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M&A事例紹介7:株式会社が閉院間際の医療法人の買い手となり地域医療を守った事例(クリニック)

先日、医療法人社団の出資持分譲渡案件が成約しました。対象医療法人のドクターは70代半ば。30年前に医療モール内にクリニックを開業し、長らく地域医療に貢献されてきました。数年前から引退を考えられてきましたが、ご子息はいるものの医者ではなく、有力な後継ぎはいませんでした。年齢に伴う体力的な問題により徐々に診療日・診療時間を減らしてきたものの、これ以上診療日を減らすと医療モール内全体に迷惑がかかる状態となっていました。

そこで、昨年の春ごろから、知り合いの病院やドクターに、医療法人の引き継ぎ手がいないか独自に探し始められました。しかし、なかなか次の担い手が見つからないまま、秋となり12月末をもって閉院することを決定され、患者さんや関係者にその旨を発表しました。クリニックが閉院されてしまうと、何よりも患者がかかりつけ医を失い困ることになります。また、それまで長年クリニックに勤めていたスタッフの雇用も失われることになり、地域医療が損なわれてしまいます。

当社にM&Aによる医療法人の譲渡のご相談があったのは、丁度そのころでした。すでに12月末での閉院が決まっているということで、残す期間は3ヶ月ほどしかありません。すぐに買い手候補の探索に着手しました。ほどなく、開業に向けて物件探しをされている独立希望の勤務医で本件に関心を示される方が現れました。勤務医が独立開業される際、ゼロからクリニックを建て新規開業するよりも、M&Aで既存のクリニックを買収する方が、コストを安く抑えられます。また、完全に新規開業の場合、患者数が増加して営業黒字になるまでには一定の期間がかかり、それまで運転資金が持ちだしになります。実際にいつ黒字になるかは、開業してみないとわかりません。この点、すでに黒字営業のクリニックを買収し、患者もきちんと引き継いでもらえれば、経営リスクをかなり低減できます。つまり、M&Aによるクリニックの買収は、勤務医が独立する有力な手段と言えるのです。しかし、結局、この勤務医は、新規開業のための別の不動産物件の賃借契約の話がすでに進んでおり、迷われた結果、当該不動産物件を賃借して新規開業する道を選ばれました。

次に、買い手候補として現れたのは、介護事業や医療モールの開業コンサルティング等を行っている株式会社でした。現在、わが国では、団塊の世代が後期高齢者である75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築が求められています。この株式会社は自身で医療法人に出資することで、「地域包括ケアシステム」の構築を目指すことを考えられていました。当社が間に入ることで、ドクターの出資持分の譲渡価格を始めとした条件もほどなく合意でき、閉院期限に近い12月、晴れて出資持分が譲渡されクリニックの経営が承継されることとなりました。後継のドクターは当該株式会社が探され、本年3月末までを目途に業務の引継ぎが行われています。

医療法人のM&Aは、法律や許認可の関係から、基本的には医療法人か独立希望の勤務医が買い手になることが多いのですが、このように医療関連の事業を行う株式会社が買い手となるケースが最近、増えてきています。本件は、閉院間際で株式会社が医療法人の買い手となり地域医療を守った事例となりました。