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M&A事例紹介2:多くのスキーム・論点を検討・粘り強く交渉し成就した事例(人材派遣)

先日、人材派遣会社の株式譲渡案件が成約しました。

本件は度重なる困難な局面がありましたが、売り手と買い手の双方が歩み寄れるギリギリの線を確保するため多くのスキーム・論点を検討し、粘り強く交渉した結果、M&Aが成就した案件でした。

売り手企業はいわゆる「オレンジカラー」と言われる販売員派遣業者です。派遣する販売員の確保に苦労する中、画期的な人材募集システムを構築しました。しかし、この業界では販売員への給与の支払いが、顧客企業からの売上が入金されるタイミングより前であることが一般的であり、派遣販売員が増加するほど、資金繰りがひっ迫するという問題があります。売り手企業は資金余力の問題から、折角構築したこの画期的な人材募集システムを運用させられないというジレンマに悩んでいました。

このような経営課題のご相談を受け、当社はM&Aにより大手グループの傘下に入り必要な資金余力を確保することにより、この人材募集システムの運用を早期に開始し、事業の拡大・成長を図るというM&A戦略をご提案しました。このままでは資金繰りの問題が成長のボトルネックとなることが明白であり、この時間的ロスにより他社との競争に負けてしまう恐れがあるためです。

幸いにも売り手企業の社長はこのM&A戦略の有効性にご理解を示され、当社は同業者を中心に買い手候補先企業をピックアップしました、なかでも「オレンジカラー」系の派遣事業をまだ行っていない東証一部上場の人材派遣会社を優先候補先と考え打診することにしました。その理由は当該候補先が買い手であれば、グループの傘下に入った後も、買い手企業にとっては新規分野であることから、売り手企業の存在価値が認められ、経営の独立性がある程度維持される可能性が高いと判断したからです。

打診の結果、当社の想定どおり、この買い手候補先企業から新規分野への参入にあたりとても魅力的な案件であると評価していただき、当初はこの話がスムースに進展するものと思われました。しかし結果として、このM&Aが成就するまでにはここから10ヶ月の時間を要しました。

その理由は、売り手企業の事情及び上場企業である買い手企業の株主に対する説明責任の観点から、M&Aを実行するためには数多くの課題を解決する必要が発生したためでした。売り手企業の事情から会社分割スキームが大前提でしたが、まずは会社分割において譲渡する人材派遣事業部門を切り出すのか又は譲渡対象でない別の事業部門を切り出すのかが問題となりました。

結果として、人材部門以外の切り出しを行いましたが、この分社化により発生する税務問題、承継される数多くの契約を継続させるための契約相手方との交渉問題、さらには、分社化により承継される従業員の労務問題等、数多くの問題が発生しました。

そもそも会社分割を株主総会決議しなければなりませんが、売り手企業の株式が、創業時からかなり分散していたため、その集約のために会社分割の前に、自社株買いの実施を行う必要がありました。

これら数多くの問題を解決するために数多くのスキームを検討し、またそのスキームごとに、税務面及び法務面に関する多くの論点についても検討しました。そして、売り手企業、買い手企業及び双方の利害関係者との間で何度も粘り強い交渉を重ねた結果、最終的にはなんとか両社がギリギリ折り合えるスキーム・条件を見出すことができました。

M&Aは、決してスムースに成就に至る案件ばかりではありません。本事例のようなケースでは、多くの利害関係者との交渉能力や、法務・税務・労務面等における多数の問題を解決するために専門性が重要となります。また、このような難しい案件を全体的にコントロールするためのプロジェクト管理能力や経験も重要です。ただ、何よりも重要なのは、最後まで売り手企業と買い手企業双方のため、「案件を成功に導きたい。」というあきらめない気持ちであることを本件で再確認しました。