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M&Aの手法と流れ

経営者にとって、事業継承は今後の会社経営に深く関わってくる重大な問題です。高齢により引退を考えたいが後継者がいない、会社の将来が心配、従業員の雇用存続など考えるべき課題は山ほどあります。有望な後継者がいれば安心ですが、簡単には解決しないことも多いのではないでしょうか。事業継承問題の解消は、M&Aも一つの選択肢です。安定した会社の傘下に入ることで、後継者探しや従業員の雇用確保を解決できます。今回はM&Aのプロセスについて詳しく説明していきましょう。

M&Aプロセスの全体的な流れと手順

M&Aには多くのステップが必要になるため、クロージングまでに1~2年かかることも珍しくありません。

M&Aの第一歩は、相談から契約、実行に至るまでを一手に引き受けてくれるM&Aアドバイザーへ個別相談することから始まります。相談した結果、委託することが決まったら機密保持契約とアドバイザリー契約を交わし契約成立です。

次に、売り手側の企業評価とトップ面談が行われ、具体的な条件交渉に入ります。条件が固まったら、意向表明書の提示、基本合意書の作成といった流れが一般的です。基本合意成立後、デュー・デリジェンスといわれる、買い手企業による売り手企業の財務調査や法務調査が行われます。

デュー・デリジェンスの結果を受け、実際にM&Aを実行するか、再交渉の必要があるかなど最終条件交渉により判断します。最終条件交渉がまとまったら、最終契約書締結です。最後は資産の買取りなどの諸手続や株券の引渡しなどのクロージング作業となります。

フェーズ1.アドバイザリー契約締結までのプロセス

M&A実行にあたっては、M&A専門のコンサルタント会社を通してアドバイザリー契約を結ぶ必要があります。契約には、アドバイザリー方式と仲介方式があり、一般的に中小企業同士のM&Aで結ばれる契約は仲介方式です。仲介方式の場合は、売り手と買い手双方に中立的な立場でアドバイスが行われます。コンサルタントがどのような方式で仲介するのか、希望するM&Aの手法や交渉の流れなど、個別相談で確認しましょう。

個別相談の結果、契約を結ぶことになったら秘密保持契約が締結されます。M&Aコンサルタントは、企業の財務資料や取引情報など、企業経営に関わる重大な情報を守る義務があるからです。その後、アドバイザリー契約として、コンサルタント業務の範囲や内容、報酬など、具体的な契約について確認が行われます。無事に契約が成立したら、具体的な条件交渉に入るプロセス開始です。

フェーズ2.具体的な条件交渉に入るプロセス

フェーズ2では、売り手側の企業評価が行われます。M&Aにとっての企業評価とは、企業が将来にわたって生み出すと期待されるキャッシュフローの現在価値を評価することです。企業評価は売り手企業の決算書などの資料をもとに行われます。M&Aアドバイザーは提出された資料とトップ面談により条件交渉に入ります。その内容をもとに、買い手側に対して提案を行うのです。

一方、買い手側もM&Aアドバイザーを通して条件交渉を行い、具体的な買収の条件や手法を意向表明書により提示します。お互いの条件が合えば、基本合意書により買収条件やM&Aの手法、独占交渉権などが定められます。このフェーズにおける最終プロセスは、デュー・デリジェンスと呼ばれる買い手側による調査です。買い手側の企業から依頼された専門家が売り手側の企業を訪問し、財務状況や社内の状況を確認します。ここまでが、条件交渉のプロセスです。

フェーズ3.契約締結から諸手続までのプロセス

デュー・デリジェンスを経て、買収に問題がないことが確認されたら、最終条件交渉となります。M&A後の経営者や役員、従業員の待遇、最終契約書締結までの具体的な流れを話し合うのです。また、株式譲渡や合併、分割などM&Aの具体的な手法についても最終的な交渉が行われます。この交渉プロセスで双方が最終的にM&Aを実行することに同意すれば、最終契約書締結です。これによりM&Aの契約が成立します。

ここからはクロージングと呼ばれるM&Aの実行手続きに入ります。クロージング手続きはM&Aの手法によって流れが変わってきます。たとえば、株式譲渡によるM&Aの場合、株券発行会社においては売り手側から買い手側への株券引渡しが必要です。売り手企業が株式譲渡制限会社である場合は、株券引渡しの手続きに入る前に、株主から譲渡承認請求が行われます。請求が取締役会で承認されれば株式譲渡決定です。その後、売買代金の決済や株主名簿の書換えなどの手続きが実行されるのです。

ポストM&Aフェーズにおける経営統合作業(PMI)の重要性

M&Aが成功するカギは、ポストM&Aフェーズにおける経営統合(PMI)にあるといわれています。買い手企業と売り手企業のシナジー効果を高めるには欠かせない重要なプロセスです。シナジー効果とは、M&Aが行われたことにより事業を拡大するだけなく、さらなる付加価値を生み出す相乗効果のことを言います。

PMIには、新しい経営戦略の立案や経営管理体制の確立、業務管理体制の見直しなどがあります。シナジー効果を最大限にするためには、M&A成立前からプランを立てておく必要があるのです。たとえば、経営戦略の立案については、買収する企業の投資回収見通しや、買収後の事業統合計画などが含まれます。

また、異なる2つの企業が統合することで生じる人事制度や企業文化の差異をどう埋めるかなども事前に話し合い、PMIとして進めていく必要があるのです。これによりM&A後のシナジー効果を最大限にすることができます。

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