は現在、宮城県仙台市に移住していますが、2002年2月まで、人口約9万人の城下町山形県米沢市で、父親が創業した会社を世襲で承継していました。

その後、後継者でありながらも、M&Aという手法で第3者に自社を譲り渡し、別会社の創業に至りました

 

悠々自適とさえ感じられるような明るい老後を迎えていますが、18年前は悩みぬきました。

「売却して会社はどうなるのか」

「社員は退職に追い込まれないだろうか」

「社員はどのように私を見るだろうか」

「地域内でどのように思われるだろうか」

「家計や暮らしはどうなるであろうか」

「果たして売却が成立するのであろうか」

「売却後自分はどのような人生を歩めばいいのだろうか」・・・眠れぬ日々が続きました。

 

当時は、前例が少ないため、不安ばかりでしたが、今では、後継者不在の中小企業にとって、M&Aが最高の承継手法と認識されるようになり、 先見の明を持った後継者不在の中小企業経営者が、前述した私の苦悩を一掃しハッピーリタイアしています。

 

M&Aを決断した創業38年目の経営成績は、決算書上では好成績の経営状況で、金融機関からの評価の高い優良企業と自負していました。

 

しかし、当期の成績がよかったから来期も何とか期待できるだろうなどと、悠長なことは言っていられないのが企業経営です。

 

経営判断を間違うと、一直線に奈落の底につき落とされてしまいます。

 

2020年7月現在も、コロナ禍の影響で多くの中小企業が一瞬のうちに窮地に立たされています。

 

私のケースはコロナ禍のような災厄ではありませんでしたが、売上減70%、80%とも予測される事態が突然発生しました。

 

しかしながら、早目の売却決断で救われました

 

私が売却のタイミングを逃がし決断が遅れたならば、ハッピーリタイアどころか淘汰されていたでしょう。

私のM&A売却成功要因

私のM&A成功要因は、同業者の軍門に下ることを「良し」とした割り切り方、そして決断の早さ、さらに信頼と実績あるM&A仲介会社に出会えたということです。

中小企業の自社売却は、経営者が一生に一度体験するか否かという大事な決断です。

 

経営者の多くはそのやり方に戸惑うでしょう。

 

しかしながら、後継者不在の優良企業がタイミングを間違わずに売却を決断し、信頼のできる実績のある仲介会社に巡りあえたならば、ハッピーリタイアへの人生が見えてきます。

 

当時の私は独学でM&Aを勉強し仲介会社の存在を知りましたが、仲介会社の信用度を見極める手段がなく大いに悩んだものです。

 

しかし、金融機関にも売却を打診していたところ、私が独自に探した仲介会社と金融機関が紹介してくれた仲介会社が偶然にも同じだったのです。

 

金融機関から騙されることはないであろうと判断し、お世話になることに決めました。

中小企業の売却は社長の専管事項です。

 

早目に売却を決断し、良き仲介会社に巡り合えば80%成功と私は思っています。

 

残りの20%は運です。

 

M&Aは人に例えれば結婚です。

 

結婚でもM&Aでも、いつ良きご縁が見つかるのかは誰にもわかりません。

 

しかし運頼りとは言え、仲介会社に頼るだけでなく、譲渡先企業を共に見つけようとする協働姿勢が重要です。

会社・社員・社長を共にハッピーにする出口戦略

中小企業のM&Aは後継者不在企業において、「会社」「社員」「社長」の3社がハッピーになれる出口戦略です。

 

「会社」は社長が交代するだけで会社も社名もそのまま存続し、新社長の下、発展を続けます。

私の売却した会社も発展し続けています。

 

「社員」は雇用がそのまま続きます。

私の売却の際は大手企業に譲渡したため、大手企業の給与体系が適用され、私が社長を務めていた時よりも条件のよい給与体系で推移しました。

 

「社長」は、売却後の第2の人生を謳歌する資金を手に入れリタイアすることができます。

 

私のM&Aは、私だけがハッピーとなったわけではなく、会社も繁栄でき、さらに社員の幸せにも結びつきました。

 

社長の幸せという点では、社長の次の人生の潤沢な資金が手に入らなければハッピーリタイアができません。

 

新型ウイルス感染拡大や、過去には東日本大震災をはじめとした大地震、そして、100年に一度と言われる台風や豪雨等の自然災害等、予測できない災厄で中小企業があっという間に淘汰されてしまう現実があります。

 

一方、M&Aという中小企業の出口があるのに、「自社が売れる!」という事を知らないで廃業しようとしている優良企業の経営者も多く存在します。

 

潤沢な売却益を手にできる経営状況下で売却を決断できれば、前述した3社の幸せが実現します。

 

私の後を追って下さい。

しかし、社長にとってのリタイアは人生の通過点です。

人生100年時代をふまえ、売却後の人生計画も重要ポイントです。

M&A専門家プロフィール 執筆者 鈴木 均

株式会社メルサ代表取締役。1953年1月28日山形県米沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。卒業と同時に東京都内の海外旅行会社に就職。27才で独立し、香港・台湾の旅行手配会社(ツアーオペレーター)を開設。1984年、身内の事情にて父親が創業した資本金一千万円、社員数50名の事業を承継するため、山形県米沢市にUターンし入社。1998年代表取締役に就任。その4年後の2002年2月、同社をM&Aで売却。同年、妻と共に株式会社メルサを第2創業。中小企業M&Aのパイオニア的存在としてマスコミから注目され、全国各地から講演依頼を受け講師を務める。

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