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秘訣4:後継者が成功しやすい環境を整える。

秘訣4 後継者が成功しやすい環境を整える。

前回のコラムで、「後継者に経営者としての「覚悟」が足りない場合は、その「覚悟」ができるまで、絶対に継がせるべきではありません。」と述べました。その一方、現経営者として、後継者に対して果たすべき役割・責務というものもあります。それは、①株主、②役員、③財務、④事業の4つの面で整理を行い、「後継者が成功しやすい環境を整える」ことです。

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まず、一つ目の「株主の整理」についてです。既存株主が現オーナー社長お一人であれば良いのですが、例えば、親族、役員・従業員、取引先、現オーナーの知人等、複数の株主に株式が分散している場合があります。今の株主構成が、現オーナー社長にとって経営しやすい(応援してもらいやすい)方々であったとしても、それが後継者にとっても望ましいものであるとは限りません。

例えば、現オーナー社長の兄弟姉妹等の親族が株主である場合、若い後継者に対する不安や不満から、あれこれと経営に口出しをしてくることはよくあります。もし、後継者の言うことを聞かない株主が1/3超や過半数の株式を保有している場合には、定款変更等の重要事項について後継者は決議できないばかりか、最悪の場合、一方的に取締役を解任させられてしまうという事態もありうるのです。

したがって、後継者と折り合いが悪い株主からはすべて株式を買い取る必要があり、それができるのは後継者ではなく、現オーナー社長だけなのです。

次に2つ目の「役員の整理」については、後継者の経営をサポートしてくれる役員で経営陣を固めることがポイントです。役員構成についても、株主構成の場合と同様、現オーナー社長にとって経営しやすい経営陣であっても、後継者にとってはそうでないというケースがよくあります。

例えば、長年、現オーナー社長の右腕として活躍してきた古参役員がいるとします。現オーナー社長にとっては信頼できとても有能な人物です。そして、事業承継について、当初は年若く未熟な後継者を応援し、育てることについて賛成していました。しかし、自分の息子ほどの年齢の若者からあれこれ指示されることについてだんだん不満を持つようになり、自分の派閥作りを始めるというような場合です。

経営陣は私心なく後継者の足りないところを補ってくれる人材で固めるべきで、そうでない場合は役員を退いてもらわねばなりません。この「役員の整理」についても、やはり後継者ではなく、現オーナー社長が行うことが必要です。

3つ目の「財務の整理」については、1~2年は赤字でも大丈夫なよう財務を健全にしておくことです。具体的には、含み益があるような資産があればそれを売却し、経費削減により手元の現預金を厚めにしておくといったことです。現オーナー社長からの「そんなことができれば苦労しない。」という声が聞こえてきそうです。

しかし、後継者は経営者としてはいわば「若葉マーク」の初心者です。その経営初心者に、初年度から「黒字にしろ。絶対失敗するな。」と言うのは、まだ運転免許取りたての運転初心者に、いきなり強豪揃いの難しいレースに参加させて「レースに勝て。絶対事故を起こすな。」と言うようなものではないでしょうか。

最後の「事業の整理」については、赤字事業の整理、特に創業者が開始した「創業事業」や古参役員が管轄する事業で赤字の事業があれば、事業承継前に必ず整理することをお勧めします。そもそも事業の整理・撤退は、既得権益にしがみ付く社内の抵抗が大きいため、経営のバトンを渡されたばかりの後継者にとってはとてもハードルが高いものです。

それが創業事業だったり、古参役員が管轄する事業であればなおさらです。これらの事業も承継してしまうと、後継者は赤字事業から撤退したくてもいつまでも撤退できず、経営の母体を揺るがす事態になる可能性があります。

一般に創業から100年以上の歴史がある企業を「百年企業」と呼びますが、これら百年企業で現在のコア事業が創業事業のままである企業はあまりありません。時代の流れ、環境や市場ニーズの変化に合わせて、事業構成を変革していける企業だけが生き残っていくことができます。

事業承継のタイミングは、その変革の絶好のチャンスでもあるのです。