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権利義務に影響を与えない!株式交換・株式移転の実務

企業の仕組みを変える組織再編行為には、合併、分割のほかに株式交換・株式移転があります。組織再編を行う目的に照らして、適切なスキームを選ぶ必要があります。ここでは株主構成以外に影響を与えず、ある会社を別の会社の完全子会社とする法的手続きである株式交換・株式移転についてご説明します。メリット、デメリット、手続き、留意点を把握することが組織再編を円滑に行うためには大切です。

完全親子会社を作り出す株式交換・株式移転とは?

株式交換・株式移転とは、発行済株式の譲渡によって、100%の親子会社を作る手続きです。株式を取得する会社を完全親会社、株式を譲渡する会社を完全子会社と呼びます。対象会社の株式をすべて保有することによって、その会社を完全に支配し、機動的に経営戦略を実施することが可能となります。両会社の法人格は異なりますが、イメージ的には完全子会社は完全親会社の事業の一部門です。


株式交換は「交換」という言葉の響きが示すように、既存の株式会社又は合同会社が何らかの対価を支払い、株式を取得します。これに対し、株式移転は新しく設立させた親会社(株式会社に限る)に株式を移転させます。既に存在する会社が別の会社を買収しようとするM&Aの実務においては、主に株式交換の手法が用いられています。もっとも、株式移転は2つ以上の会社で実施することも可能で、実務上、M&Aに用いられることがあります(共同株式移転)。法的効果をみると、株式交換は吸収合併、共同株式移転は新設合併に似ています。もっとも、合併はすべての権利義務が承継され、一方の会社が消滅するのに対して、株式交換・株式移転では権利義務に何ら影響を与えません。

 

スピーディーに!株式交換・株式移転のメリット

株式交換には、買収資金が不要であり、各株主から個別に同意を得ずに済むので、スピーディーに手続きを進められるというメリットがあります。個別の同意を必要とする株式譲渡であれば少数株主を排除できませんが、株式交換・株式移転であれば3分の2の株主の同意さえあれば、少数株主を排除できます。事業を円滑に進めたいときには強硬的なスクイーズアウトが必要となることもあります。

また、株式交換によって生じるリスクは両当事会社で分散することができます。さらに事業を遂行するために許認可が必要な場合でも、株式移転であれば改めて手続きを行う必要がありません。事業の形態を変えずに完全親子関係を作りたいときには、株式交換・株式移転は大いに役立つはずです。
 

株主の賛成を得られるかがカギ!?株式交換・株式移転のデメリット

株式交換の場合、対価が譲渡制限株式であれば、株主は現金化が困難となります。また、対象企業の株主が買収した会社の株主となった場合、買収した企業の株主構成が変化し、既存株主は持ち株比率が低下します。さらに、権利義務は移転しないため、資産・負債を引き継がせたい場合には、別途手続きが必要となります。組織再編行為に総じて当てはまることですが、株式交換・株式移転を実施するためには後述するような厳格な手続きが必要となります。株主が被るデメリットが大きいため、株主総会決議で承認を得られるかがカギとなります。

把握しよう!株式交換・株式移転の手続き

株式交換を行う場合には、まず両当事会社において取締役会などで承認を得た株式交換契約を締結し、契約書などを一定期間開示します。株主及び債権者は、これらの書類を閲覧することができ、実務上、その株式交換が会社に害を与えるものでないかを見極めます。その後、株式交換の効力の発生する前日までに、原則として株主総会の特別決議によって承認を得なければなりません。例外的に簡易交換・略式交換に該当する場合には株主総会が省略されます。株式交換に異議を述べた株主に対しては株式買い取り請求権が認められます。これは公正な価格で株式を買い取ってもらえる権利で、これを行使すると株主ではなくなります。つまり、少数の株主がどれだけ反対しても、株式交換をせずに経営を続けさせることまでは認められず、株主は排除されるのです。これと並行して、債権者保護手続きを行います。ただし、権利義務に影響しない株式交換では、債権者保護手続きが実施されるのは例外的なケースです。その後、法令違反などがなされなかったかを確かめるために、事後開示が実施されます。

株式移転の手続きは、実務上、株式交換とほとんど異なりません。ただし、株式交換では株式契約を締結するのに対し、株式移転では株式移転計画を作成します。

適切な手続きを心がけて!

株式移転・株式交換の手続きに瑕疵があると、効力が生じた日から6ヶ月以内に限って、株主などから株式交換・株式移転の無効の訴を提起されることがあります。実務において日々の業務に追われるなかで、訴訟の打ち合わせなどに時間をとられます。そこで、無効原因をつくらないことはもちろん、株主・債権者の理解を得られるように気を付けたいところです。株式交換・株式移転を行う場合には、どんな事情があった場合に無効となるのかを確認し、専門家の力を得て適切に行うようにしましょう。

 

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