中堅・中小企業の事業承継・M&A仲介なら経営承継支援

03-6279-045703-6279-0457受付時間

セミナー情報・申込

お問い合わせお問い合わせ

メニュー

M&Aの成否は人事制度統合で決まる!?

人事制度の統合は、M&A実施後も頭を悩ませることになる難問のひとつです。イチから新しい制度を作り上げ、すべての人員をそこに割り当てることができれば理想でしょう。しかし、その過程では必ずさまざまな問題が噴出します。人件費の増大や社員のモチベーションに関わるリスク、それに法的なリスクも考えられます。それでも人事制度を統合する必要があるのはなぜでしょうか。ここでは、M&A後の人事制度統合の重要性と留意すべき点について見ていくことにしましょう。

人事制度を統合しなければどうなる?実施した場合のメリットは?

人事制度統合はなぜ必要なのでしょうか。これにはリスクの軽減と、メリットの創出といった2方向から考えることができます。

まずはリスクを減らす観点から見てみます。人事制度を統合せずA社とB社それぞれの人事制度をそのまま引き継いだとしましょう。そうすると、同じ仕事をしているのに給与が違うといった状況が生まれてきます。当然不公平感が発生し、社員同士の軋轢が生じることにもつながってしまいます。旧組織間での摩擦や不信感に発展することも珍しくありません。もちろんこのような状況では、旧組織をまたいだ人材異動などは失敗する可能性が著しく高くなるでしょう。また、M&A後に採用した新規社員をどちらの人事制度で取り扱うのかといった問題も生じます。人事制度を併用することで、運用が煩雑になり業務上の負担が増してしまうことも問題でしょう。M&Aを行ってしばらくのあいだは、人事制度統合をせずにうまくいったとしても、いずれこれらの問題が表面化することは避けられません。

次に人事制度統合によって創出されるメリットについてです。人事制度とは「その会社がどのような人材を求め評価しているか」を表したものです。人事制度統合を行い、新たな制度を作ることで新しい組織の方向性や目指すべきビジョンを明確にすることができます。目指すべき方向が明らかになれば、それに向けて社員も努力できますから、モチベーションアップにもつながります。全員が同じ基準で評価されることで不公平感は和らぐでしょう。そうなれば旧組織間の溝を埋めることも決して難しいことではありません。人材の交流もたやすくなり、必要な人材を必要な部署で活用することも可能になります。

人事制度統合における法的リスクを減らすために

人事制度統合を行ううえで、すべての社員が満足する制度を作り上げることは難しいものです。もっとも有効な解決策は、すべての社員の処遇を例外なくアップさせることですが、そうすると今度は人件費の増大に頭を悩ませることになります。企業の中で役職は限られており、M&Aを行う以上、誰かが何かしらの不利益を被ることは不可避な出来事と言えるでしょう。
問題は不利益変更が行われた場合に、社員から訴訟を起こされる法的リスクが生じることです。誰かしらが不利益を被るのは避けられないことだとしても、その程度や方法が極端に過ぎれば、法的リスクは増大します。
たとえばA社とB社の合併において、B社の社員のみが不利益を被るような不公平が生じている場合がそれにあたります。また、社員の受ける不利益の程度も大きく関係してくるでしょう。月給の減額幅が10%を超える場合、相応の理由がなければ合理性を欠くとみなされることがあります。減額幅が大きくても緩和措置(数年に渡って徐々に減らしていったり、昇給額を減らしたりするといった方法)があるかどうかも重要です。もちろんM&A実施前に社員へ入念な説明を行うことも不可欠です。
法的リスクは人事制度統合を行ううえで見逃せないリスクですが、一方である程度予想可能なものでもあります。変化を被る社員に対して入念な準備と説明を行うことによって、訴訟のリスクを下げるだけでなく必要な人材の流出を防ぐことも可能でしょう。

人事制度統合の流れと留意点

人事制度統合の基本的なシナリオを見てみましょう。そもそも人事制度を統合するか否かという問題があります。統合する場合、一方の制度に合わせるケース、各社の制度を組み合わせるケース、そして新たな人事制度を構築するケースが考えられます。統合せずに旧組織の制度を共存させる方法もありますが、そのデメリットはこれまで見てきた通りです。
人事制度統合を行う場合の留意点として、人件費の増大、社員のモチベーションの低下、訴訟のリスクを挙げておきます。これらは互いに密接に関連しているだけでなく、新しい組織が何を大切にするかを示す指針でもあります。すべての社員の処遇を向上させることは人件費の観点から困難ですが、社員の離職や訴訟のリスクにもつながるものです。そうしたリスクを避けるためにも、事前に入念な説明を行って社員に納得してもらうだけでなく、新しい企業のビジョンを明確にして、向かうべき道筋を明らかにすることも大切です。
人事制度統合を行う目的には、社員の労務管理を容易にするだけでなく、新しい組織の方向性を明らかにすることにあります。新しい人事制度を作り出すのは多大な労力を伴いますが、必要不可欠な仕事だと言えるのではないでしょうか。

 

関連記事