【会社終活】準則型私的整理とは(前編)


準則型私的整理とは

1. 事業再生ADR

事業再生ADRは、ADR手続の一種であり、過剰債務に悩む企業の問題を解決するため、平成19年度産業活力再生特別措置法の改正により創設され、平成25年度産業競争力強化法により引き継がれた制度です。

法務大臣より特定認証紛争解決事業者としての認証を受けた事業者が、経済産業大臣より事業再生ADRの認定を受けて行います。事業再生実務家協会(JATP)は、国内唯一の認証機関となっています。

事業再生ADR手続の利用目的は、事業価値の著しい毀損によって再建に支障が生じないよう会社更生法や民事再生法などの法的手続によらずに、債権者と債務者の合意に基づき、債務(主として金融債務)について、猶予・減免等をすることにより、経営困難な状況にある企業を再建することです。

 

(1) ADR

ADR(Alternative Dispute Resolution)とは、裁判外紛争解決手続の略称で、訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続のことです。

 

(2) 事業再生ADRのメリット

□  金融機関等だけを相手として進める手続なので、取引先を巻き込む必要はありません。

□  法的整理を担う実務家と同レベルでの監督の下で進める手続のため信頼できます。

□  税制上の優遇措置を利用して、債務免除に伴う税金の負担を軽減できます。

□  原則、債権放棄による損失の無税償却が認められます。

□  つなぎ融資に対する債務保証および法的整理に移行した際のつなぎ融資に対する優先弁済を設定しているため、つなぎ融資が受けやすくなります。

□  全行同意が得られず、裁判所を利用した手続に移行した場合でも、裁判所はADRの調整結果を尊重していただくことも可能です。

 

(3) 事業再生ADRのデメリット

□  強制力はありません。

□  費用が高額です。

□  期間に余裕をもって準備する必要があります。

□  債権者の1名でも反対があると成功できません。

□  中小企業の利用は少ないです。

事業再生ADR手続きの流れ
(出所:経済産業省 産業創造課)

2. 中小企業再生支援協議会

 

多様な中小企業の事業再生を支援するため、全国47都道府県に1ヶ所ずつ中小企業再生支援協議会が設置されています。

対象を中小企業に限定している点に大きな特徴があります。

各協議会には、企業再生に関する知識と経験を持つ専門家(公認会計士、税理士、弁護士、中小企業診断士等)がプロジェクトマネージャーおよびサブマネージャーとして常駐しており中小企業の再生に係る相談などにきめ細やかに対応しつつ、地域の総力を結集し再生を支援しています。

 

(1) 支援スキーム

窓口相談(1次対応)と再生計画策定支援(2次対応)があります。

窓口相談(1次対応)では、常駐専門家がヒアリング・面談等により中小企業の経営状況を把握し、提出資料等の分析を通じて、経営上の問題点や具体的な課題を抽出し、どのような支援が最も良いのかを検討します。

再生計画の策定が必要だと判断した場合、再生計画策定支援(2次対応)に進みます。

再生計画策定支援(2次対応)では、常駐専門家が中心となり、必要に応じて中小企業診断士等の外部専門家により個別支援チームを編成し、再生計画策定を支援します。

 

(2) 金融支援手法(出所:令和元年12月中小企業庁金融課)

再生計画策定を完了した案件のほとんどにおいて、金融機関による条件変更(リスケジュール)が行われています。

 

金融手法別完了案件の割合

(3) 2次対応従来型(出所:東京都中小企業再生支援協議会)

利害関係のない外部専門家が事業面・財務面の実態調査を実施し、協議会と外部専門家の支援の下で、中小企業が実現可能性の高い事業計画を策定し、協議会が金融機関調整をおこないます。

従来からの再生計画策定支援スキーム(2次対応・従来型)
5~6か月

M&Aの専門家プロフィール 野上智之

株式会社エクステンド

広島県出身、公立大学法人北九州市立大学商学部経営学科卒業。

大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。

現在も10社を担当し、各地でセミナーや研修を行っています。

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